一人スタースクリームは部屋にいた。部屋でひとつ深いため息を吐いて寝台に横になった。
昨日夜から朝にかけては散々だった。スリープモードに移行しながら思い出す。

 


*


「…力では俺のほうが強いんだぜ?」

「て、てめぇ…っ…俺様を誰だと…!」
「ちょっと目伏せてればすぐに良くなるぜ…?」

羽を引き寄せられるままに寝台にもう一度倒れこむとアストロトレインがかぶさってきた。
赤い目が見下してくるのを正面から受けて息をのむ。
確かにアストロトレインは強い。認めたくはないが能力だけなら自分よりも強い。
両腕を寝台に押さえつけられて無抵抗の状態に晒される。
普段なら謝り倒して謙るがこんな状態で謝るなんざごめんな。むしろ謝ったところで意味ないだろう。


「…震えてんのか?」
「…な、なわけねーだろ…!」
「……やめた」
「…は?」
「飽きた」

すっと押さえつけられていた手が退く。
アストロトレインの冷め切った顔を暫く見ていると背中を向けられた。

「じゃあな」
「……」
「ん?何か期待してたのか?」
「ち、ちげぇ!消えろ!」
「言われずともな」

そしてさっさと帰っていった。


*



それから丸一日たったが特に何かあったわけでもなく、廊下ですれ違う時に何か言われるわけでもなく。
何がしたかったんだあいつ…もしかして酔ってたのかもしんねーな。

あれこれ考えているうちに眠くなってきた。
今日もサイバトロンとの戦いがあったし、メガトロンからはあれこれ仕事を任されるし。
疲れた。もう眠い。半分ほど意識が落ちた時に物音が聞こえた。

ガタンと一度大きい音が聞こえて扉のスライドする音が聞こえる。

あ、俺、扉のパスワード変えるの忘れてた。

 
「…もう寝たのかよ」
「……」
「お前寝るのはえーって」
「……」

アストロトレインの声。
額に触れるアストロトレインの指。
畜生。眠くなかったら払いのけて怒鳴りつけてやるのによ…
鉄と鉄のぶつかる音がしてアストロトレインが寝台にあがってきたのがわかった。
少し身体が硬直したがアストロトレインはそれに気付かなかったようだ

「今日なら相手してくれると思ったのによ…」
「……ス…」
「…またスカイワープか?馬鹿野郎が」

馬鹿はてめーだ。アストロトレイン。って言おうとしたんだぜ。

唇を昨日と同じように噛まれた。
相手してくれって言うなら口内荒らすくらいの度胸見せやがれ。
唇を甘噛みされたまま、意識は落ちた。