自分からサウンドウェーブにキスをした。 何度も啄ばんで、時折サウンドウェーブの名前を呼ぶと サウンドウェーブは静かに見下ろしてきていた。 「サウンドウェーブ…」 「……」 名を呼ぶとサウンドウェーブが額に唇を押し当ててきた。 小さい声で「続ける」と言われた。普段なら退いていただろうサウンドウェーブを アイセンサーを細めて見つめ返す。 自分がこの行為に慣れていないから、サウンドウェーブを待てずに、いつも 果ててしまうからサウンドウェーブは自分に合わせて行為を 中断させていたんだなと思うと嬉しさよりも後ろめたさが現れた。 「止めないでくれ…」 「…」 「続けて、やめないで良いから」 背中に手を回すとサウンドウェーブはいれたままのコネクタを律動させた。 身体がその機微にすぐに反応してサンダークラッカーは引きつりった声をあげた。 「や、めないで」 「…サンダークラッカー」 サウンドウェーブの息使いが耳に届いた。 少し熱を帯びた、興奮した息だったのに気付いてサンダークラッカーは サウンドウェーブの名を再度呼んだ。 サウンドウェーブは聴覚機能に唇を当てたまま名を呼び返してくれた。 はっきりとした声だったがそれはやはり熱を帯びていた。 「サンダークラッカー」 パルスが送られてくる。そのタイミングにあわせて律動する腰。 サウンドウェーブが自分に煽られているのが信じられなく、それでいて 凄く嬉しかった。 2度目に果てて落ち着こうとしていた身体がサウンドウェーブに 揺さぶられてまた熱くなってくる。 しかし2度も達した後だ、正直辛い。快感よりも気だるい身体が悲鳴をあげる。 「っ…うぅ」 「辛いか…」 サウンドウェーブの胸元に顔を埋めていたサンダークラッカーの聴覚に サウンドウェーブの声が届いた。 今日、初めて自分を労わる言葉だった。 「だいじょ、ぶ…大丈夫…」 「…すぐに、終わらせる」 「んん…サウンドウェーブの…ペース、で」 途切れ途切れの口調でそう言うとサウンドウェーブが唇を塞いできた。 パルスも律動も止めて、唇を重ねるだけ、触れるだけで塞いでできた。 サンダークラッカーは答えるように強くサウンドウェーブを抱きしめ返した。 「好きだ」 「っ…サウンドウェーブ…」 「サンダークラッカー。好きだ」 「…」 小さく頷き返す。 「俺も…」 サウンドウェーブが満足そうに少しだけ笑った。 これも声に出したわけでもなく、口をニヤケさせたわけでもない。 雰囲気で、今サウンドウェーブが笑ってるのがわかった。 笑い返すとサウンドウェーブの律動が再開された。 サウンドウェーブが達するのを、自分は初めてみた日だった。 * 「…?」 視界が真っ暗闇より浮上して白い部屋を映した。 ちらりと青い機体が目に入る。あ、サウンドウェーブだ。 「…さ…う」 「…」 サウンドウェーブが頭部を撫でてくる。 静かに見つめ返すとサウンドウェーブはマスクを装着したまま声を発した。 落ち着いた声だった。自分はこの声が好きなんだ。落ち着く。 「…声帯が痛んでいる。少し休め」 「…さう」 確かに自分の声は掠れてノイズがかっていた。 声を発するたびに針が引っかかるような、ちくりとした痛みが走る。 サウンドウェーブはずっと頭部を撫で続けていた。 ふと寝台の脇にある台を見るとエネルゴンがいくつか詰まれている。 自分の視線に気付いたサウンドウェーブがエネルゴンを手にとって渡してきた。 受け取ろうとすると自分の指は震えていて受けとれない。 自分でも驚いたが恐ろしさから来る震えではなく、身体のオイルが 減っているせいだとわかる。 サウンドウェーブはそれを見て背中に手をやって抱き起こし エネルゴンの入ったキューブを唇に当ててきた。 まるで病人を扱うような所作に少し笑えてくるがまぁ、間違っていない。 「飲めるか」 「…んっ…」 頷いてサウンドウェーブの動きに任せてエネルゴンを口に含んだ。 普段自分が飲むものよりも濃厚な匂い。メガトロン様がサウンドウェーブに 褒美として渡したものだろう。 それを手のひらサイズのキューブ一杯分全て飲み干すとサンダークラッカーは 一息ついた。 「…はぁ…」 「どこか痛むか」 「…」 レセプタクルを見るとすでに処理されており、丁寧なことに薬まで塗られていた。 平気だと掠れた声で言うとサウンドウェーブはまた頭部を撫でてきた。 あぁ、優しいなこの参謀。 しかし優しすぎる気がする。おかしい。おかしいよな。 おかしいと思ってサウンドウェーブの背後を見ると行為前にはあったはずの 例の薬品がなかった。 「…サウンドウェーブ」 「どうした」 痛む喉を堪えてサウンドウェーブを見る。 「…薬飲んでないよな?」 「…」 「飲んだのか!?」 「…行為後、治療をするためだ」 「なんで!?っげほ…っ」 咽ると背中をさすられる。 見つめ返すとサウンドウェーブは続けて言った。 「俺が達してすぐお前は気を失った」 「…」 そうだ。サウンドウェーブが「中に出す」と言って中に出されたのは覚えている。 しかし、それ以上思い出せない。 「お前が限界なのは気付いていた。無理をさせた」 「だ、だからって薬…」 「治療する為に抑制するしかなかった」 「…でも」 「気を失ったお前を犯し続けても良かったのか」 「…」 サウンドウェーブは静かに告げた。 それは困る。オイル総量、パルスの許容、全てにおいて限界だった。 サウンドウェーブが気絶した自分を犯し続けていたとしたら 今は話す事もままならないほどになっていたはずだ。 「…それじゃ、意味ねぇよ…」 サウンドウェーブは何も言わなかった。 こいつに無理させたくなくて、自分は耐えたんだ。 自分のリペアのために薬を飲んだら意味がない。 「気にするな」 「する。するよ」 「…」 「…じゃ、あ」 サウンドウェーブが微かに首をかしげた。 「今度は」 「…」 「今度はお前が満足いくまで、頑張るから」 「サンダークラッカー」 「だから、飲むなよ…」 最後のほうは声が掠れて聞き取れたか不安になった。 しかしサウンドウェーブは抱きしめてくると首筋に唇を押し当ててきた。 「サ、サウンド…!?」 「サンダークラッカー」 「……」 「サンダークラッカー」 名前を呼ばれるだけで、それ以上は何も言わなかった。 ただ、自分はそれで十分だった。 * 「なんで俺がっ!」 「頼むよ…同じジェットロンだろ?」 サンダークラッカーの声帯は中々良くならなかった。 スタースクリームにリペアを頼むといやいやながら、凄く渋りながらも リペアにあたってくれた。 天を仰ぐように仰け反って首筋をスタースクリームに差し出すと その装甲をはずして声を作るための機器を修理される。 「…だから俺はサウンドウェーブなんて野郎は嫌いなんだ…!」 「…そう、言うなよ…」 「サンダークラッカーに無理させやがって…!」 「…」 嬉しい、んだけどな。 でもサウンドウェーブに無理させてるのは俺だし、俺はあいつが好きだし。 認めて欲しいと思ってる。俺と、あいつの関係。 「声帯機器割れるほど喘いでたのかよ」 「……」 「あのやろう…」 「…スタースクリーム」 「あぁ?」 「…その、お前に聞くのは、間違ってるかもしんねぇんだけど」 「ん?」 「…ま、満足ってどうやってさせたら良いんだ?」 スタースクリームの作業する手が止まった。 信じらんねぇといった視線が向かってくる。 「…お前…」 「ち、違うっ!お前ならメガトロン様に仕込まれてるかなって」 「何でそこでメガトロンがでてきやがる!馬鹿!」 発声回路切るぞ!と怒鳴られて素直に謝る。 って言っても顔赤くなってたんじゃ説得力ねぇよなぁ。 同じ顔をした航空参謀は怒って無口になった。 雑な手つきでリペアが再開される。 「…く」 「んー?」 また首筋をスタースクリームが弄りやすいように仰け反っているため 自分には天井しか見えなかった。 しかしスタースクリームが小さく声を発したのには気付けた。 「口で、とか」 「…」 暫く沈黙する。 妙な、なんだかシュールな雰囲気が流れて笑い出したのは自分だった。 声帯を修理中に笑うのは難しい。小さい声で少し話すのが精一杯なのだが 笑ったせいでノイズがかった声がでた。 「あ、っははっ!なに?ええ?」 「わ、笑うな!」 「く、口でってどうやってだよ!」 「えっ…いや、普通に」 「え?」 スタースクリームをみた。 顔を赤くしてそっぽ向いてごにょごにょ言うスタースクリームを見て思う。 口でってどういう意味なんだ?何か笑えたから笑ったけど 実際、具体的にどうするのかはわからない。 「ま、まんまだよ!口で奉仕すんだよ!」 「…口で?言葉でって意味か?」 「違う!やったことねぇのか?」 「………?」 サンダークラッカーは首を傾げた。 するとスタースクリームはまた信じられないと言った顔をして固まった。 「…なに?案外大事にされてんのか?」 「なにが?」 「口でやれって言われたり、しないのか?」 「??」 「…うわぁ…お前もしかしてマグロ?」 「なに言ってんだ?」 スタースクリームが目を細めた。 哀れみの表情をしてまたリペア機具を握りなおすと 顎を掴まれて上を向かされる。 喉にリペア機具の感触がして再度リペアを再開する。 「…サウンドウェーブがちょっと不憫だな」 「なに?なにが?」 「…今度、口でしてやれよ」 「どうやってだよ?それで満足できるのか?」 「多分」 「やり方は?」 スタースクリームがまた手を止めた。 ん?と思って顔を見ると聴覚機能に顔を近づけられた。 くすぐったいと思いつつもそのまま耳を貸した。 「…あいつの」 「うん」 スタースクリームの声は小声だった。 耳打ちするように囁かれて頷き返す。 「…コネクタを」 「うん」 「…咥えろ」 吃驚してスタースクリームを見つめ返すと顔を赤らめて壁のほうを見ていた。 そのままスタースクリームを黙って見つめていると睨み返された。 「…満足させるんだろうが…」 「そ、それすると良いのか?」 「…それはお前次第、かな」 「ど、どうすりゃ良いの?」 「…し、舌で…舐めたりとか」 「お前そんなことできるのか!?誰と!?」 「うるせぇ!詮索すんな!」 もう黙れよ!と顎を上に向かされる。 本日数度目のリペア再開をサンダークラッカーは黙って受け入れた。 そのリペアルームには静かになったサンダークラッカーと ぶつぶつ文句を言うスタースクリーム。 それとコンドル一羽が天井付近のパイプ管に止まっていたのだが それに2体は気付かなかった。 --------------------------------------------------------------- 音波「wktk」 中途半端なところで終了。 本当は終わり方を3,4通り考えてて、でもサンクラちゃんには幸せになって 欲しかったのでこの終わり方に。 最初に考えていたのはちょっと黒エンドだったんで中止… ところどころフラグ拾ってないのはそのせいですドンマイ。 この後、コンドルより報告受けて音波さんは僥倖wwwってなってたら良い。 そんな音波さんは嫌だ。 スタスクの相手はメガ様でもアストロでもスカファでも良いと思います オマケ続き →