「…スタースクリームは…?」
「あいつは嫌がった」
「…スカイワー…」
「あいつは下手」
「……フレンジー?」
「今してやったところだ。寝てる」


このラジカセは自分の身体を掃除しろとジェット機に物申した。






SOUNDWAVE




「スタースクリームは結構細かい作業好きだったはずだぜ?」
「一応頼んだ」
「なんだって?」
「メガトロン様にも頼まれているらしい」
「…メガトロン様も結構あれだしなぁ…」

あれ。とは雑というか、あの人は細かい仕事は好きだけど
事に自分に関しては大分ズボラだ。自愛と言う言葉を知ってるんだろうかと思う。
時々大怪我してもリペアは後で次の作戦考えたりしてるし。
スタースクリームがそれをみて「だっせぇえ!」と言うのだ。そうじゃないとリペアしない。

「逆さに振っても良いなら掃除してやると言われた」
「あはは。そりゃ良い…嘘だよ…嘘」


サンダークラッカーはサウンドウェーブの寝室に来ていた。
呼び出されたのだ。ラジカセが机の上で動かないままになっている。
サンダークラッカーはサウンドウェーブの清掃をするのは初めてではなかったが
大きさ的に少し苦手だ。別にジェット機なら得意なんだけどなぁと小さいラジカセをみた。

「スタースクリームの方が的確にやってくれんのによう」
「早くしろ」

サンダークラッカーが小さくラジカセの表面をこつこつと叩いた。
サウンドウェーブの胸にあたるそこを2度3度ノックすると「かちゃ」っと音がしてそこが開いた。

「…リペアは無理だから…掃除だけで良いか?」
「リペアの必要はない」
「ん、じゃあまず中な」

スタースクリームが愛用してる綿棒のような細いスティックをサウンドウェーブの中にゆっくりといれた。
こんな細かい道具スタースクリームかコンバットロンの連中くらいしか持っていないと思う。
だって必要ねぇしなぁ。でもあったらあったで便利だし、俺も買おうかなぁ。

今使ってるのはいつぞやスタースクリームがくれた分で、なくなったらあのスタースクリームのことだ。
もうくれないだろう。でもサウンドウェーブの清掃以外で必要になる時ねぇんだよなぁ。

そんなことをだらだら考えながらサウンドウェーブの中を覗き込んだ。

「…見難いからライト照らすけど良い?」
「あぁ」

片手をライトに変えて中を照らす。眩しくねぇのかな?
そこは複雑怪奇な配線達で多い尽くされて地球人の使うラジカセとは一味も二味も違うのがわかる。
あんまり回線弄繰り回すと後々えらいことになりそうだと出来る限り触れないように
スティックの先の埃取りでゴミを払い落とした。あんまり汚れが落ちにくい時は
洗浄液をスティックにつけて拭うと見違えるように綺麗になった。

「…こんなんで良いか?細かいところ見落としあるかもしんねぇけど…」
「大丈夫だ」
「じゃ、最後に外側拭くからよ」

サウンドウェーブの机からクリーナーを取った。
本来ならモニターとかを拭くクリーナーなのだがサウンドウェーブの身体を拭くのにも丁度良い。
デストロンのインシグニアがある胸元をきゅっきゅっと音がするまで磨き
ボタン、スイッチのひとつひとつ。その隙間までくまなく拭き取った。

「…はいよ。終了したぜ」
「…」

机に置くとサウンドウェーブがトランスフォームしながら床に降り立った。
手の平や手の甲を見てからにぎにぎと手を開いたり閉じたりする。

「…な、なんか駄目だったか?やっぱスタースクリームの方が」
「問題ない」
「…そか。ただもう掃除する道具ねぇからさぁ?やっぱ今度からスタ」
「用意する」
「…え?」
「部屋に常備しておく。次も頼む」
「ふぇ…!?あ、う、うん!うん…わかった」

「ふぇ」なんて変な言葉が出て恥ずかしくなる。少しだけ顔を見られないように逸らした。
「次も頼む」悪い言い方をすれば、ただ「良い様に使われてる」だけなのだが
あの優秀な男が自分の仕事を認めてくれたと考えて良いのだろうか?
たかが清掃。戦闘でもなければ情報入手でもなく、材料を集めるとかそんなんでもない。

それでももし適当な掃除の仕方だったらこの完璧主義者な男はもう頼んではこないだろう。
ちょっとだけ嬉しくなった。

「じゃ、俺戻るわ…そろそろスカイワープがうっせぇだろうし…」
「わかった」

サウンドウェーブが扉まで送ってくれる。送ってくれるだなんておかしいか。ついてくる、だな。
それじゃ。ともう一度サウンドウェーブを見ると「あぁ」と頷かれた。
思わずにへっと笑ってしまう。あぁ、顔引き締めとかねぇと気持ち悪いって思われちまう。


サウンドウェーブの私室から出て自室へ向かう道のりで
サンダークラッカーは脳内で先ほどのサウンドウェーブをリピートしていた。

「…頼む。かぁ…」

へらへらする頬を引き締めようとする。
スカイワープに見られたら何言われるか…

「…す、スタースクリームにちゃんとした掃除方法、聞こうかなぁ…」

次はもっと綺麗に、サウンドウェーブが「凄い」と思ってくれるほどの腕になっておきてぇなぁ。
そんな意欲他に回せって感じだろうけど、俺は何でもかんでもできねぇから、どれか一つ伸ばすくらいが丁度良い。

でも今聞きに行ったらきっとメガトロン様いるだろうし、後でにすっかぁと
サンダークラッカーはなおも頬を緩めて歩いた。










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音波+サンクラ
まだお互いに何もしてないし気になる程度。
サンクラは好きだなんてちょっとも思ってないくらいでも音波さんは違うね!下心ありありだね!

清掃、整備が一番得意なのはスタスクとビルドロンの面々。手先が器用組