首を撫でられて見つめ返した。
寝台に身体を寝かせてサウンドウェーブの背中に手を回す。

「サウンド…ウェーブ」
「…」

無言で首を舐められる。顔を覗き込むことができない。
それでも不安にはならなかった。行為中は無口なこいつは慣れてるから。
いつも通りに体中を触られて気分的にも熱を持ってくる。
小さく吐息を吐いてサウンドウェーブに全て任せると唇を何度も吸われた。

「ん…」

いつもよりも早く下に手を伸ばすとパネルの上より撫で付けられる。
まだ直接的な快感がない分余裕があるが息を吸う為に口を開ける度に
舌が入り込むとすぐに息が上がって考えることができなくなる。

サウンドウェーブが指を口内に入れてくる。
そんなことされたのは初めてだったが
「これが薬で抑えてない状態のサウンドウェーブ」なんだと思えば
嫌でも何でもなかったし、自分から舌を絡めた。

「…良い子だ…」
「ん…!」

褒められて頬に微かに唇を感じつつも必死で指に舌を這わせると
「もういい」と抑揚のない声が上から降り注いだ。
指を引き抜くとオイルをよく絡めるように指同士をこすって
滑っているのを確認している。

「…サウンドウェーブ…は、早くねぇか…?」
「大丈夫だ」
「…あっ…」

下腹部のレセプタを露出させて口内オイルのついた指でその淵を擦りなぞった。
サンダークラッカーがびくっと震えて顔をそらし、その顔の上に
自らの手をのせて隠すようにする。
サウンドウェーブがゆっくり指を押し込んできてその感触に耐えた。

「んっ」
「…」

歯を食いしばって少しでも耐えるとサウンドウェーブの腕が片方伸びてきた。
手首を掴まれて少しだけ上にずらされた。
微かに視界に光が差してサウンドウェーブと目が合う。

「な、なに…?」
「こっちを見ていろ」
「あっ…わかった、よ…」

普段のサウンドウェーブは自分が耐えてる時は頭を撫でてくる。
恥ずかしい時はそっとしとく。
きつい時やヤバイ時は動かず、唇で頬をなぞってくる。
なのに構ってくるのは珍しかった。

顔をそらしたまま視線だけサウンドウェーブに向けると指を2本に増やされた。
いつもよりも動き回り、神経回路を的確についてくる動きに
声が耐えがたくなってくる。

「ま、待ってくれ…ちょっとだけ」
「…」
「ひっ…な、なんで?」

普段なら待ってくれるはずのサウンドウェーブがそのまま続ける。
不安な顔をサウンドウェーブに向けたがその鼻を甘噛みされるだけで
刺激をやめてくれそうにはなかった。

「うあっ…や、やばい…って…!」
「だせ」
「う、はぁ…っ」

サウンドウェーブの両肩を掴んで胸元に額を擦り付けると
サウンドウェーブは頭を撫でてきてそれでもレセプタ内には指を増やし
ばらばらに動かして自分を追い込んでいく。

「…っ…あ、駄目…だぁ…っ!」

肩を強く握り締めて軽く痙攣する。
サウンドウェーブの腕や腹を自分の出したオイルで汚す。
息を整えようとしつつもそのことに気付いて謝った。

「ご、ごめ…」
「…」

一度指を抜いて手首より肘の装甲にかけてべっとりついたオイルを
サウンドウェーブが眺める。
無言でみつめる様をサンダークラッカーは見てもう一度謝った。

「さ、サウンドウェーブ…その、悪」

言いかけてサウンドウェーブが口を開いた。
舌をだすと肘からゆっくり伝ったオイルを舐め上げていく。
その姿を見てサンダークラッカーはスパークがばくばく音を立てた。

サウンドウェーブとの普段の行為は静かでゆっくりしたものだ。
サウンドウェーブはこういった事はせずとにかく
丁寧に身体に触れてゆっくり接続する。
オイルのついた舌が口内に戻っていく様子を見たまま固まっていた。
顎を掴まれて親指を唇にあてられる。指が唇の隙間に入って歯にあたった。
くいっと押されて少しだけ歯に隙間が出来ると口を開けさせた。

「…んっ…」
「…」

苦い味が染みてくる。自分のオイルの味だとわかったが顎を
固定されて抜け出せない。
サウンドウェーブがゆっくり口を放すと互いの舌に糸を引いた。
それにまたスパークが反応したが顔をそらすと、膝裏をつかまれ
先ほどまで弄っていたレセプタが良く見えるようにされる。

「いれるぞ」
「っ…」

こくっと頷く。
今までサウンドウェーブと行為に及んできたが1度の行為で
2度達したことはなかった。
せめて一度終えて、暫く時間を置いてとか。休憩挟んだり、だとかで。
少し不安になったがこれが抑えないサウンドウェーブだと言うなら構わない。
自分に少しの躊躇があるのは性格だ。慣れればなんてことはねぇよな。


『…精神安定剤だ。ブレインサーキットが冷静さを失った時に
 身体を抑えて脳内の興奮を促す電子をシャットダウンする』
『ただの安定剤じゃねぇよ。お前なんかが飲んだら馬鹿になるぜ』


スタースクリームの発言を忘れていたわけじゃなかった。
ただ、自分の想像力が実物に追いつかなかった。