朝起きればやはりサウンドウェーブはいなかった。 また、気絶したのか自分は…と頭を抱える。 捻られていた腕が痛い。ぎししっと軋む音を立てた。 しかし下腹部は綺麗にされていた。 ちゃんとパネルも閉じられているし。オイルも全て拭い取られてるし。 起き上がると枕元に一つキューブが置かれているのを見た。 中にはエネルゴンが入っている。 「…まさか飲んで良いのか?」 一度持ち上げて、やっぱり置いて、でも喉の渇きには勝てなかった。 口をつけて一口だけでもと飲めばもう全て飲んでしまう。 「ぷはっ…うっめ…」 3日目 紫色の同機と遭遇したのはすぐだった。 「よぅ。サンダークラッカ〜!」 「…なんで元気なんだよ」 「サウンドウェーブの慰み者になってんだって?」 「…」 顔をしかめた。 スカイワープがにやにやと近づいてくる。 「誰から聞いた」 「皆知ってるぜ?」 「…は?」 どうやらサウンドウェーブの体調がおかしいのは誰もが知っていて メガトロンが誰でもいいから抱いて来いと言ったらしい。 それでスタースクリームに行って、そして俺に回ってきたのか。 「どうなの?サウンドウェーブってよ」 「…なんでもねぇよ」 「気持ちよくねぇの?」 「…気持ち良いも悪いも・・・あいつは俺で自慰してるようなもんだ」 「ぶっ…!ぎゃはは!何お前気持ちよくねぇの!?」 「…」 スカイワープが爆笑する。しかし自分はそれを黙って静かに見ていた。 スカイワープがぴたりと笑いをとめて真剣な顔になると「わりぃ」と謝った。 少し気まずそうに顔をそらして「あー」と間延びた声をだす。 「後今日入れて5日相手すんのか?」 「…お前が代わってくれんのか?」 「無理っす」 スカイワープが無理、絶対無理と顔を左右に振った。 「わかってるよ」と一言返すとスカイワープは少しだけほっとした顔を見せた。 「気持ちよくないのか?」 「…だからあいつは俺を抱いてないんだ」 「…?」 「入れてるけど…繋がってねぇ」 「…え?」 だから、ともう一度言いかけてやめる。 スカイワープに何言っても無駄だ。 サウンドウェーブは入れてる。動いているしパルスも流しているが パルスは自分に流しているんでなくサウンドウェーブの中でだけ流れていた。 ただ律動して、自分の中でパルスを流して自分ひとりで気持ちよくなってる。 入れたコネクタはしっかりと自分に繋がっていなくて、自分には 何も感じないようにしてる。 それは情報参謀なりの気遣いだったのかもしれないが むしろ道具にされてるとしか思えなくなる。 「今日の仕事は?」 「監視」 「楽でいいな」 「だろ?」 スカイワープがまたへらりと笑うと和んだ。 微かに笑い返して仕事を開始した。 * 「サ、サウンドウェ…っ」 「…」 「痛い…!いたいっ…て!」 また、夜になればこれだ。 仕事を終えるのが嫌だったがサウンドウェーブに呼び出されては仕方がない。 まぁ、なんとか寝台でやってくれる。そこはご配慮有難う御座いますと 言ったところだ。しかし腕を捻り背後から無言でつっこむのは変わらない。 正直涙がでた。ぽたたっと冷却水が寝台をぬらす。 「…何故泣く」 「いてっ…からだよ…!」 「痛くしていない」 「腕捻らないでくれよ!」 泣きながら言うとサウンドウェーブが暫く動きを止めた。 捻り上げられ背中で纏め上げられた両腕が痛い。 中は全然痛くなかった。腕が痛い。 「…すまない」 「痛い…いた…!」 「…」 腕を掴む手が放れて痺れる腕が寝台に落ちた。 サウンドウェーブがその腕を擦った。耳元に顔を寄せられて「すまない」と もう一度告げられた。 「抵抗すると思った」 「しねぇ…」 「…悪かった」 寝台に倒れたまま手を投げ出しているとその手をきゅっと掴まれた。 ぎくりと身体を強張らせる。うつ伏せにされ、その手を上から握りこまれると 道具じゃなく、抱かれているような気になってくる。 「だ、駄目」 「なにがだ」 「手、握らないで…」 「痛くない」 「い、痛くないけど…だ、わ…っ」 律動が始まる。サウンドウェーブがまた一人で快感を望んで動き始める。 やはり、気持ちよくなかった。ただ、痛くなかった。 →