数ヶ月前にジェットロンで酒を飲んだ。
その時のことはうすらぼんやりと覚えているが
スカイワープは床に横になっていびきを掻いていて
スタースクリームは静かに酒を飲んでいた。

「へぇ?じゃあお前サウンドウェーブが好きなのかよ」

スタースクリームは含み笑いを隠す事無くそう言ってのけると
酔いが回っていた自分は「うん、そうかもな」と言っていた。
いや、好きじゃねぇよ。本当。ただ会話の流れでスタースクリームって
メガトロン様に憧れてるだろ?って話になって、それからじゃあお前は誰に
憧れてるんだってなって。
それでサウンドウェーブの名前を出しただけなんだ。
寡黙で、仕事が出来る男。女なら誰でも惚れるんじゃねぇかってくらい優秀で
自分じゃ到底敵いもしないような男だ。

あいつを抱きたいなんて思ったことないし、抱かれたいなんてもっとない。
ただ、あえて言うならあいつに触ったら少しでも優秀な部分が
うつらないかなぁ、なんて思った。


week





「は?」
「いや、だからな」



半分寝ていたところを無理やり起こされてサウンドウェーブの寝室まで
つれてこられた。
眠いと呟きながら目を擦りスタースクリームを見るとスタースクリームは
にこにこと微笑んだ。

「なんかサウンドウェーブ発情期なんだってよ」
「……は?」
「まぁ冗談だけどヤりてぇんだって。誰でも良いから」
「……は?」
「最初声かけられたんだけど俺は勘弁してぇから代わりにお前行ってこい」
「……は?」

頬をパチンと叩かれる。
まだ寝ぼけてやがるなと呆れた声を投げかけられたが違う。
眠気など既に覚めているがそれでも理解できないのだ。
サウンドウェーブが、発情期で、冗談で、誰でもやりたい。ん?やっぱ
寝ぼけてるかもしれねぇ。

「それで俺がなに?」
「あぁ、もう面倒くせぇな。お前この間好きだって言ってたろ」
「誰を?」
「サウンドウェーブをだよ!」
「…俺が?」
「そうだろ!面倒くせぇ!もう代打用意すっからって言っちまったんだよ!
 早く行け!」

サウンドウェーブの寝室の扉を開くとスタースクリームに羽を掴まれ放られた。
暗い室内に放り込まれた自分はまだ眠気で足が縺れ床に転ぶと「いてて…」と
小さく呻きを漏らすだけで立ち上がることをしなかった。
それが、間違いだったのか。

「…サンダークラッカーか」
「…ん?サウンドウェーブ?どこに…」

暗くてまだ辺りが見えないと手探りに手を伸ばすと
硬い、鉄製の、しかし生命の暖かさをもつ手にふれた。
あ、サウンドウェーブだと思った。自分はサウンドウェーブに触れることなど
滅多にないが実は触れたいと日ごろ思っている。
優秀な奴の近くにいたら自分も優秀になれそうな気がしないか?

「あの、サウンドウェーブ。俺スタースクリームに」
「…はぁ」
「…?…あの…サウンドウェーブ?」
「…は…どっちでも良い」

意識が覚醒し始める。
耳元に当てられたサウンドウェーブのマスクから「はぁ」と熱い吐息を
聞いたせいだ。
身体を弄られているがわかる。脚を撫で、腰に手を回し、引き寄せられる。

「あ、あの…」
「スタースクリームが抱いても良い奴を連れてくると言った」
「…えっ!?俺抱かれんの!?」

それはごめんだぜ!と言いかけて上司だと思い出す。
引っ込めた台詞の代わりに両腕を突っ張ってサウンドウェーブとの距離を
離そうとするとその腕を逆に掴まれてそのまま床に押し倒された。

「はぁ…」
「…ちょ、ちょっと待ってくれ、俺聞いてないんだ…!」
「…関係ない」
「ま、待ってくれ…!本当困る!」
「…はぁ」

熱い息が聞こえる。
サウンドウェーブが興奮しているのがわかった。
右腕を床に縫いとめられながら脚を持ち上げられると
いとも簡単に下腹部のパネルを開かれた。

「えっ待って…!駄目だおまえ、そのちょっと」
「黙れ」
「っ…あっ…あぁあ!」

まったく慣らす動作も見せず無理やり入りこんできた上司を必死に
引き剥がそうとした。
痛い、人間なんかと違って自分たちには処女だとか童貞だとかそんな概念はないが
当然何をするにもスタンバイと言う状態があるわけで。
それをもせず無理に入り込まれれば誰であろうと悲鳴をあげる。

「っ…」
「い、たい!サウンドウェーブ!頼むから…!ああ!」
「…黙れ」
「ひど…っ…ひどいぜ…これ…!」

何が優秀な男だ。
何が触ったら優秀なところがうつるだ。
最低だ。この男最低だ。意味わかんねぇし、何発情期って、はぁ?

痛いだけで何も生まれないのにこいつは「はぁはぁ」喘いでるし
なんか気持ち悪いし、くるし、いし。ブレインサーキットが、いっぱいに、なる。

「サ、サウンド、くるし」
「出すぞ」
「なに、を」


下腹部のレセプタに何かが溢れるのを感じる。
それよりも意識が混濁が強く何も理解できないまま自分は意識を落とした。