金属同士がぶつかり合う音がして、それが凄く耳に心地良い変形音だと
スタースクリーム、スカイファイアーの双方が気付いた。

小さいラジカセの底部分が二つに割れてそこから変形が始まると持ち運びに
便利だったサイズが見上げるほどの大きさに変わり、濃い青が縦に伸びていく。
スタースクリームもスカイファイアーもこんなにも進んだ変形は見たことが
なかった、サウンドシステムのトランスフォーム構造は昔から複雑だと
言われていたが研究所にサウンドシステムがいなかったのも驚いた理由に
入るのかもしれない。それとも未来の間にさらにその技術が上がったのか。


「…」
「サ、サウンド…ウェーブ」


黙って見下ろしてくるサウンドウェーブにスタースクリームが小さい声で
名を呼ぶとスカイファイアーはサウンドシステムから恋人へと目線を変えた。
知り合いなのかい?と小声で聞いてきた質問にスタースクリームは
知り合いってほどじゃねぇけど、と内心呟いた。

「俺の寝室で何をしてる」
「お、お前の?わりぃ、知らなかったんだ」
「…」
「…サウンドウェーブ」

スタースクリームはスカイファイアーに跨る身体を起こすと静かに見下ろす
サウンドウェーブに視線を真正面からぶつけた。
今が最後のチャンスだと本能的に悟った、あのコインを返してもらうには
今しかないだろう。
この海に沈んだ基地からの脱出が困難なのに一度脱出したらもう二度と進入は
不可能だと判断した結果だった。

スタースクリームはゆっくりと手のひらをサウンドウェーブに差し出して
もう一度その手を振って見せた。アイセンサーは心が少しも見えないバイザー
へと向けられたまま、スタースクリームは交渉に出る態度を殺さず面向かった。

「なんだ」
「コイン、そろそろ返してくれても良いんじゃねぇか?」
「…」
「サウンドウェーブ、てめぇには必要ねぇもんだ」
「…」

スカイファイアーは黙ってそれを見ていた、持ち前の観察眼と状況把握能力で
今の会話内容から全てを読み取っていく。
サウンドウェーブは本日何度も見てきたスタースクリームの表情が鋭く、今日
何度か見たおろおろとするスタースクリームとは一味違うことをバイザーで
隠されたアイセンサーで見定めるとゆっくりと目を細めた。

既にサウンドウェーブの中で確信のない答えが見出されていた、それ故スカイ
ファイアーが室内にいて、スタースクリームの背後に座っていることなど
どうでも良く、視線の先はスタースクリームに定められていた。
これが自分の知るスタースクリームではないことをサウンドウェーブは知って
いた、だからこそ会話がなりたっている。

「いいだろう」
「ほんとか!?」
「条件がある」
「…なんだ」

スタースクリームは険しい表情のままサウンドウェーブとの対話を行っていた
何度話してもこの男のこの雰囲気と口調には慣れることがなく、逆に「条件」
だなんて出されては全身が警戒するようにざわついた。

「土下座をしろ」
「…は?」
「土下座だ」

サウンドウェーブの抑揚のない声が自分の差し出した手の上に乗ったような
感じがした。その重みに耐えられなくなった腕をゆっくりと下ろしていくと
スタースクリームは目を見開いきサウンドウェーブを強く見つめた。

冷たい視線と冷たい声にスタースクリームはメガトロンとの出会いを楽しみに
していた感覚を全て忘れてサウンドウェーブとだけは絶対に会いたくないと
思っていた。しかしこれがいつか必ず起こりうる未来だと言うことは
どんなに抗おうと抵抗できない真実である。

「何で土下座なんか」
「できないのか」
「…」
「できないのなら、これは暫く預かる」
「っ…ふ、ざっけんな!」
「…」

サウンドウェーブがそのコインを微かに指先で曲げてみた。
指先で強めに押せば折れはしないものの、その表面をしならせて内部の損傷を
におわせた。ただのコインではなく内部は精密な機械の詰まる特殊装置なの
だからそんな事をされては自分たちは二度と帰れなくなるのだ。

「まっ…!」
「どうする、スタースクリーム」

サウンドウェーブがもう一度だけ聞いてきた、それが質問ではなく警告だと
いうことにスタースクリームだけでなくスカイファイアーですら察することが
できた。
スタースクリームは顔をしかめてサウンドウェーブの考えを探ろうとしていた
何をしたらサウンドウェーブにこんな恨まれるようなことができるんだ、今の
自分は。何百万年生きてきて土下座を所望されたのは初めてだった。
スカイファイアーには信頼できないと言われる、メガトロンには愛想を
つかされてる、サウンドウェーブには土下座を所望される。
まったく、とんでもねぇ野郎だぜ、未来の自分は。とスタースクリームは
目を細めて自笑した。

「わかった…」
「スタースクリーム!」

スカイファイアーがスタースクリームの手を背後から掴んだ、その声と行動は
土下座なんてしなくて良いと言う意味が込められていたがスタースクリームは
それを無視して手を振り払った。

恐ろしい男がいるもんだ、サウンドウェーブ。てめぇだけは過去に戻っても
忘れねぇかもしんねぇな。スタースクリームはそこまで考えると埃の
落ちていない綺麗な床を見つめた。

内心はそんな行動取れるかよ、と愚痴だらけだったが奥底ではメガトロンの時
同様に微かな好奇心とも取れる興味が頭を覗かせていた。
自分やスカイファイアーを凌ぐ洞察力の持ち主で、たった数時間で自分が
この時間に存在しないスタースクリームだと気付いたのだ、その事実は
他人を中々認めないスタースクリームに畏怖と尊敬の念を抱かせるのは
簡単なことだった。
床に片膝をつけた、腰を落として床に近くなるにつれて視線の高さも低くなり
サウンドウェーブを見上げる形になっていく。

「サウンドウェーブ」
「なんだ」
「…先にコイン、くれねぇか…土下座はする」
「…」
「また先送りにされたくねぇからな」
「…いいだろう」

まさかの色良い返答にスタースクリームは伏せていた頭を急浮上させた。
本当に返してくれるとは思っていなかった、ただ先にこうしてコインを返す事の
重大さを根強く押し付けておけば後々忘れずに返してくれると思ったのだ。

きょとんとした表情をサウンドウェーブに向けていると指の間で遊ばせていた
コインをサウンドウェーブは自分に見せてきた、それを目で追っていると
親指と人差し指でコインを挟んだ。

「受け取れ」

スタースクリームの視線は手の中のコインだけにそそがれていた、サウンド
ウェーブの指先がコインを上に弾くようにこちらに放るその瞬間が凄く遅い
時間の流れに感じ、コインが指を離れ裏面と面面を交互に見せるように
回るのが見えた。
スタースクリームは急いで手を伸ばしたが自分の動きすらゆっくりしたものに
見えた、コインが弾かれた時に鳴った風鈴のような耳に良い音が未だに
聴覚機能に残っている、まるで水の波紋のように体内で響き渡る音が
そのコインのあるべき理由を思い出させた。

キャノピーの奥が熱くなってスタースクリームは顔をしかめた、その背後で
スカイファイアーも同じように胸の熱さに苦痛の表情を晒していた。
それでもスタースクリームはコインをその手中に収めるまで腕を伸ばし回転する
それに手を伸ばし、久しぶりにそれを手に入れると安堵の吐息を漏らしかけた。

しかし背後のスカイファイアーが腰に抱きついてくるのと吐息を漏らす瞬間が
被った為に息を吐く事も吸う事もできず引きつった悲鳴が漏れた。

「スタースクリーム!」
「っ…」

放たれたコインからスカイファイアーが抱きついてくるまでの間はたった
1、2秒の短い時間の間だったがサウンドウェーブを除いた2体は何が
起こったのか判断するには十分すぎる。
スタースクリームは掴んだコインを握り締めるとサウンドウェーブに笑いかけた。


「わりぃな、土下座はスタースクリームに頼めよ」


足と手の感覚がなくなるとサウンドウェーブの姿が見えなくなった。
コインを弾いたことによって始まったタイムトラベルである。





*



「おかえり」
「おかえり」


スタースクリームがゆっくりとアイセンサーを点灯させるとすぐ目の前に
顔のボルトとナットをどこかに落としてきたような研究員が2体いた。
それが見知った研究員だと判断するまでしばし時間を要し、スタースクリームは
小首を傾げてそれをみた。

「なんて格好だお前ら」
「何日くらい滞在したんだ?場所は?」

辺りを窺うと自分たちはタイムタラベルする機械の中心に倒れていた、スカイ
ファイアーが腰に手を回して自分が怪我をしないように抱きしめてくれている
為、自分は床に身体をぶつけることもなかった。
スカイファイアーの名前を呼ぶと未来に行った時同様、頭を打ったようで
虚ろな表情を向けてきたが意識はあるようで「うん」と返事をしてきた。

「行ったのは未来だったぜ…」
「じゃあ記憶を消さないとならない」
「俺たちの時間だと数分だったけど何日未来に居たんだ?」
「一日だけだ」
「はぁ?勿体ねぇな…折角のタイムトラベルだぞ」
「すぐに戻ってくるしかなかったんだ」

研究員達は目を見合わせるとスカイファイアーを起こしにかかった、身体を
揺さぶるとスカイファイアーが朦朧としていた視界を定め始め、身を起こす。

「スカイファイアー」
「…うん、大丈夫だ…戻ってきたんだね」
「レポート頼めるか?」
「あぁ、もちろん…その後に記憶を消すのかい?」
「そうなるな」
「…自室へ戻っても良いかな、落ち着いてレポートを書きたい」
「もちろんだ」

スカイファイアーはスタースクリームの腕を掴むと足早にそこを離れようとした。
スタースクリームは急ぐスカイファイアーに疑問をぶつけようとしたが
引っ張られる腕と縺れそうになる足ばかりに意識がいってそれどころでは
なく、そのままその場を後にした。


「スカイファイアー?」
「自分たちにあったことは黙っていた方がいい」
「そ、そりゃ…まぁそうだな」
「レポートも、少し改竄しよう。嘘は書きたくないけど仕方ない」

そのままスカイファイアーの寝室に招かれると棚から小型の折りたたみ式
デジタルメモを渡された、コンピュータほどではないがレポートを書くには
丁度いい機材である。普通のコンピュータよりもキーピッチが狭く作られる
それを膝の上に広げると起動したそれを眺めてスタースクリームはため息を
吐いた。

「…帰ってきたんだな」
「怪我がなくてよかったよ」
「お前は随分ぼろっちくなったじゃねぇか」

あちこち黒ずむスカイファイアーを見て笑う、未来にいた頃から気になって
いたが、随分と汚らしい格好になっている。
それは未来のスタースクリームに何度も撃たれそうになった際に転んだり
光線をかすめて焦げたりした跡だったのだがスカイファイアーは笑うだけで
それを今この場に言うつもりはなかった。

スカイファイアーは自分のメインコンピュータを開くとレポートを
書き始めた、それをスタースクリームは覗き込むと本日の日付と未来だと
いう事、そして何年後かは不明だと記載するだけでそれ以上はまだ書き
進められていなかった。

自分はといえばまだ何も書いていない、とりあえず最初に見た光景を鮮明に
わかりやすく書くことぐらいしか思いつかなかった、あと水分に満ちた惑星
だったこと、自分の知らない滝の存在と、紫外線を遮断する働きを持つ層の
話。研究員が喜ぶ話といえばこれ位しか思いつかない。
自分が変な軍団の抗争に巻き込まれて襲われたり追いかけられたりしながら
基地内を走り回った話などどうでもいい話すぎるのだ。無論書くつもりはない。

「…本当、思い返せば思い返すほど休暇にならねぇな」
「…すまない、本当はもっとゆっくり出来ると思っていたんだ」
「…」

スカイファイアーを責めている訳ではないが、最初の最初を思い返せば
この時間旅行はある研究結果のレポート内容でもめて喧嘩をしたその詫びと
言う名の仲直りだったはずだ。
それがとんでもない結果を招いたな、とスタースクリームは唸っているのだ。

冷静になればなるほどあの未来での出来事が嘘のように思えてくる、自分と
スカイファイアーが争うことになるだなんてありえる話なのだろうか。
レポートにいつか起こりうる未来に戦争があると書ける筈がない、ある意味
何かした賞をもらえる可能性だってある、それほど凄い内容だがそれは
表沙汰に出来ない世に混乱を招く内容だった。

スタースクリームはもう一度ため息を吐いた、手を開くとそこにある歪んだ
形のコインをみた。
サウンドウェーブが弾いた瞬間響いた音は過去に研究員達に届き、それが
自分たちのキャノピー内にある空間転移装置とリンクして戻ってくることが
できた。
しかしコインは歪み、もう一度弾いてもあの風鈴の音のような涼やかな音は
しなかった、くの字に曲がったコイン内部の繊細な機器たちは壊れ、その
役目を終えた事がわかる。最後に暫く見つめスカイファイアーの机に投げた。
アイセンサーを細めて光を放つモニターを見るとスカイファイアーが微笑んだ。


「いい考えがあるんだ」
「なに」
「今度ちゃんと休暇申請だして旅行行こう」
「いつの話だよ、申請通らねぇって」
「いつでも良い、だから行こう」
「…どこに」

スカイファイアーはその言葉を待っていたとばかりににっこりと笑うと
紙を取り出した、そこにペンで走り書きをすると一度スタースクリームに
渡して内容を確認させる。
スタースクリームがそれを見て驚いた表情をするとスカイファイアーは
もう一度声を出して笑い、その紙を机の上に置いた。



*



質素な机の上にスタースクリームとスカイファイアーのレポートがメモリー
スティックに入った状態のまま置かれていた。
相対性理論を専攻している研究員2体はそれを早く見たいと顔をにやつかせて
見ていたが机から離れると大掛かりな機械と繋がる椅子に2体を座らせた。

スタースクリームは目を細めて記憶を消される準備を整えていた、椅子に座り
両手首を椅子の肘掛にくくりつける様に固定され、背中をぴったりと背もたれに
寄りかからせると上から降りてきた機械に頭をはめ込んだ。

決して途中で抜けないように頭部に釘が打たれるような圧迫を感じた。
聴覚や頭部装甲の隙間よりブレインサーキットに直接干渉できるコネクタが
入り込んでくるのを感じて隣に座るスカイファイアーをみた。
大きな身体に見合う椅子に座ったスカイファイアーもこちらを見て
不安そうな表情を殺すように笑った。

「記憶消すのにこんな大掛かりな機械が必要なのか?」
「日にちを指定してその日付の記憶を全て消すにはちゃんとした機械がないと」

ため息を吐いて手首を拘束する機器を見ると研究員達が声をかけてきた。

「電気を消すからな」
「激しい閃光が起こる可能性があるからアイセンサーは落としとけ」

スタースクリームとスカイファイアーは言われたとおりアイセンサーから
照明を落とすと視界をゼロにした。部屋の電気が消される音がして
研究員達が装置起動に別室に移動する。
残された狭い個室に2体はアイセンサーを伏せたまま光のないその場で
じっとしていた。研究員達はその個室を隣の部屋からマジックミラー越しに
覗き込み、手元のコンソールを弄って椅子への電圧調整を始める。

「失敗するなよ」
「この間、記憶消去装置エラーでたらしいからわからんな」
「…」

研究員同士は被験者に聞こえないことをいいことに思い思いに話すと
電力供給の完了した椅子にスタートを意味するキーを打ち込んだ。

スタースクリームとスカイファイアーの座る椅子が足から電気が走り
ブレインサーキットに直接電流が流れ込んだ。2体が微かに顔をしかめて
その痛みに耐えるとコンソールと繋がるパネルに数値が現れ記憶を削除する
進行度を表示した。

椅子の後ろにある大きな機器より閃光が走り、足元に大量に放置された太い
ケーブルたちに電流が走る。轟音を響かせる機械がガタガタと動き続けると
暫くすればその計測値が終了を知らせるアラームを鳴らした。

電力を全て落として被験者のブレインサーキットにかかる負荷を止めると
また個室に戻り部屋の電気をつけた。
未だに動かないスタースクリームとスカイファイアーの肩を揺らせば
アイセンサーにゆったりと光が戻っていく。

「終了だ」
「大丈夫か?」

「…?」


スタースクリームは自由になった腕でアイセンサーをこすると見知らぬ研究員が
目の前に立っているのを見た、自分がどうしてここに居るのかもわからない。

「…誰だてめぇら」
「…成功だな」
「ちょっと消しすぎたんじゃないか?」

スタ−スクリームはアイセンサーをしっかりと光らせると頭痛のする頭部を
擦った、そこは微かな熱を放っていたが既に取り除かれた機器がついていない為
自分に何が起こったかまでは理解できずに隣に居るスカイファイアーをみた。


「…あっ!」
「…ん…?」

スカイファイアーも同様にアイセンサーをこちらに向けてくるとスター
スクリームは勢いよく立ち上がりスカイファイアーを睨みつけた。
そうだ、俺はスカイファイアーと喧嘩してたんだ。研究結果でスカイファイアー
の野郎は譲ろうともしなかった、そうだ、俺はこいつともう話さないって決め
たんじゃねぇか。

スタースクリームは舌打ちを一つ落とすと背中を向けてその場を去った、スカイ
ファイアーと同じ場所にいるのが嫌だったからだ。
しかしスカイファイアーが慌てたように追っかけてくる、それを相対性理論
専攻の研究員は止める事無く見送った。

「さて、レポート見て結果提出しよう」
「まだまだタイムマシンも改良の余地ありだ」


2体から綺麗に失われた記憶の断片が埋め込まれているメモリースティックを
掴むとそれをコンピュータに繋げ、中を見始めた事をスタースクリーム達は
この先一度も知ることはない。




*



「スタースクリーム、待ってくれ」
「待つか!」
「あの事なら謝る、気に入らないなら提出した結果を取り下げてもらうよ」
「…」

その言葉に歩みを遅くすると追いついたスカイファイアーが腕を掴んできた。
今更謝られても、と言う気持ちが残るのは仕方がないことだ、謝られても
自分の研究結果を否定されたことには変わりないのだ。

「…その、私の寝室にこないかい?話が…したいんだ」
「…話ねぇ…」

スタースクリームを少しだけ強く引っ張るスカイファイアーに引き摺られるように
スタースクリームは寝室へと向かうと微かにデジャブを感じた。
しかしそれは気のせいだとすぐに判断されてゴミ箱へと移動されてしまう
本日スカイファイアーの寝室に向かうのは何度考えても初めてのはずだからだ。

寝室に訪れるとスタースクリームはいつも定位置の寝台に座った、自分の座る
場所にあった小型折りたたみデジタルメモが邪魔だったので端に手で押しやって
座ると「それで?」と挑戦的な態度をスカイファイアーへと向けた。

「…その、本当に悪い事をしたと思ってるんだ」

スカイファイアーは謝罪を始めた、スタースクリーム同様記憶を消され、喧嘩
したところまで記憶が戻されている今、タイムトラベルの事など全て忘れ去って
しまったのだ。

「…今度お詫びに旅行でもどうかな」
「あー?俺後1年は仕事詰まってんだけど」
「休暇申請して、1年後でも、2年後でも良いからどう?」
「…大体どこ行くんだよ、この辺りの惑星はもう行きつくしたしよ」

スカイファイアーが顎に手を当てて悩むようなそぶりをした、うーんと
唸り机前の椅子に座ると机に置いてある紙が床に落ちた。
そんなものを置いた覚えのないスカイファイアーが拾い上げるとその紙には
どこの惑星かわからないが銀河系の宇宙座標が記載されていた。

「…どこだ?これ」
「…さぁ」

スタースクリームも紙を覗き込み、自分の脳内を漁って座標の特定を
試みたがそんな場所に行った事もなければメインコンピュータにもない座標
だった、つまりは未開の惑星である。

「…そんなところに惑星があるのか?」
「じゃあ…ここ行く?」
「はぁ?」
「何年後か、2体でこの惑星に向かってそれを発表すれば未開地発見の名誉だよ」
「…」


その座標は記憶を消される前にスカイファイアーが残したものだった。
スタースクリームがコインを取り戻そうと基地内を奔走してる間に地球の
座標と銀河系第何惑星かまでを調べ、それを紙に記しておいたのだ。
記憶を消された自分たちがこうなることを見越して。


「…それ良いな」
「そうだろう?約束だ」
「あぁ、その惑星には2体っきりで行こうぜ、他の奴らに手柄を分けたくねぇ」
「ふふ、君らしいね」


スタースクリームとスカイファイアーは顔を見合わせて笑った。
その惑星に向かうことを約束し、それが何を意味するかもしらずに。




ワンコイントラベル




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一応、終了です。思いの他長くなりお疲れ様でした!
これで2体で地球に向かったスカイファイアー達は磁気嵐に
襲われるわけですねー、それから1000万年後の未来があそこへと
繋がるわけなんですがもっと色々書きたかったな…!
時代(時間)錯誤系やタイムパラドックスの類は書いてる自分が混乱していかん。

ワンコイントラベル現代編
補足じゃないですがスカファでもスタスク視点でもないので本編からは
外しました。残された音波さん視点です。気になる方だけドゾー


自分はあまりオリキャラだすの得意じゃないんですが仕方なく研究員2体
だす羽目になりました、苦手な人はすいません…!

色々ネタは詰め込んだんですが捏造9割です。太陽光発電とかね、これは
未だに実験途中の作戦で実際はまだ衛星打ち上げるほど進んでないはずですが
水力や電力は構造が難し過ぎて組み込めなかった(笑)

その際に言ってる衛星型トランスフォーマーとかいないの?って発言は実写
音波さんのことです。拍手で気付いた方いて嬉しかったです^^
ワンコイントラベルの意味はまんま「ワンコインで旅行できるよ!」って
意味です。適当すぎる。