epilogue



カツっと音が響いた。




床に何かをうちつける音が一定のリズムで響く。
鉄の指を床、いや地面にぶつけて奏でる音。
メガトロンの寝室でよくやっていた行為だ。
メガトロンが構ってくれない時によくやる自分の癖だ。
むくっと起き上がって地面に降ろしていた手を口元まで持ち上げた。

「…馬鹿ファイアー…恥ずかしいんだよてめぇ…」

その恥ずかしい台詞を言っている間ずっと唇を押し付けられていた指を唇に押し当てる。
別に目が覚めていたわけではない。
大事な日がなんとかかんとか言ってる時にブレインサーキットが動き始めた。
暫く気絶していたようでアイセンサーが上手く動かなかったが今なら視界が見渡せる。

「…馬鹿やろう」

口元がにやけてる。あいつが面白いこと言うからだぜ。
くっそ。馬鹿らしい。何が守るだ。何がゆっくり過ごそうだ。

「…それもいいか」

自分の女々しい思考に嫌になる。
スカイファイアーよりもそのスカイファイアーの帰りを待つ自分は更に馬鹿だ。
あんな酷い目にあわせたのにそれでも優しいスカイファイアーはお人よしのお間抜け野郎だが
メガトロンのあの仕打ちを受けて幾らよりどころがねぇからってスカイファイアーの言葉に
こんなにも翻弄されている自分は愚かだ。
やつの台詞を思い出すたびに紅潮して口元がにやける。

普通言えねぇだろうがよ。あんな台詞よ。

へらへらする顔を引き締めようと目をぎっと細めた。
熱に浮かされたブレインサーキットを冷静にするとやっとわかったことがある。

「…あぁ?」

ちかちか光るものが目に入った。



*





「え?」
「いや、だからね」
「皆知ってたってことだよ」
「…全部、皆?」

皆を呼んで、全員の前で「サイバトロンを抜けさせて欲しい。何か罰があるなら受ける」といった。
暫く黙った後コンボイ司令官が「まったくしょうがないな」とため息を吐いた。
続けてマイスター副官が「スタースクリームをつれておいで」といった。

「…し、ってた?」
「君が捨てられるはずないよ」
「…」
「自分のエネルゴン摂取量を極限まで切り詰めてスタースクリームに渡していた。違うかい?」
「…マイスター副官」
「渡していたって言うのは間違いだね。まだ、スタースクリームは目が覚めないのかい?」
「…は、い」
「私が見るよ。軍医の私と研究員じゃリペアの腕はまるで違うよ?」
「ラチェット…」

仕方がねぇなーと皆同意する。その顔は「仕方がない」と言うよりは少し微笑んでいる。
あぁ、サイバトロンとはなんと素晴らしい軍なのか。

「早く行ってこいよ」
「いっておくけどスタースクリームが目を覚ましたら話は別だぜ!」
「大丈夫さ!スカイファイアーがちゃーんと手綱をとってくれるでしょ?」

バンブルやクリフ達の言葉を聞きながらコンボイ司令官を見つめる。
一度頷くと背中を叩かれた。

「いって来い。スカイファイアー」

背中を押された勢いで「はい」と返事して今までいた洞穴に向かう。
後ろから「部屋どうする?」「スカイファイアーと一緒でいいよ」
「あのスタースクリームが言うことを聞くとは思えませんが戦力になりえますかね」など聞こえた。
迎え入れてくれるらしい。スタースクリームを。ありえない。
ますます彼が速く目覚めないか待ち遠しくなった。
スタースクリーム早く起きておくれ。また君と一緒に空を飛べる日が来る。

空をいつもよりも速度を上げて飛んで一ヶ月通いつめた洞穴のある崖までたどり着く。
空を飛びながらトランスフォームして足の裏からでる気流を少しだけ弱めた。

「スタースクリーム!」

駆け込んだ洞穴の中。見慣れた寝台とリペア機具。
しかしそこにいつも通り眠るスタースクリームの姿はなかった。

「…スター、スクリーム?」

心が歓喜と不安でせめぎあった。どこに?どこにいるスタースクリーム。
目覚めたのかい?連れ去られたのかい?どっちだ。スタースクリーム。

スタースクリームに接続していたリペア機具に触れると微かに触れた痕跡が残っている。
スタースクリームに挿していたコネクタケーブルがぷらぷらと寝台から垂れ下がりゆれていた。
そのケーブルを手繰り寄せて先のほうを見ると削れている。
何かに押し当てたような、もう使い物にならないなと思った。
それから壁に目が行った。


「……」


えぐれた壁に手をつけてそこに描かれるセイバートロン星の文字をなぞる。


『帰る』


「…君の目が覚めただけで私は嬉しいよ」

なのに残るこの後悔はなんだ。






*







「スタースクリーム!!」
「お前っ、どこ!いって…!」
「…スカイワープ…サンダークラッカー…」

両サイドから強く抱きしめられて身体が軋んだ。
痛みに目を細めるがそれ以上に久しぶりの同機の姿に安心感を覚える。

「いっかげつ…!!一ヶ月だぞ!馬鹿やろう〜!!」
「連絡つかなくて焦ったよ馬鹿!」
「…うっせぇなぁ…帰ってきただろ」

スカイワープが腕にすりすりと頬をこすりつけてくる。
その頭を撫でるとスカイワープが見上げてくる。

「…ただいま」
「スタースクリーム!俺にも!」
「…サンダークラッカー…なんだよ。お前まで」
「いいから!」
「…ただいま」
「おかえり!」


その後もきっちり両側を2体が挟んで歩いた。
時々デストロンの同胞とすれ違うと「お!」と声をかけられ
「どこいってたんだよ」「おかえり航空参謀」と言われた。
スカイワープとサンダークラッカーが寄せ付けないオーラを放っているため近寄ってはこない。
なんだこいつら。どうした。

寝室まで2体に送られる。
入室する為にアクセスコードに手をやると後ろから声が聞こえた。



「おかえり」
「……サウンドウェーブ」


思わず唖然とする、「おかえり」?だと。
暫く呆けて見つめたが特に何か言ってくる様子もなかったのでわざと大きくため息を吐いた。

「…お前だろ。メガトロンに俺の居場所を教えたの…」
「連絡できるようになったと伝えただけだ」
「…」
「死にぞこないはどうした」
「…あ?」
「スカイファイアーは殺してきたか」
「……」

サンダークラッカーがきょろきょろして焦り始めている。
スカイワープがアクセスコードを入力して扉を開く。

「ほら、スタースクリーム!まだ安静にしねぇと!」
「そうだぜ…!サウンドウェーブも後にしろよ!」
「……わかった」

「サウンドウェーブ」

背を向けたサウンドウェーブにスタースクリームが呼びかけた。
こちらに顔を向けたサウンドウェーブの顔を見ず、スタースクリームは部屋の中に
一歩足を踏み入れる。


「覚えとけよ」


スカイワープとサンダークラッカーにはその意味がわからなかった。





*





2体がやっと寝室からでていった。
サンダークラッカーとスカイワープがいなくなったのを確認して寝室をでる。
そのまま誰にも会わないようにある部屋へ向かった。


「…メガトロン様」
「ようやく来たか。スタースクリーム」


断りなく破壊大帝の寝室に入ってきたことをメガトロンは咎めもせず
寝台を指差すと「座れ」と呟いた。スタースクリームも黙ってそれに従う。

メガトロンはスタースクリームに背を向けたままだった。
スタースクリームもメガトロンの表情を盗み見ることもせず言われたとおり寝台に座り
床を見つめた。
メガトロンはカノン砲を拭いていたようでそれを壁に立てかけるとようやくこちらを向く。

「一人きりの旅路はどうだったかな?スタースクリーム」
「…」

顔をあげるとそこにはいつも通りの笑みを浮かべた破壊大帝がいた。
何もなかったかのようなその雰囲気に飲まれそうになるのをスタースクリームは感じた。

「…あんたの馬鹿な作戦につき合わされずにすんで、なかなかよかったですぜ」
「愚か者め。お前がいないと作戦の進みが良くて清々したわい」

鼻で笑うとメガトロンも笑ったような感じがした。
その顔に両手を伸ばして頬に触れ、そのまま通り過ぎて首に腕を絡ませた。


「…只今戻りました」
「ご苦労だったな。スタースクリーム。よく働いた」
「…」

その言葉を待ってたんです。メガトロン様。

強く腕を絡ませると笑いながら破壊大帝の顔が自分のところまで降りてきた。
角度を整えるように自分の顔を少し斜めにしてメガトロンの唇を食むように合わせた。
どろりと滑った舌が入り込んでくる。冷たいのに撫でられた口内は熱さを帯びていく。
これを待っていたのだと実感した。

「スタースクリーム。儂にも駆除ソフトを送ってくれんか?」
「…喜んで」

ゆったりと押し倒されている。
唇同士を押し付けあったまま互いの身体を触って密着する。

「んっ、メガトロン様っ」

背中に手を回してぎゅうぎゅうと締め付ける。口を荒らして時々額に降る唇が気持ち良い。
下半身に手を伸ばされ指先でかりかりと引っかかれると今からする行為をリアルに想像できた。
見下ろしてくる赤い目を見つめ返してその首に鼻筋を押し付けるように擦りついた。
メガトロンだ。メガトロンの匂い。機体。雰囲気。

「もう少し、足を開け」
「…っ」

無言で足を左右に割るとメガトロンがパネルを開いて指を入れてきた。
あまり快感が発生しないのは暫くご無沙汰だったからだろうか。それとも。

「…締め付けが悪いな」
「…誰のせいですか…」
「儂のせいではないと思ったが?」
「っあ!」

一気に指を3本に増やしてばらばらに動かす。
そんなことしなくてもきっとメガトロンのコネクタは自分のレセプタクルに簡単に収まるだろう。
スカイワープの言ったとおりレセプタクルの交換が必要なんだ。緩すぎる。

「…っ…っあ…ひ!」
「……」
「うぁ!」

ばらばらに動かしているのに的確に内部を擦り自分に快感が発生するようにするメガトロンを見上げた。
口元は笑っているが目が笑っていない。少し怒っているようにも見えた。
確実に自分を追いやるメガトロンに悲鳴を上げるようにすがりついた。

「め、めが…!」
「…スタースクリーム。お前を信じないわけではないが、皆の前でもその顔を晒したのだろう?」
「んっんぁっ…!」

顔を左右に振る。片手でその顔を固定されて口を噛み付くようについばまれた。
内部で動く手は止めず、口内を荒らすだけ荒らした後メガトロンはもう一度見た。

「スタースクリーム…」
「っあ、でも、い、いかなかっ…た!」
「…感じたのか」
「ぁ、ふっ…」

数度頷いてメガトロンにすがりついた。嫌わないで下さい。メガトロン様。お願い。
ごめんなさいごめんなさい。と何度も言ったが下からの快感に言葉を正常に発することが出来ない。
目元に唇を押し当てられる。それと同時に動き続いていた指も止まった。

「…メガトロン…」
「わかっておるわ」

次のメガトロンの表情を見ると笑っていた。
それは清々しい笑みではなかったがその表情から怒りは伝わってこなかった。

「んっあ!…やっ…ぁ!」

メガトロンのコネクタが押し入ってくる。
一気に奥まで押し入ってきたそれに身体が震える。
両手で口を押さえて声を殺したのはメガトロンの嫌いな行為だと知っていたのに
最近の癖か、殺しきれない声を押しとどめる為に手で口を押さえた。

「…」
「っ、ん…」

上手く声を殺す。
歯を食いしばって、時々口をあけてもそこからもれるのは吐息だけだった。

「随分声を殺すのが上手くなったな?」

小刻みに顔を左右に振って意味もなく否定する。

「それは許していない行為だ。スタースクリーム?」
「…わ、わかってま、っ…」
「お前を今抱いているのは誰だ」
「メガ、…トロン様っ…」
「そうだ」

高圧的な言葉にスパークがじんと揺れた。
この人が好きだ。鬱陶しいくらいに。

接続している部分から少しずつ、よろよろとしたパルスと同時にウイルス駆除ソフトを送った。
メガトロンはそれに気付いて口元を笑わせると繋いだ部分から快感を含むパルスを送り返してきた。

「ぃっ!ああ!」
「良い声だぞ。スタースクリーム」
「メガトロン様っメガ…っ様ぁ…!」

必死に送ろうとしている自分を押さえつけてメガトロンは笑った。
両腕を押し倒された寝台に投げ出して薄くアイセンサーで捕らえたメガトロンが自分は好きなのだ。



*




お前はまだ戦闘に参加はしなくていい。ここにいろ。

その言葉に甘えたのは体調が万全ではないからだ。飛ぶのも正直辛い。
作戦上、メガトロンの近くにいるが本当なら基地待機させたかったのがメガトロンの内心だろう。

身体が軋む理由。
ひとつはスカイファイアーに治療された部分をメガトロンとサウンドウェーブが全部品交換したため。
サイバトロンの部品など持ち込むなと言う話だったが部品を一新すると慣れるまで動きづらいのだ。

更に言うならメガトロンとの交歓行為がいつも以上に激しかったのも理由にはいる。
当然、下半身のレセプタもレーザーウェーブより取り寄せられた新発売の高級品のもので交換した。
つまりはもう2度と駆除ソフトを他の誰かに送信し、明け渡すことが出来なくなったのだが
メガトロンはこんなことは2度とないだろうから構わないと交換を促した。
新しくなったレセプタクルの慣らしにメガトロンに再度呼ばれたのが昨日。
しかも新しい部品な分、慣れているはずの行為が初めてのように感じて酷い目にあった。
デストロンに戻ってからヤりっぱなしだ。


「コンボイ!!」
「メガトロン!」


「おーおーやってらぁ」


目を凝らすと崖の下のほうで戦う上司が見える。
あたりを伺うとカセットロンが中々の功績をあげてる。あーあ、ジェットロンはあのざまか。
自分はばれないように崖の上で身を隠していた。覗き込んで状況を把握していく。

ぼっ、と音がして後ろに誰かが舞い降りた。
ジェットを小さくしていってゆっくり地面に着地する白い機体。

「…スカイファイアー」
「おはようスタースクリーム。調子はよさそうだね」
「……そうでもねーよ」

顔をそらす。こいつなら攻撃してくると言うこともないだろう。
すたすたと近づいてきて手を掴まれる。驚いて見上げるとスカイファイアーは掴んだ腕を見ていた。

「治療の後遺症はない?デストロン仕様のリペアは難しくてね」
「あ、あぁ…ってか…その…リペアし直した、し…」
「そうなのかい?ゆっくり見せて…」

手のひらを眺めて手首から肩にかけて擦るようにスカイファイアーは眺めていた。
くすぐったいがあまり騒ぐとここにいるのがバレちまうしな…

「おい、スカイファイアー。もういいだろ」
「……」

手のひらをぎゅっと握られる。
スカイファイアーの意図が知りたくて青い眼を見つめなおした。


「……お、おい」
「…目覚めてよかった」
「……あぁ」
「君が、寝ている間に、言った言葉があってね」

手が一瞬震えた。
もう一度言うのか。あの言葉を。

「これを聞いてから決めてくれていいんだ」
「…」

逸らそうと思っても目がはなせない。罪悪感のようなものが湧き出てくる。
あの時感じたスカイファイアーへの喜びを忘れたわけではない。
あの時感じたメガトロンへの憎しみを忘れたわけではない。
こいつの言葉に、俺は救われた、一緒に生きていくのも悪くないと、思った。

掴まれていた手は今では絡み合って指同士が強く結びついている。

「君を、サイバトロンに」

スカイファイアーの声がそこで途切れる。
内心、スパークがばくばくいっていたので勿体つけられているような感覚だった。
サイバトロンに?なんだ、スカイファイアー。言葉の続きを想像できない。
しかし黙ってしまったスカイファイアーの理由は簡単だった。


「…スタースクリームを連れさらったのは君かい?サウンドウェーブ」
「サ…サウンドウェーブ!?」

振り返るとすぐ近くにサウンドウェーブが銃器を構えて立っていた。
寄ってくると銃器でスカイファイアーと俺の繋がった手を叩いた。

「いってぇ!」
「っ…」
「…スタースクリーム。メガトロン様に見られても良いのか」
「っ…なんだよ!何もしてねぇ!」
「しようとしてた」

叩かれた衝撃で離れたスカイファイアーに再度銃器を向けると
サウンドウェーブが俺の羽を掴んで後ろに下がった。

「いででで!なんだよ!」
「…そろそろ撤退だ。飛べ。のせろ」
「はぁ!?いでで!わかったよ!」
「あっちでトランスフォームしろ」

あっちといわれた方向に突き飛ばされる。
にらみ合う2体から離れるとトランスフォームした。


「スタースクリームは自分の意思で帰ってきた。お前とサイバトロンへは行かない」
「……流石情報参謀殿だね。どこまで知っているのか聞いてもいいかな?」
「ここでお前を破壊するとあいつがうるさい」
「君はスタースクリームが好きなのかい?」
「それはない」


トランスフォームし終わってサウンドウェーブの名前を呼ぶ。
2体はまだ睨み合っていた。
何か話していたようだがトランスフォーム中は変形音がうるさくて聞き取れなかった。

サウンドウェーブが走ってくるとそのままカセットに変形した。
F-15で飛びながらキャノピー内にサウンドウェーブを仕舞いこむと
メガトロンの撤退の合図が聞こえた。
振り向くことなくスピードをあげる。
メガトロンたちとは少しはぐれた様だが基地に戻ればまたすぐにあえるだろう。
そのまま後ろから追っ手のない事を確認して海上まで一気に飛んだ。


「スタースクリーム」
「んだよ」
「何をされた」
「何も」
「何もか」
「何も。なんだよお前」
「………」
「……なに?」
「何でもない」
「…あっそ…」

「スタースクリーム」
「んだよ」
「『覚えとけよ』は、どれのことだ」
「……そんなに身に覚えあんのかよ」
「スカイファイアーを死にぞこないと言ったことではないのは理解してる」
「……じゃあどれだと思った?」
「…」
「…」
「…何でもない」
「……あっそ…」



基地に戻るとまた馬鹿2羽がへばりついてきた。
「帰ってこないかと思ったぁあ!」と騒ぐうるさい2羽を捨て置いてメガトロンをみる。


「愚か者。遅いぞ」
「サウンドウェーブが」
「また人のせいか!この愚か者め!こい!」
「ちょっ、い、いだだだ!!!」

2羽が後ろで笑ってる。お仕置きだとにやにやしてる。
羽を掴まれて引きずられるとその間にすれ違ったデストロンの同胞達もにやにや笑った。

「ちょっと!メガトロン様笑われてますよ!」
「いいからこんか!」
「いててて!」

メガトロンの寝室。その寝台に放られる。
あぁ、またか。この人も飽きないな。

「スタースクリーム」
「…」

大きくわざとらしくため息を吐く。
肩をすぼめて両手を挙げると含み笑いをしてやった。

「全てあんたの仰せのままに。破壊大帝?」

首を掴まれて唇をふさがれる。そのまま寝台に押し付けられて。

きっとこれが終わって目が覚めるとサウンドウェーブからモニター連絡が来るんだ。
メガトロンは行為が終わった機嫌の良い声でサウンドウェーブと次の作戦を考えてる。
その声で目が覚めた俺はつまらなそうに床を叩く。サウンドウェーブが呆れた声で
「うるさいからそいつを黙らせろ」って言う。仕方なさそうに笑うメガトロンが近寄ってくる。

そんな日が好きだ。そこまで想像してメガトロンからの直接的な刺激で声をあげた。

「何を考えていた?」
「…っ…なにも!」

にっと笑うとメガトロンも笑った。


俺の望みは地球に来た頃とかわらねぇさ。

サイバトロンなんか殲滅してエネルギー確保してセイバートロン星に戻ったら
またあの頃に戻れる。
だから今は笑いながら唇を重ねてくるメガトロンで満足しておく。
それが達成されるまで、あんたと共に。







俺様の名前はスタースクリーム。
元研究員で、現在は悪名名高きデストロン軍団の副官であり、軍団の主戦力の航空兵の長。航空参謀だ。
現在位置は、セイバートロン星より約1800万アストロ東へ。銀河系の地球に基地を構えて
セイバートロン星のためにエネルギーを奪取。そしてサイバトロンの殲滅が目的。

デストロンの破壊大帝メガトロンの慰み者。愛人もしている。
嫌ではない。メガトロンは案外行為の最中優しいからだ。だから俺は喜んで相手になってる。
この感情に名前をつけるなら愛にも近いだろう。メガトロンも「好きだと言ってみろ」と頭を撫でてくるし。

メガトロン。好きだぜ。愛してるって言ってやるよ。むかつくけど嘘じゃねぇさ。
だからこの星が嫌いだ。この感情を奪っていくこの星を地球とは呼ばない。


死の星で十分だろう?
だってエネルギー奪取が終わればこんな星、すぐに消え行く運命さ。



「愛してるって言ってやるよ」
「言わんで良いわ。馬鹿ものめ」





アオグ星。











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nirvana=涅槃。悟り。束縛、悩みからの脱出。円満。安楽。


リクエストはスタスク総受け(デ軍×スタ+スカファスタ)でEDの分岐でした。
更に細かくリクエストくださったんですが再現はこれが精一杯…でした!すいません!
風呂敷広げすぎてこまっちゃったぜ、へへ…ってなってました。あららだな自分。フラグが拾いきれない。

まだまだ腑に落ちない点が多いと思います。
特に音波さんとスタスクの関係は「曖昧」をテーマにしてたんでね!スタスクの帰ってきた理由とか。
実は別verとしてつくってます。見なくてもおk曖昧を補完
私の心の中では曖昧じゃないわ!って方は読まないことを推奨します。

スカイファイアーとスタスクは最後まで致すつもりでしたがスタスクがあんまりにも
ビッ○だったのでやめた…
スカイファイアーはとっても貧乏くじでしたね。でもスカイファイアーが思ってる以上にスタスクは
スカイファイアーの事を気にかけているのでここもまた一悶着ありそう。
実は起きてました聞いてました!なんていったらスカイファイアーは
どんな行動に出るかわからない危険人物です。

自分で書いてると荒に気づく…!スカイファイアーもウイルス駆除ソフトもってるんですよね!
そしてレセプタクルも古いものだからスタースクリームとは互角の条件なんですがね。そこはまぁいいか。