「…音がした…しかし振り返っても何も居ない。アイセンサーを拡大しても、サーモセンサーに変えてもだ」 スタースクリームは普段より静かな声で話した。 サンダークラッカーはコタツの中にいながら足先が冷えて仕方がなかった。 スカイワープにいたっては翼がぷるぷる震えている気がする。もしかしたら自分の見間違えなのかもしれない。 「そ、それでどうなったんだよ!」 「まぁ、落ち着けよ。スカイワープ…その部屋に居た3体はなさけねぇ事に声一つ上げれなかった… 1体が見てくると立ち上がって廊下を見てくると言った…するともう1体もついていくと言い出した。 最後の1体は恐ろしくて動けなかったのを理由にその場に残ったんだ…」 「う…」 「それで…?」 「2体は扉の外にでた。…戻ってこない。暫く待っても2体は戻ってこない…」 スタースクリームの指の火が大きくゆらりと動く。 スカイワープは火の揺らめきで影が動くと背後をよく確認していた。 サンダークラッカーも正直怖くなってきた。 「しかし怖くなったそいつは立ち上がって後を追おうとした。すると、戻ってきたんだ」 「……」 「……」 「ノックするんだ…鍵は開いているのに…」 スタースクリームの声が冷たい。いつもの口調で言ってくれれば良いのに。 コタツの電源が切られたような寒さが吹く。 「立ち上がって扉の前まで来てたんだ…そのまま開けてやれば良いのに開ける事が出来なかった… むしろ鍵を閉めなかったことを悔やんでいたくらいだ。ノブでなく鍵に手をおいて鍵をかけようとした。 すると扉がゆっくり開いたんだ」 カタン。 一番飛び上がったのはスカイワープだが同じくらい飛び上がってたのはスタースクリームだった。 スタースクリームは気分の問題なのか小さな火を更に小さくした。 サンダークラッカーとスカイワープの寝室の扉は少しだけ開いたのだ。 扉と言っても今の話の内容とは違う、スライド型なのだが少しだけ隙間をあけて固まった。 話の内容的に驚くのは仕方がない。しかしタイミングが悪い。 「さ、サンダークラ…クラッカー。閉めてこい」 「なっ!なんで俺が!?」 「寒いからだよ!」 「そうそう!!!」 「スタースクリームてめぇ!一番扉に近いじゃねぇか!」 「るせぇ!早く閉めて来い!」 サンダークラッカーはすでに冷えていた足を曲げるとゆっくり立ち上がる。 コタツからでると更に冷えて冷えて仕方がない。この部屋はこんなに寒かったか?と思いつつ 扉まで歩いてパネルに手をかざすと閉めるために認証を開始する。 立て付けが悪かったのだろうか?一度開き始めたら途中で止まるだなんてないんだが。 振り返るとスタースクリームがスカイワープの隣に座っていた。四面コタツの一面ずつでなく、一つの面にでかい図体を2人で。 あのヤロウと思いつつも自分より偉そうなジェットロン2羽がぷるぷる震える様は見ていて滑稽であり、可愛いくも見える。 パネルに手を置いていたままだったので音声メッセージで「認証完了」と聞こえた。 そのまま扉を閉じるように操作しはじめる。 『生命反応あり。ただちに退去してください』 「はぁ?」 「どうした!?」 「なんだ!?」 確かに扉に何かが挟まっていると扉は閉まらなくなるが、ぱっと見たところそんなこともない。 もう一度閉めるように入力しても同じ。 サンダークラッカーは不思議に思ってその隙間にエアインテークをぶつけながら頭をつっこんだ。 「ぎゃぁああああああああ!!!!!」 「わ――――!!!」 「ぎゃ――――!!あっ!ずるいスカイワープ!!」 サンダークラッカーの叫びとともにスカイワープはどこかへワープした。 * 「……人の顔をみて喚くなどと…」 「すいませんでした」 「ごめんなさい」 「申し訳ありません」 サウンドウェーブとメガトロンがジェットロンをおいやってコタツにはいった。 「コタツがなくなっておったからスタースクリームの部屋かと思えば…」 サンダークラッカーが叫んだのはメガトロンが目の前にいたからだった。 開かない上に声をかけても反応がないのでサウンドウェーブにハッキングさせたら途中まで開いたと言うわけだ。 「中から声はするのに」とメガトロンはぶつぶつと唸った。 スタースクリームはサンダークラッカーが叫んだ時驚きのあまり腰から力が抜けていたのだが サンダークラッカーがその後小さく「メガトロンさま…」と呟くのを聞いて安堵のため息をはいた。 スカイワープはサウンドウェーブにワープ先を特定され、フレンジーらカセットロン御一行に確保された。 「大変申し訳ありませんでした!」 「スカイワープ…逃げるとは…なさけないぞ…」 「なーんで、メガトロン様たちの声聞こえなかったんだろうなぁ」 「お前らが話しに夢中になっていて聴覚機能が他の音を遮断していた可能性がある」 「ささっ!メガトロン様!俺の手製エネルゴンです!」 スタースクリームはまだ残っていたエネルゴンを再度準備して煮込むとメガトロンの口元まで持っていった。 「なんだこれは」 「案外うまいですぜ!」 「スタースクリームがエネルゴンから生成したんです」 「ほう…」 メガトロンは感心した声を上げるとどれと身体を乗り出した。 スタースクリームの手を掴むとそのまま串に刺さった固形化されたエネルゴンを口に含んだ。 「ふむ…うまいな」 「そうでしょう!」 スタースクリームは破壊大帝のお墨付きを頂き喜んだ。 ニコニコ笑うとまた新しいエネルゴンを串でさしてまた口元まで持っていく メガトロンもそれを少しだけ口をあけるとエネルゴンを口内に入れた。 「美味いでしょう!美味いでしょう!」 「あぁ。美味いな」 サンダークラッカーは子犬を見るような目でスタースクリームをみた。 しっぽをぶんぶん振って主人に懐く子犬。スタースクリームの今の現状と言っても良い。 サウンドウェーブがエネルゴンをとりだそうとしてスカイワープの方をみた。 「皿はないのか」 「ねぇよ」 「…サンダークラッカー」 「あぁ?」 「あれをやってくれ」 サンダークラッカーはサウンドウェーブが指差した方向を見た。 その先にはせっせとメガトロンにエネルゴンを食べさせるスタースクリームと それを甘んじて受ける、いやむしろ楽しげの様にも見えるメガトロンが居た。 「………自分でやってくれ」 本当は「自分でやりやがれ!」と言ってやりたいのだがメガトロン様の手前、むしろサウンドウェーブにそんな怖いことは言えない。 「おい、お前ら」 「はい?」 「なんでしょう?」 エネルゴンを頬張りつつメガトロンはジェットロンをみた。 「つまらん。何か面白い話はないのか?」 「……」 「……」 「……」 ジェットロンは一度黙ると3羽で目を見合わせた。 そしてにぃっと笑う。流石同機と言うべきか、考え付くことは同じのようだ。 「それでは、ホラーなんて、いかがでしょうか?」 スタースクリームの冷ややかな声で始まった語りを メガトロンとサウンドウェーブはエネルゴンを食べながら聞くのだった。 ----------------------------------------------------------------- 後半のホラーのくだりは書くつもりなかったんですが… えろ自重中。スカワがえろに走りかけましたがとどめました。ナイスカット。 金属生命体だけど翼がぷるぷるした可愛いと思うんだ…