目を伏せて、耳を澄まして立っていた。
誰も気付かない、私の隣を通っていった仲間も自分の存在を認識できずに居る。
ユニクロンの中は静かだった。しかし耳を澄ますと蠢く音が聞こえる。

(ナイトスクリーム…)

光の弱まっていた瞳に強い輝きが戻り、力のこもっていなかった身体を直立させた。
顔を左へ向け、その先にある回廊へと視線を真っ直ぐに向ける。

「今向かいます。ガルバトロン様」




触れない指




「ナイトスクリーム、膝の上に跨れ」
「はい。ガルバトロン様」


一切の躊躇を見せず、跨る。
体重を掛けすぎないように少し腰を浮かしたままガルバトロンを見つめ返すと
ガルバトロンは目を細めて見つめ返してきた。

「暇だ。付き合え」
「はっ」

ガルバトロンがナイトスクリームの顎を一度舐めて唇を重ねると
ナイトスクリームは慣れた様に唇を浅く開き、そこにねじ込まれる舌を受けた。
舌同士が絡んでいる間もガルバトロンは手を止めない。
ガルバトロンは指を2本ほど、ナイトスクリームの中央に位置するインシグニアの中に
いれた。
ナイトスクリームは表情には出さなかったが一度だけ身体を震わせる。

そこはナイトスクリームの記憶にはなくともスパークに一番近い場所でもあり
一度ガルバトロンに剣で貫かれ、洗脳された部位でもある。
その時の痛みが思い出されるのかそこを執拗に触られるとナイトスクリームは
言葉に出さずとも嫌がった。

ガルバトロンはそんなナイトスクリームの感情を読み取り、そこに手を這わしている。
淵を撫でて、内部の暖かさに触れるとガルバトロンは満足げな声をだした。
ナイトスクリームもガルバトロンが満足ならと痛みも何もないようなそぶりを
見せるが痛みはなくても気持ち悪い。
身体が、ブレインサーキットがそこを触れられることを拒む。

深く深く、入るところまで指を入れられ、中からどろりと液体がでてきた。
どこかの配線を痛めたか、内部損傷によるものだろう。
出てきた液体を指先にたっぷりとつけるとナイトスクリームの眼前まで持ってきた。

「舐めろ」
「…はっ…」

大量に液体のついている中指を口を大きく開けてくわえるとどろりとしたオイルを舐めた。
自分よりも大きいガルバトロンは手の大きさも自分とは比べ物にならない。
3本いっぺんには舐め取れない。ゆっくりと一本ずつきれいにしていく。

「っ……」
「続けていろ」
「はい」

ガルバトロンのもう片方の手がまた内部に入っていく。
時々わざとらしく内部で指を鉤状にして引っ掻くと喉が震えた。
喉が震えるたびにガルバトロンは嬉しそうに笑い、咥えている指を奥に
差し込んでくる。
ナイトスクリームの口の端から口内オイルが漏れ、ガルバトロンの膝を汚した。

「も、うしわけ御座いません…」
「構わん。辛いだろう。少し楽にしていろ」
「…」

首の後ろに今まで咥えていた指がまわり、引き寄せられる。
ガルバトロンの胸元に寄りかかるように頭部を預けると「休んでいろ」と
優しげな声が上から降りそそいだ。

「有難うございまっ…っあ!」
「どうした?」
「いえ…」

ガルバトロンに迷惑は掛けたくないが差し込まれた指が微かに電子を放ち、それが
ある神経に触れる。
その神経に触れるたびに身体が自分の力では保てなくなり、ガルバトロンの胸元に
身体を預けてしまっていた。
ガルバトロンの膝に跨り、胸元によりかかるだなんて自分は主になんて事をと
思いつつも身体は起き上がらない。
ガルバトロンも満足そうなのでこのままでも良いかもしれないなんて考えてしまう。

ガルバトロンとも行為は初めてではない。だがいつもここまでだ。
デストロンのインシグニアが刻まれたこの部位を執拗に愛撫し、快楽のパルスを
流され自分がもう駄目だというまでこれは続けられる。
駄目と言わなければ意識が飛ぶまでだ。
最初は何か制裁だと思っていたがそういうわけではないようだ。
現に、レーザーウェーブや他の連中の制裁の時には大抵、殴るから始まり
縛り付けたり撃ってみたり、敵陣に放置など酷く痛めつける傾向がある。
しかし自分は確かに最初は痛いのだが最終的には快楽に沈められてしまう。
特別な罰なのかと思った。片腕と呼ばれるまでの自分が不備を起こすなどと
普通の罰では値しないのかと。

ところが敵に負けようとなんだろうと怒鳴られる程度であまり痛めつけられることは
ない。
むしろ功績をあげたり、ガルバトロンのために大いに貢献した時などにこれは
行わられるのだ。
ガルバトロン様なりのお礼なのだろうかと最近では考えている。
数日前に敵からの攻撃を庇った時はリペア後に呼び出され、余計な事をと怒られると
思ったがそういうわけではなく、今のような状態になり結局次の日まで
離れることを許されなかった。

「ひっ……」
「声は殺さなくて良い…好きに鳴け。ナイトスクリーム」
「…っぁ…ガルバ…トロ…様っ…」

脚が痙攣を始める。
背筋が震えて力の抜けた上半身がガルバトロンの胸元に完全に寄りかかる。
浮かしていたはずの身体も余裕がなく、全体重をガルバトロンに預けるようにする。

「ナイトスクリーム」
「…はっい…」
「少し起き上がれ。顔を見せろ」
「はっ……」

両腕に力を入れて身体をガルバトロンの胸元より起こすと上からガルバトロンの
眼光が降り注ぐ。
快感に耐えながら身体が倒れないように保つ。見つめ返すとふっと笑う声が聞こえた。

「この時のお前は、本当に良い顔をする」
「……左様で御座いますか…」
「あぁ…」

頬を撫でられてその大きい手に安堵感を覚えているとその手が
ゆっくりと身体を下りていく。
ガルバトロンの左手は未だに中心部に差し込まれているが、頬を撫でていた
右手はそのまま通り過ぎキャノピーを通り過ぎて脚の付け根に触れる。
ナイトスクリームはそんなところを触られたことはなかったので
少し目を丸くして手の動きを追うと少しだけ首をかしげた。

「ガルバトロン様?」
「…ナイトスクリーム。お前は儂に何をされても嫌がらんか?」
「もちろんで御座います。私はガルバトロン様のご意思のままに…」
「……」

ガルバトロンは足の付け根と腰の部位を何度か撫で、往復すると手を止めた。
その時の表情をナイトスクリームは見逃さなかった、心情を読み取るのが苦手なのは
自分でもよくわかっているがガルバトロンの表情が躊躇を含んでいるのに
気付けたのは相手が自分の大切な主だからだ。

「やめておこう」
「…ガルバトロン様…?私は何をされても…」
「黙れ。ナイトスクリーム」
「……申し訳御座いません…」

止まっていたパルスが再度流れ始めるとナイトスクリームは弓なりにしなった。


*



「……ナイトスクリーム」
「……」

当然だ。呼びかけには答えない。
自分が呼べばどこに居てもやってくるこいつが、自分の膝の上で眠っている。
しかも呼んでも、少し揺さぶっても起きない。仕方がないのだ。
限界までこいつは耐えた。脇から手を入れ、背中に左手を回し支えて
自分の身体の上で全体重を預けて眠る。頭部を胸元に擦り付けられると
自然と口元が緩むのがいけない。開いている手で口を押さえる。

「ナイトスクリーム」
「………」
「よく頑張ったな」
「………」

屈んで顔中に唇を触れさせても反応はない。
汚れた中心部は起きたら片付けさせよう。インシグニアが表示されるこの
スパークに最も近い場所。ここに触れると暖かく、かつナイトスクリームの
あられもない姿が見れるので自分は好んで触る。
しかしそこまでが自分の出来る範囲だ。

いくらコイツが構わないと言っても、触れるべきではない。
ガルバトロンはキャノピーの下に隠されているであろう下腹部のパネルを
想像して自分のスパークを震わせた。



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ガルナイらしいガルナイ。
ガルナイ…らしくもないか。チキンガル様(なんてことを…)

ナイスクって初代と違ってキャノピーがかなり下に位置されてて
キャノピーの上に変な丸い所あるんですよね。なにこれ?(…)
ガル様に刺されたときに「もうすぐお前のスパークにこの剣が届く」みたいなこと
言われてたからまぁ近いんだろう