「うんっ…」
「最近声が出やすくなってきた」
「ぁっ!言うな…!んぅっ…!」


スタースクリームは床に頭を擦りつけながら下半身にいつもの重みを感じていた。
四つん這いになって後ろからサウンドウェーブに挿入され、前のケーブルを
指で強くつかまれ抑えられると堪らなく身体が震えて声が漏れた。

「イキ…たい…!放してくれ…!」
「もう少し我慢したらだ」
「てめ…っ!…ぁっあ!」



情報参謀の手懐け方



「ドS」
「………」
「ど変態」
「………」
「むっつり」
「黙れ」


スタースクリームはぼんやりとしながら処理をサウンドウェーブに任せていた。
床や腹部に飛び散ったオイルを片づけ、スタースクリームの下腹部を拭いた。
スタースクリームはその様子を見つつ、感情なさげにサウンドウェーブに暴言を吐く。

地球時間にあらわして1ヶ月ほど前に初めてサウンドウェーブと繋がった。
サウンドウェーブとは色々あって初めて繋がった時は苦しさもあったが
初めて味わう快感と無口なこの男が自分を欲して意思をあらわにしてくれた事に
自分の感情が震えた。

実際、この男との接続は気持ちが良かったし、行為中にサウンドウェーブが
小さく漏らす吐息はこの男の好きなところの一つでもあった。
問題があるとしたらこの男は普段からサディズムの傾向が強かったが
交歓中は更にサディスト。加虐性欲の塊と言って良い。
最初の行為がどれだけ自分を気遣ってくれていたかがわかる。
初めてこいつとの接続は言葉を発したいのにどうすればいいかわからなくなる
自分に対して「どうした?」と声をかけてくれた。
苦しくて喉を引きつらせれば頭を撫で、キスをして優しげに触れた。

「別に自分はサディストではない」
「サディストだろ!!さっきの…!!あれはなんだよ!!」

数分前に交歓行為をしていた。
スタースクリームが自室で仕事をこなしていたのだがそこにデータを渡しに来た
サウンドウェーブが現れ、いい加減デスクワークに飽きてきたスタースクリームが
「暇だー」とサウンドウェーブに絡んだ結果、行為に至ってしまったのだ。

スタースクリームはサウンドウェーブに触れてもらうことを好んでいた。
カセットロン相手に撫で慣れているのだろうが、頭を撫でる手付きが気持ち良い。
この男はデストロンでもかなり使える、やろうと思えば何でも出来るような男だが
まさかこういった行為まで得意だとは思っていなかった。

だからと言ってスタースクリームは接続自体は好きではなかった。
身体にかかる負担がかなりのものだと最近分かったのだ。
接続に酷使したレセプタが擦れて痛いし、何度言ってもこの男は中に出すことを
やめないし、先ほどの行為なんてケーブルの根元を掴んで
オイルを排出できないようにされていた。この男いわく

「イクのが早すぎる」
「黙れ!俺の勝手だろうが!」
「腰がだるくなるのは何度もオイルを排出するからだ。回数を減らす為に」
「腰がだるくなるのはお前が中に出すからだ!!」


スタースクリームは何度ももうだめだと告げたのだ。もうイカせて欲しいと。
なのにこの男は聞き入れず、快感とその快感を放つことが出来ず震える
スタースクリームを見て笑ったのだ。

「良い眺めだった」
「だからサディストだって言ってんだ!」
「違う」
「はぁ!?何が違うって!?言い訳は認めねぇぞ!!」
「そんなにサディストになってもらいたいのなら構わないが」
「…は?」

サウンドウェーブは処理を終えたスタースクリームのパネルを閉じてやると
床に横になるスタースクリームの腕を引っ張り抱きおこした。
スタースクリームは驚きと腰の痛みに「いっ」っと声をあげたが
サウンドウェーブがキャスターのついた椅子を引っ張ってきてそこに座らせてやる。

「さ、サウンドウェーブ?」
「どうされたい?」

サウンドウェーブは普段行為中はマスクをスライドさせて口元はだしているのだが
現在はマスクは普段どおり閉じられていて表情はまったくわからない。
スタースクリームがその雰囲気に嫌な予感がして両手で押し返すと
その両手首を掴まれた。

「言うことの聞かないこの両手は椅子に縛りつけるか」
「……さ、さうんど…」
「脚も左右に開いて縛り付けるか?」
「じょ、冗談…」
「そのまま放置して」
「冗談だ!!悪かった!許してくれ!」
「………」
「なっ?お前はサディズムなんかじゃないよな!俺は今のお前が好きだぜ?なっ!」

スタースクリームが慌てて自分の発言を前言撤回する。
怒ったのだろうか?それともこれがやっぱり本心なのだろうか?
とてもじゃないが今言ったような行動に出られたら困る。困るを超えて死にたい。


『スタースクリーム』
「うぁああ!」
『なんだ!?その声は!』
「めっ、メガトロン様!?」
『先ほど言っておいた仕事は終わったか?』
「あ、一応」
『ならばもってこい』
「……」


スタースクリームはメガトロンからきた内線を取りつつサウンドウェーブを見た。
この男が何を言うだろうか?一ヶ月前のあの日を思い出す。
メガトロンの元へ行こうとした自分にした行動を。


『……まさかサウンドウェーブがいるのか?』
「……はい」
『……サウンドウェーブ』
「はい。メガトロン様」
『スタースクリームに用がある。そいつの上から退け』


実はメガトロンに俺らの関係はばれている。
何時からバレていたのかは分からないが、気付いたらバレていた。

いつぞや、廊下でそんな雰囲気になってしまってサウンドウェーブに装甲を
撫でられていた所を見られた。
まだ下半身のパネルまで手を伸ばされていなかったのが不幸中の幸いか。
しかしメガトロンは「場所を考えろ」と一言だけ注意してどこかに行ってしまった。

接続をした日、メガトロンに頼まれていた仕事をすっぽかした上に
メインルームに渡されたパスワードをほったらかしにして、更に言うなら
そこで頭部破損による体内循環用オイルと最悪なことに下腹部ケーブルから
出してしまったオイルまで撒き散らして来てしまった。
その仕事、及びオイルを片付けたのはメガトロンだとサウンドウェーブは言う。

接続の後、気を失った俺のかわりに仕事をやって、メガトロンに届けようと
メインルームにサウンドウェーブが向かったらメインルームで
メガトロンが仕事をしていたというのだ。
そして極め付けに「スタースクリームの腰は無事か?」と聞かれたらしい。
その音声を録音していたサウンドウェーブに、メガトロンの生声を聞かされた時は
穴があったらはいりたい。むしろ消え去りたい。と思った。

「……」
『サウンドウェーブ』
「…了解した」
『スタースクリーム。早くもってこい』
「…はい…」

サウンドウェーブの顔がわからないからなんとも言えないが
多分怒っているだろうとわかる。


「…サウンドウェーブ」
「なんだ」
「今日の夜、行くからよ」
「…わかった」


この関係は若干面倒臭い。
それでもこの関係を切る気にはならないのが不思議だ。






*






「あいつはなんだかんだで独占欲が強いからな…それで?」
「…何がで」
「やってる最中だったのか?」
「………」

終わったデータを提出して、その確認をメガトロンが終えるまで
メガトロンの寝台に座る。
確認が終わるまでは暇ではあるがこんな会話をするつもりは無い。


「リーダーを無視するとはどういう了見だ?スタースクリーム」
「………リーダーだからといってそんな事聞くのはどうかと思いますぜ」
「くくっ…その言い方だと最中だったのか」
「違ぇ!!」


怒鳴りつけるとメガトロンは随分愉快そうに笑った。


「まぁ、儂は軍内でどう関係を築こうと関係ないがな」

仕事さえしてくれれば問題ないわい。とメガトロンは言うと
コンピューターから離れて自室に保存していただろう
高級エネルゴンをだしてきて、スタースクリームに渡した。

「濃度がかなり濃い。好きに摂取して良いが飲みすぎるなよ」
「…へぇ。あんたも気が利く時があるようで」

メガトロンから瓶に入ったエネルゴンを受け取って匂いをかぐと確かに
高濃度なエネルゴンの匂いがした。

「キサマの放ったらかした仕事を片付けたのは儂だぞ?」
「…そういえば、メインルームの…その、オイル片付けたのも……?」
「あれはサンダークラッカー達だ」
「は!!?」
「お前がデスクに頭をぶつけられた時はスカイワープが止めに行こうとして
 大変だったんだぞ」
「ちょっと待ってください。………。」


顎に手を当てて考える。
と、言うことはメガトロンを含めジェットロンの2羽はもしかしてあの場にいたのか?
頭部破損したのはサウンドウェーブに下腹部ケーブルを扱われる前だから…

「!!」
「儂は覗くつもりは無かったがジェットロンの2羽はどう考えてもわざと
 覗きに来ていたわい」
「そ、んな…!!」

さっと体中のオイルが冷えた気がした。

「あいつらも笑っておったぞ。やっとくっついたなと」
「…そんな…嘘だ…!」
「お前が接続したいと言ってサウンドウェーブに手を引かれて」
「わぁああああ!!」

耳を塞ぎたくなるような発言を聞いてしまって渡されていたエネルゴンを
一気に喉に流し込んだ。



*




「………」
「さうーんどーえーぶー」
「………」
「これ、めがとろんから」


扉の前でガタンと音がしたので扉を開けるとそこにはスタースクリームがいた。
臭い。エネルゴン臭い。
渡された瓶の中は3分の1しか残っていない高濃度エネルゴンが入っていた。


「飲んだのか」
「飲んだ」
「自分1人でか」
「飲んだ」
「………」
「飲んだ」


へらへらしつつもぐんにゃりするスタースクリームの腕を掴んで部屋に招き入れる。
なかなかこないと思っていたが、まさかこんな状態で戻ってくるとは思わなかった。

「サウンドウェーブ」
「なん、」

寝台に座らせると随分としっかりした声で呼びかけられたので顔を見ると
マスクの上からキスをされる。
スタースクリームからこういった行動に走るのは極めて珍しく、嫌ではなく
嬉しいはずなのだが驚いた。


「どうした」
「好きだ」
「…?スタースクリーム?」
「ますく、はずせよ」


スタースクリームが首に腕を回して、マスクをスライドさせるスイッチを入れる。
他人に勝手にマスクをはずされるのは好きではないのだがそのままにさせてやると
スタースクリームはバイザーに、頬に、唇にと唇を当ててくる。
滅多にスタースクリームからこういった行為は起さないのだが
エネルゴン酔いをおこしているから積極的だ。

「好きだ」
「スタースクリーム」
「ん、」
「落ち着け」


ちゅっちゅっと音が立つように顔中にキスをされる。
その唇を押し返すように指でスタースクリームの唇をふさぐと
スタースクリームが嫌そうに目を細めた。


「落ち着けスタースクリーム」
「んむ…あ」
「っ……!よせ…!」

スタースクリームが押さえつけた指を口に含んで、関節の隙間に舌先を
ねじ込んでくる。
指と指の間に生ぬるい舌が絡み、更にそこにオイルを残していく。

「サウンドウェーブ。可愛い」
「なに?」
「もっと、聞かせてくれ」
「ぐっ…!…!」

甘噛みされたり、舌で吸われたりする。
それ自体はそれほど気持ち良いはずではないのにスタースクリームの表情
舌の動きで感情が高ぶる。
スタースクリームの熱い息が指にあたるとその唇を噛んでやりたくなった。
その感情にまかせてスタースクリームの上唇を噛んでから舌を絡ませた。

「サウンドウェーブ、接続、しよう」
「……スタースクリーム…」


スタースクリームの唇を開放して顔をもう一度見ると興奮しているのか
顔の熱があがってきているようだ。息も荒く、目が少し潤んでいる。
確かに、接続したい。スタースクリーム自身そういっているのだ。
自分の気持ちも賛同だ。

しかし。

「今日はやめておけ」
「…なんでだよ」
「今日はもう一度接続した」
「だからなんだってんだ?」
「あまり酷使するとレセプタを交換しなきゃいけなくなる」
「……普段そんなこと言わねぇくせに…」
「…今日は眠れ。お前は酔っている」
「……酔ってねぇよ」

口調は確かにしっかりしてきているが内部スキャンをかけると
体内にエネルゴンが残留し正確な判断が出来なくなっているのはわかる
寝台にそのまま横にすると暫く何やら文句を言っていたが目の上に手をのせてやると
視覚的刺激か無くなった為、スリープモードへの移行が素早く行われ
結果眠りについた。

眠るスタースクリームの頬を手の甲で撫でてその熱を感じ取る。
親指の腹で目元に触れて、その表情を良く見る。
何て危うい生物だ。警戒心が無く、好意を持って接してくる相手には良く懐く。

キャノピーに手を置いて体重をかけすぎないように
覆いかぶさるとその眉間に唇を触れさせた。

この航空参謀に過保護になりかけているのにサウンドウェーブは気付かなかった。




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音波スタの後日談。
ちょこちょこ問題はありつつもデ軍公認で幸せです。
メガトロンやジェットロンを巻き込んで問題起しつつラブラブしてやがれ!

ブログで書くおって言った2度目の接続もそのうち書きます。
先にスカファスタを終わらせるぞ!