しまったとは思わなかった。本当に頭呆けてたんだ。
サウンドウェーブは表情に出ないけど暫く反応がなかったところを見ると
多分サウンドウェーブは驚いてたんだろうな。



あの性癖を知って、こんなことを言ってくるとは思わなかったんだろうな。



参謀会議






「……スタースクリーム」
「…なんでだよ。最近サイバトロン捕虜もねぇしよ…いいだろ?」


接続をもちかけた理由は自分でもよくわからない。
なんとなく、あえて言うならサウンドウェーブが首に触れたときに
サウンドウェーブが首を絞めてサイバトロンを犯すあの光景が脳裏に
浮かんだからかも知れない。ただ単に酔ってただけかもしれない。

立ち上がりサウンドウェーブと目線を同じ高さにするとサウンドウェーブは
何も言わなかった。
そのまま腕を伸ばして首の後ろで両手を絡ませるようにするとサウンドウェーブは
黙ってマスクをスライドさせた。
あー。口だ。と思ってるうちに唇が重なって触れるだけのキスを3度された。
サウンドウェーブがサイバトロンにキスをしているところを見たことがない。
と、いうかマスクを外したところすら見たことなかったから驚いた。
首の辺りにサウンドウェーブの唇を感じるとふっと息が口から抜けた。

「スタースクリーム」
「…あぁ?…なに」
「寝台と床。どっちがいい」
「ぶっ…くくっ…寝台だな」
「了解」

サウンドウェーブは俺の何に欲情できたんだかわからないが話に乗ってきた。
しかも変な気遣いを見せられて笑った。それでもサウンドウェーブは無表情で
その日始めてみた唇を薄く開くと「そのまま掴まっていろ」と耳元で言った。
移動すんじゃねぇの?と思いつつサウンドウェーブの首の後ろで絡めていた腕を
更に強く絡ませるとサウンドウェーブに抱きつくような形になった。


「っうお!わ!」
「……」
「す、すげぇのな」
「普通だ」


サウンドウェーブ。情報参謀。非力。のイメージが消し飛んだ。
まさかそのまま抱き上げられるとは思っていなかった。
まぁ、ガタイはいいしなぁ。腰もジェットロンと違って太めの構造だし。

寝台まで移動すると「離せ」といわれたのでサウンドウェーブにまわした腕を解く。
背中に床よりかは堅くないだろう寝台が触れる。
寝台に横になってサウンドウェーブを見上げるだなんてこんな光景見る羽目に
なるなんてなと内心呟いた。
口には出さなかったがこれがサイバトロンどもの見てた光景かーとも思った。


「わかってるな」
「ん…なにが…?」
「俺は普通じゃない」
「…それを待ってんだぜ…」

普通じゃない。とは痛みや抵抗する様に興奮するこいつの性癖の話だろう。
笑って構わないと言うとサウンドウェーブは黙ったまま口を一文字に結んでいた。
正直経験はない。サウンドウェーブがサイバトロンを犯しているのを見て
その部位のレセプタってそうやって使うのか…と疑問に思ったぐらいだ。


「まぁ、首絞めと破損はできるだけ避けてくれよな」
「…善処する」


サウンドウェーブはキャノピーを開くと中にあるケーブルに歯を立てた。
痛みはなかったが早速かと思い顔を押し返す。

「お、おい。破損は」
「壊さない」

両手首をつかまれて寝台に押し付けられる。
サウンドウェーブが少しだけ荒く息を吸ったのが聞こえた。

キャノピー内の機具に繋がるケーブルを吸って更に奥に歯を進ませていくと
内部があらされているのを感じて声がでた。
両手が反射的にあがる。サウンドウェーブに押さえつけられていても跳ね上がった
腕を更に強い力で押さえつけられると腕がきしんで痛んだ。


「いたっ…いてぇよ…サウンドウェーブ…」
「……スタースクリーム」

一瞬で酒が抜けたんじゃないかと思うほど頭がすっきりした。
サウンドウェーブの声がサイバトロンを犯すときの声になっていた。低い声だ。
普段は真正面から見ることが出来なかった顔を覗くといつもよりも感情が
むき出しになった顔が見えた。あぁ。そうだったな。
こいつはこういう性癖だった。

「……相手が痛がらねぇと駄目だったな…お前」
「……」

サウンドウェーブは無言で返事の変わりか掴んでいた腕をかなりの力で握り直した。
びきっとひび割れる音がする。馬鹿。破損した。今の。

「ぃっ…ぁ!……ぐっ、馬鹿っやろう…」
「……スタースクリーム」

あまりの痛さにアイセンサーが一瞬くらんだが再び視界が戻ってくると
思いのほか近いところにサウンドウェーブの顔があった。
聴覚機能をつかさどる部位から顎のラインを伝って顎先まで舐めると
そこで一度噛まれた。


「っ…」

首を反らして痛みに声をひそめるとその反った首を伝って舌を移動させる。
顔を横にして唇を噛む。腕はじりじりと痛むのにサウンドウェーブの舌の動きが
嫌に熱い。

「サ…っ…サウンド…っ!サウンドウェーブ!やめろ!」
「何故だ」
「さっさと接続すりゃいいだろが!身体舐めるな!」
「……わかった」


押さえつけていた両手を片方だけ離すと右手で下腹部のハッチを開いてレセプタに
触れる。サウンドウェーブはレセプタが見えるように屈むと中指でレセプタを撫でた。
ぞくっと背筋に震えが走る。まさか撫でられただけで反応するとは思っていなかった。

「随分良さそうだ」
「黙れよ…!早く繋げって…!壊すなよ…」

サウンドウェーブは少し間をおいてわかったと一言だけ言った。
右手を構えていたのは刃物に切り替えようとしていたからではないと信じたい。

「…破損させないには時間がかかる」
「好きにしろよ…ただ壊すなよ、修理にどれだけ手間かかると思ってやがんだ」

暫く返答を待っても返事が帰ってこないのでサウンドウェーブをみると
サウンドウェーブは自分の右手の中3本を咥えていた。
驚いて変な声が出るとサウンドウェーブが顔をあげてきた。

「なんだ」
「な、なにしてんだお前…」
「慣らす」
「慣らすって何を…」
「……まさか初めてか?」
「っ…」

別に隠したいわけではない。ただサウンドウェーブが「まさか」とか言うので
とっさに「なわけねーだろ」とか言った。

「…そうか。誰とだ?」
「そんなの…どうだっていいだろうが…」
「……メガトロン様か?」
「……な、なんで?」


思わずどもるってんだ。
なんでメガトロン?本当にわからん。情報参謀殿の脳内で何が起こった…


「じゃあ誰だ?」
「だぁ!もういいだろうが!ほら!続き!」


押さえ込まれていない腕でサウンドウェーブの頭を掴むと下を向かせる。
サウンドウェーブは暫くだまったままだったが舐めた指をレセプタ内部に
差し込んできた。

「っふ…ぐ…」
「痛いか」
「…あぁ!…少しなっ…」

2、いや3本入ってる。慣れない行為に潤滑油が思ったよりでてこない。
サウンドウェーブが指を抜いて眼前まで持ってくる。


「な、んだ?」
「舐めろ」
「あぁ!?俺が!?」
「当たり前だ」
「んで俺様が…」
「舐めないならもう挿れるが破損は覚悟しろ」
「っぐ…くそっ」



顔を少しだけ持ち上げて大きく口を開くと舌を差し出した。
サウンドウェーブはその舌の上に指を乗せて何度か擦るようにしたがオイルが
足りないと思ったのだろう。口の中にぐいぐいと指を入れてくる。


「んっ!んん!!」
「…これくらいでいい」
「ぅえ!っ…げほっ…てめ…」

無言で指をいれていくと中で何度も曲げたり擦ったりした。
サイバトロン達にこんなことしてたっけかこいつ。でもいてぇし。


「いたっ…ぐっん…!」
「…もう挿れるぞ…」
「ぁあ…ああ…!」


身体が軋む。なんで俺接続しようなんていったんだ…くそっ…
既に酒は完全に抜けていた。酔いがなくなって身体が敏感に反応する。

サウンドウェーブのコネクタがちらりと視界に入った。
身体を起こそうとすると押し倒される。んっと声を漏らすとサウンドウェーブが
圧し掛かってきて額の辺りに唇を押し当ててきた。
わざとらしく音を立てて吸われる。身体がぞくぞくした。変な気を使いやがって。


「……な、んだよ…」
「意味はない」
「……んっ!!あっまて!ぁ!」
「待たない」

レセプタとコネクタがかち合って少し痛みがあったがセットされると有無を
言わさずパルスが流れ込んできた。
大きく身体が跳ねる。とっさにサウンドウェーブにしがみつくとサウンドウェーブは
頬を舐めてきた。

「っぁあ、あ…っ…サウンド…っウェーブっ…」
「……」

はぁ。とすぐ近くで息づいた。近い。口が触れられる距離だ。
サウンドウェーブを見上げるとサウンドウェーブは少しだけ息を荒くして
見下してくる。
鉄の指が首に触れて体内に走るパルスとは別の意味で身体が跳ねた。

両手がゆっくりと首に集まってくる。左右から包み込むように手があてがわれると
まだ絞められてもいないのに呼吸が止まる。

「サゥンっ…ドウェーブ…」
「……」

首を左右に振るとサウンドウェーブの手はすぐに離れた。
少し躊躇する姿を見る。「やめろ」ともう一度言うと手は完全に首を離れた。
その代わり見下していた顔が首に近づくとがりっと噛まれた。


「っあ!つっ…熱い…サウンドウェーブ…っ」
「…」


サウンドウェーブは始終静かだった。名前を呼ぶと唇をふさいできた。
まるで恋人や何かにするような仕草がおかしかった。
ただ単に俺の声が聞きたくなかったからかもしれない。


自分の口が何か言葉を紡いだ。
サウンドウェーブはそれに驚いたように身体を硬直させたがパルスに
翻弄されていた自分は自分の言った言葉もサウンドウェーブの硬直の理由も
わからず意識を朦朧とさせた。




*




「まぁ、すっげぇ気持ちよかったんだよ。実際よ」

「………………」

「そ、それで?」


あの日から幾つの年を越えただろうか。
地球で狭い部屋にジェットロンが3羽集まって、悪酔いするようなエネルゴン酒を
囲みながら語る。
スカイワープは興味津々だ。それで?サウンドウェーブが!?へ〜!
素直な感想や驚きは話している側を楽しくさせる。サンダークラッカーといえば
駄目だ。小さい声で聞きたくない聞きたくないと繰り返して聴覚機能を手で
塞いでいる。


「2体して同時に達してよ〜…息荒い俺に「大丈夫か?」なんていう
 サウンドウェーブはまぁ、格好良かったんだけど」
「ノロケか?」
「なわけねーだろ。その時は良いんだけどよ…その後落ちて一晩そこで眠って
 次の日熱も酔いも何もかも冷めててよ…」
「うん」
「冷静になって俺なにやってんだと思うと何もかも恥ずかしく」
「……終わった?」
「まだだから塞いでろ」

サンダークラッカーが時々こうやって聞いてくる。うざい。

「サウンドウェーブまだ寝てっし、こっそり逃げ出してよ〜…」
「えぇ…事後話は…?」
「ねぇよ…今日までサウンドウェーブとそのころの話したことねーし」
「え!?」

スカイワープが大きな声を上げた。

「え?終わった?」
「まだだよ塞いでろ!!今日まで一回も!?サウンドウェーブは!?」
「何も言ってこねぇな。忘れてるんじゃねぇかー?」


そう言って安いエネルゴンを一気に流し込んだ。
頭がくらくらする。何か俺言っちゃ駄目なことスカイワープたちに話してないか…?


「な、何年前?」
「さ〜…5,600万年は前じゃねぇか?もっとか?」
「うわー…もうちょっと何かあってもいいんじゃねぇの?」
「何かって?」
「サウンドウェーブと…こう。何かさ!あの頃は若かったなーとか」
「馬鹿ワープ死ね」


サンダークラッカーは耳を塞ぐのをやめて寝室の扉を凝視していた。
床に円を描いている中、四つん這いになってスタースクリームの横まで移動すると
寝室の扉を指差していった。


「あれさ。スタースクリーム…」
「ん〜?なんだよ。お前聞いてなかったろ…」
「いや、つかお前飲みすぎな…そうじゃなくて、ほれ、あれ」
「は?」


「……スタースクリーム」
「サ…サウンド……」

ウェーブの部分は本当に小さい声になってしまった。
サンダークラッカーでも聞き取れたかどうか。
つか誰だ。寝室の扉鍵閉めなかったの…最後に入ってきたのスカイワープだろ!


「んじゃ、ごち。スタースクリーム」
「また飲むとき誘ってくれ。面白い話あんがとな」
「ま、待て!待てコラ!」


サウンドウェーブは室内にはいってくるとスカイワープがにやにやしながら
サウンドウェーブの肩を叩いた。
サンダークラッカーは小さい声で「まぁ、話し合え」とか言ってる。
頼むから置いてかないでくれ。


「ま、待てよ!俺も用事があった…」
「スタースクリーム」

寝室の扉の音がいつもよりも重く聞こえた。
重い音とともに閉まるとその扉の前にサウンドウェーブが立ちはだかって
どうにもならない。


「な、なんのようだ?」
「……」

サウンドウェーブは右手を上げるとそこにはディスクがあった。

「仕事だ。メガトロンから」
「あーへいへい。そこ置いとけよ。で、お前は帰れ」
「………」
「………」
「…忘れたと思ったのか」


ディスクを机の上に置くとサウンドウェーブは振り返った。
今の一言はかなり自分を動揺させた。思わず飲んでいたエネルゴンを
なぎ倒してしまう。それよりも現状だ。どうする。
いや、どうもする必要ないだろう。


「…覚えてたのかよ。覚えの良い参謀だな。まぁ、これくらい記憶力ないと
 参謀はつとまらねぇか」
「……」

床にまき散らかしたエネルゴンを掃除しよう。そうしよう。
ボトルを1本割ってしまったので欠片を端にあつめる。

「スタースクリーム」
「っ…」

すぐ近くで声がした。顔をあげると目の前に青い機体がいる。
気にしてない振りをしてまた欠片集めに専念する。
サウンドウェーブを見ると随分昔の話のはずなのに、最近のように思い出す。
今思えば本当馬鹿だと思う。こんなやつに「接続しよう」だなんて今じゃ
絶対言えないな。アレは俺の中で汚点だ。あんな痴態をさらすだなんて。

「ひっ…!な、なにすんだ!」

首の後ろに冷たい指があたった。顔を上げようとするが首根っこを
サウンドウェーブが掴んでいて思うように見上げることはできなかった。

「まさか、お前がまだ覚えてるとはな」
「…俺様は航空参謀だぜ…?覚えてないっん…!やめっろって…」

ゆるゆると首を撫でられる。立ち上がりざまにその手を振り払うと
サウンドウェーブは黙った。こちらも睨みつける。

「いつから聞いてたんだかしらねぇけど…もう関係ねぇだろ…触るな!」
「……気持ちよかったらしいな」
「っ…あぁ!あのころは確かにそう思ったな…!」
「格好よかったか」
「……まぁ、俺もまだ若かったんだろうなぁ。今ではなんとも思わねぇけどよ!」
「本当か?」


低い声が耳についた。
何故かわからないが逃げなくてはと思った。
数歩下がると寝台が腰にぶつかった。思わずぶつかった存在を確認するために
振り返るとサウンドウェーブが両肩を掴んで押し倒してきた。いきなりだ。

「っ……!…ってぇ…な…何しやがる…」
「お前は酔っていたから覚えてないと思っていた」
「……っ」

首に舌が触れた。一瞬で身体がこわばって考えが追いつかなくなる。
サウンドウェーブを見ると何百万年も前に見た唇がそこにはあった。


「まっ…待て」
「…待たない」
「待てって!何でだよ!地球にきてから捕虜捕まえられないからか!?
 溜まってんだろ!」
「違う」
「違わねぇ!」


押し返すと手首を掴み返された。久しぶりに見たサウンドウェーブを見上げる
この角度。何でこんなことになってるんだ?昔の話じゃねぇかよ。
こいつは俺じゃなくても誰でもいいからやりたいだけだ。
サイバトロンなら気を使わずにすむから
できたら仲間内よりも敵のほうがいいんだろ?そうだったじゃねぇか。

「忘れやがれ!あんな昔の話…!」
「……忘れるはずがない」
「んでだよ!」

手首を掴む力が強まっていくのを感じつつ抵抗できなかった。
サウンドウェーブの雰囲気がそうさせなかった。

「何故、逃げた?」
「なに、が」
「目が覚めたらいなかった」
「…あれは」
「何故逃げた」

咎める様な声をだしながらもキャノピーを舐められた。
どうしてこんなことをするのかわからなかった。そんな前のことを怒っているのか。
気の小せぇ野郎だな…

「…酔ってとんでもねぇことしたって…」
「思ったのか」
「そう、だよ…だいたい勢いだけでヤッたのに、何、話すってんだよ…」
「……お前は勢いでも俺は違った」
「え…」
「犯したいと思ってた」

返す言葉がない。とはこういうことだろうか。だってサイバトロンを。
そうだろ?仲間より面倒くさくない、乱暴に扱って良い敵のほうが良いに
決まってるじゃねぇか。
すっかり力の抜けた身体を持ち上げられて寝台の上に乗せられると
近くにあった布をたぐり寄せて寝台に敷いた。

「なにしてんだよ…」
「布を敷いたあたりに頭をおけ」
「なんで…」

サウンドウェーブは布を敷き終わると黙ってこっちをみた。
逃げ場がなく、後ろにも下がれずにいると聴覚機能のすぐ傍で囁かれた。


「接続する」


反射的に逃げようとした。
それでもサウンドウェーブは逃げる相手を手馴れたように掴むと
布を敷いたあたりにうつ伏せになるように投げ出された。


「いやだ!ざっけんな!」
「ふざけてない」
「んっ…!どこっさわって…!」

下腹部のパネルにサウンドウェーブの手が触れた。
寝台の端を掴んで身体を移動させようとしても無駄だった。

「今、お前を犯したい」
「欲情すんな!やめっ…」
「あの日から、ずっと思っていた」
「っ…嘘だ!…ぅっ!」
「嘘じゃない」
「誰でも良いんだろうが…!」
「お前と接続したい」
「っ…ふぁ…んっ」

嘘ばっかり言いやがって。この嘘吐き参謀が!
それでも首根っこを噛まれてできた傷跡を舐められると背筋が震えた。
布を掴んで顔を埋める。漏れ出る声を布に吸収させて耐えた。

「お前はしたくなかったか」
「し、たくなかった!今もだ…!」
「嘘だな」
「嘘じゃっ…」

口に指が入ってくる。
その指に噛み付くとサウンドウェーブは首を舐めながら小さい声で囁いた。

「慣らす」
「っ…」

『舐めないならもう挿れるが破損は覚悟しろ』

前にも言われたことを思い出すとスタースクリームは無意識にサウンドウェーブの
指を舌で丹念に舐めた。







「っ…んっ…」
「スター、スクリーム…」
「っ…そ、こ…」
「…ここか…」
「あ、ぅ…」
「気持ち良いか…」

布を引き寄せて顔を埋めるとサウンドウェーブが首の後ろを舐めながら聞いてきた。
言わなくてもわかるだろうよ!まともに喋れないくらいに感じてんだよ!
ぐちっと潤滑油が嫌な音を立てる。自分の内部に入り込んできている
サウンドウェーブをレセプタが無意識に締め付ける。


「スタースクリーム。気持ち良いか?」
「んっ、ん!」

首を縦に振る。熱さに目から冷却水がとめどなく出てきて布をぬらした。
満足そうに「そうか」と言う声が聞こえる。

「スタースクリーム」
「んっ…ぅっ、な…に?」
「好きか?」
「なに、が」
「俺が好きか」
「っぐ!あぁ!やっ…!」
「聞こえない」

パルスを流しながら固定しないコネクタが内部を擦る。
時々外れるのではと思うほど抜かれる。それでいて時々身体の奥深くまで
差し込まれると布が吸収しないほど声が漏れた。
布に顔を必死に押し付ける。四つん這いになって尻を突き出すような格好が
恥ずかしい。
サウンドウェーブは後ろで時々気持ち良さそうに息を吐いた。
その時以外、後ろにいるのがサウンドウェーブだと
思う証拠が何もなくて苦しくなる。俺、この体位嫌いだ…
サウンドウェーブが片手でコネクタを擦るとなんとも言えない快感が走った。


「スタースクリーム。言え」
「んっ、んん!」

ガクガクと震えるように首を振る。もう何でも良い。早くいかせてくれ。

「聞こえない」
「すっ、だから!」
「聞こえない」

布から顔を離して振り返るように首を曲げるとサウンドウェーブは
顔を覗き込んできた。サウンドウェーブも余裕がなさそうに息を吐いている。
それ以上に余裕がないのは自分だ。

「好きっだから…」
「だからはいらない」
「…っ好き…っだ」
「もう一度…」
「好きだ!だっ…好きだ…から…頼む…っ」


少しだけ開いた唇を吸われる。中に舌が入り込んできて唯でさえ息苦しいのに
舌を引っ張られる。
サウンドウェーブの唾液が口の中に大量に満たされて口の端から互いの
オイルが零れた。
視界が霞む。小さく笑う声が聞こえて懸命にアイセンサーを起動させた。


「スタースクリーム」
「…さ、ウン、ド…ウェーブ…」
「好きだ」
「…」


自分の口が少しだけ動く。何か言い返した気がする。
サウンドウェーブの口元が笑っていたのを確認できた後、視界が落ちていった。




*





「……」

目を覚まして最初の第一声、いや、声はださなかった。それでも内心は
「うわぁ…」の一言に尽きた。

自分の寝台に横になって、視界がもどった時に目に入ったのは
サウンドウェーブだった。
サウンドウェーブは仰向けになっていたがまったくの微動もなく、寝息も
聞こえない。死んでるんじゃないかと思うほど静かだったが昔もそうだったと
思いだした。こいつは寝起きが悪いのだ。全然起きない。
その癖に静かに死んだように眠る。

上半身を起こすとレセプタが少しだけ痛んだ。
声が漏れそうになったのを我慢して行為のことを思い出す。
そういや俺は最後に何を言ったんだ…?サウンドウェーブが「好きだ」って
言ってきて。それで…


『…スタースクリーム』
『…さ、ウン、ド…ウェーブ…』
『好きだ』

『お、れも…』


……うわぁああああああ!
死にたい。いや、殺せ。誰でも良い。殺せ。俺を。


嫌な事を思い出した。そうだ。こいつに、こんなやつに「好きだ」なんて…
「俺も」だなんて言った…
スタースクリームは寝台に頭をぶつけると脳内から記憶が飛べば良いと思った。
顔が熱い。逃げよう。こいつが起きる前に。
ここは俺の部屋だけど、スカイワープたちの部屋でも、メインルームでも
いっそ外でも良い…それで数ヶ月帰ってこなきゃ良いんだ。そうしよう。
そうすればまたこの変な関係も切れるだろうよ。


「逃げるのか」
「ひっ…!さ、サウンドウェー…ブ」

腕をがっちりと掴まれる。
寝台から起き上がり片足を下ろしかけていた自分としては驚きだ。
いつの間に起きてやがった…

「…」
「そ、の、ちょっとエネルゴンを」

サウンドウェーブが黙って起き上がると両肩を掴んで寝台にゆっくりと倒してくる。
抵抗しないで黙って横になるとサウンドウェーブは身体の上に
圧し掛かったまままた起動音を小さくしはじめた。

「ちょっと待て。寝る気か!?」
「眠い」
「眠いじゃねぇ!どけ!」
「どかない」
「なんでだよ!」
「逃げる気だろう」
「ぐっ…その…」
「駄目だ。もう一度眠れ」
「そんな気分じゃっ…」

起動音が小さくなっていってサウンドウェーブが落ちたことがわかった。
なんだこいつ…とは言ってもまたこいつをどかして部屋を出るまでに
バレるだろうな。身体を起こす気も起きなくなってくる。
そうこうしているうちに眠くなるもんだ。


「………」


考えすぎなのか?こいつと接続することなんて何ら問題のないことなのかもしれない。
まぁ、好きだとか、そういうのは無駄に恥ずかしいから嫌だけどよ。

スタースクリームは一度欠伸をするとゆっくりとアイセンサーの起動をとめた。




*





サウンドウェーブは起き上がって暫く記憶を思い出すのに時間をかけると
隣に眠るスタースクリームを見た。さきほど逃げようとしていたな。
そう思いながらも横になるスタースクリームの頬を撫でた。

デストロン軍団に入ってきた新人の航空参謀は製造年数はメガトロンよりも
昔だったが性格的にも、軍事に関しても考えが浅く、若かった。
そんな航空参謀が自分を見下していたのはわかっていた。
ブレインスキャンをかけると「なんでこいつが情報参謀なんだよ」と文句の一つや
二つ簡単に拾った。

そんな生意気な航空参謀をいつか犯してやろうと思っていた。
サイバトロンを犯しながら、スタースクリームの首に手をかける想像をした。
好きだとか、抱きたいだとかそんな感情は持ち合わせていなかった。
ただ、犯してみたい。スタースクリームは自分の性癖を知って、興味を持ったのか
「接続しよう」だなんて持ちかけてきた。
驚いたがメガトロンに「殺すなよ」と言われていたので今はまだ時期尚早だと
思って断った。
それでもしつこく接続を持ちかけてきたこいつを殺さない程度に抱いた。
自分にしてはかなり丁寧に、優しくしてやったつもりだ。
首を絞めれないのはつまらなかったが。


『サウンドウェーブ…』
『……?』
『す、きだ』


酔っていたとはいえまさかそんな発言がこいつからでるとは思っていなかった。
驚きに身体が硬直した。スタースクリームは随分とまどろんでいたが。

行為を終えて目を覚ますとスタースクリームはいなかった。
不思議に思ったがスタースクリームは廊下や作戦会議時に顔をあわせると
何もなかったかのように接してきた。昨日の行為を覚えていないんだとすぐに
理解した。
「好き」と言う言葉も覚えていないのだろう。

覚えていないのなら追求する必要はないと放置していたのだ。
昨日まで。


『息荒い俺に「大丈夫か?」なんていうサウンドウェーブは
 まぁ、格好良かったんだけど』

『一晩そこで眠って次の日熱も酔いも何もかも冷めててよ…』

『冷静になって俺なにやってんだと思うと何もかも恥ずかしくて』

『サウンドウェーブまだ寝てっし、こっそり逃げ出してよ〜…』

『今日までサウンドウェーブとそのころの話したことねーし』


『何も言ってこねぇな。忘れてるんじゃねぇかー?』



メガトロンに頼まれたディスクを片手に少しだけ開いた扉から話を聞いていた。
覚えていたのか。スタースクリーム。
忘れているのなら、こちらも忘れてやろうと思っていたのに。
それならあの時の『好きだ』の返事を返してやろう。

あの日からずっと言おうと思っていた。





「んっ…サウンドウェーブ…?」
「…起きたか」
「………んー…」

2度寝に誘ったのは自分だが寝起きの悪い奴だ。
頬に手をやって撫でるとスタースクリームはぼんやりと見つめ返してきた。

「どうした」
「……サウンドウェーブ…」
「なんだ」
「…キスしたい」
「…」

要望どおり身体を屈めて口を塞ぐ。
スタースクリームの鼻から「んっ」と息の抜ける小さな声が聞こえて
煽られるように舌を吸うとスタースクリームの両手が首の後ろに回ってきた。

「…スタースクリーム」
「んっ…なに」
「好きか」
「……んー…まぁ」
「好きか」
「…好きだ」

若干嫌そうに言ったが酔ってもいない今の状況でこの発言を忘れたとは言わせない。
若気の至りやら酒のせいやらで誤魔化されない。


「サウンドウェーブ…」
「なんだ」
「首、絞めなくてもできんだな…」
「……あれはサイバトロンだけだ」
「首絞めなきゃやれねぇ奴なのかと思ってたぜ…」
「…心外だ」


次から絞めようかというとスタースクリームは笑った。
次を否定されなかったことに少しだけ、安堵した。





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音波スタスク。りょ、両想いリクだったんですが…
ぐ、ぐふっすいませっ殴らんといて!
音波スタの両想いって本当難しくて…!互いに素直じゃないし音波→スタも
音波←スタも思いつかんのです…

公式設定が音波さんって「悲鳴が好き」(確かヘケヘケ公式)だったんでこんな
性癖持っててもいいんじゃん?みたいな気持ちで…
スタスクはただ単に破壊大好き!くらいの。

で、スタスク軍事初めてで音波さんの変わった一面に憧れたりすんだよ…
酔った勢いとかで俺ともやってみようぜ〜とか
言っちゃうんだ…音波さん的には「なんだこいつ馬鹿なの?死ぬの?」と
思うんだけどまぁムカツク新人だし少しくらい破損させても良いだろうと
思って犯すんだよ。でも「好きだ」なんていわれたの初めてで動転した挙句
朝起きたらスタスクいねーし、何か昨日のことはなかったことみたいな態度だし
あぁ、忘れてるのかじゃあ良いよ。別に。って態度で何百年間もんもんときたのに
今になって「実はこんなことあってさー」とか言ってるの聞いちゃって
覚えてたのか。ふーん。ならあの時の返事の変わりにもっかいヤるか。
ってなるんだよ。でもスタスクは「好きだ」って言ったところだけポカーンって
抜けてるから後日談では
「いや、お前が先、好きだって言ったし」「いってねーし。お前だし」みたいな
感じになるんだよ!

自分の妄想乙!↑解説ながっ!音波スタって一筋縄じゃいかねーな。ってことさ…
↓以下反転リクエストの方お願いします
樫元さんリクエスト有難う御座います^^音波スタお待たせしました…!
とにかく長すぎわけわからん小説になってしましました…!
平謝り倒したい…(´;ω;`)ブワッ
「航空参謀の飼い方」のような両想い音波スタリクだったのに何か
おかしな方向へ…すいません!とにかく音波スタは好きなカプなのでこれからも
精進します!音波スタの難しさに嫉妬だぜ…!(以上反転でした)