ぶつぶつとメガトロンが呪の言葉を吐露した。
スタースクリームはすぐ背後でそれを聞いては目を細めた。
ぐちゃっと音がするたびに視線を細めていく。

「くそ…」
「…」
「オートボットめ…」
「……」

何かを潰した音の後、液体が床に飛び散る音が続き、びたんっと何か水っぽいものが床にたたきつけられた。
既に床に降ろされていた視界の隅に入った卵の中身をスタースクリームは静かに見つめた。




genus
 



「メガトロン様」
「人間の、ゴミめ…」
「…メガトロン様…」
「死ね、死ぬが良い…」
「…メガトロン様…」

数度声をかけても反応はなく、メガトロンは5つめの卵に手を向けた。
メガトロンの手に掴まれた卵は水風船のように膨れ上がり、膨張に耐え切れなくなった卵の表層は
ぐちゃりとつぶれた音がして卵は無様につぶれ、その中身をぶちまけた。
びたびたと床に身体の構成する組織を含む液体を落としていき、最後にその貧弱な身体を床へと落とした。

「…メガトロン様!」

その手を掴んでやめさせる。
メガトロンは血走った目で見てくるが、逃げたくなる足をその場に留まらせて見つめ返した。

「…なんだ」
「…卵が、減ってしまいます」
「だからなんだ」
「数十はあった卵が今はこれだけです!」

床にぶちまけられたそれらを見て大声をだした。
メガトロンは驚くでもなく静かに見つめ返してくる。

「…ディセプティコンは…今数が減っています…」
「…」
「フォールン様がいない今、もう一度卵を作ることも…」
「…」
「八つ当たりなら、私に…」

嫌だが。
本当ならご免こうむるのだが、そうも言っていられないだろう。

「そうか」

首に手が伸びてきてそのまま床に投げつけられた。
背中を強く打って呻く。出来ることなら時間と労力のかかるほどの怪我はやめてほしい。
すぐに覆いかぶさってきた大帝は首を再度押さえて見下ろしてくる。

「聞きたいことがあったな」
「っ…?」
「あの卵はフォールンが準備したのか」
「…はい」

師が死んで、メガトロンは「フォールン」と呼ぶようになった。
死んでしまえばそんなものなのか、そうだろう。自分もこいつが死んだら
「メガトロン」と呼ぶだろう。そんなものだ。

ぎちぎちと首を絞めてくるが声帯に未だ問題はない。
返答を返すとメガトロンはその手の握力を増した。

「誰とだ」
「…誰と、とは?」
「ふざけるなスタースクリーム。知らないと、思っているのか?」

卵はあまりにも古い生産方法だ。
フォールン様に教えてもらったそれは自分のデータバンクにもない方法だった。
興味深いと同時に嫌悪も覚えた。
トランスフォーマーが行うべき行為ではないと同時に弱い卵などという生成法に対しての嫌悪。
オールスパークで生を受ければ武器を所持して生まれ、最低限の知能を保持し、既に攻撃意思を持ったまま生まれ出る。

まったく、嫌な生産法だった。


それをメガトロンは知っていた。
自分よりも前に知っていたのか、フォールン様が死する前に教えたのか
そこまではわからないがメガトロンは知っているのだ。

「どうなのだ」
「…わ、私とですが」

恥じるな。恥じることではない。
トランスフォーマーの未来の為とまでは言わないが、ディセプティコンのためだ。
何を恥じることがあっただろうか。
しかしメガトロンが自分を見下ろすその目は激しく嫌悪を含んでいた。

「そうか、やはりお前か」
「…」
「ならばお前がもう一度産めば良い」
「…フォールン様はもう…」
「何故フォールンにこだわる?」
「…?」
「このメガトロンとの子を産めば良い」

首を絞められたまま至近距離で囁かれた言葉に身体が反射的に逃げた。
逃げようと身体を捻ったが首を絞める腕の力は強く逃げられない。

「あっ、あの」
「なんだ」
「や、やったことがおありで?」
「いいや、ないな」
「フォールン様が、危険な行為だと」
「そうか、それがなんだ」
「失敗すれば、死すらありえると」
「だからなんだと言っている」
「そして痛いと聞きました…!」
「…聞いた?」

メガトロンが首をかしげた。
そう、「痛い行為」だと聞いたのだ。
実際に行為を行った自分にフォールン様はそう告げた。

「痛かったのではないのか?」
「いいえ、フォールン様は…私の痛覚と快楽の回路を落として」
「ほう」
「……」
「しかし、回路を落とすことはできんな」

メガトロンの「できんな」とは「やらない」のではなく「できない」のをさす。
完全に回路を落とすことが出来るのは今のディセプティコンでサウンドウェーブを置いて他にいないだろう。
回路を落とすことは出来ても復旧が困難なのだ。
サウンドウェーブ、フォールンならできるがスタースクリームですらそれは困難だ。
力だけのメガトロンにそれはできないだろうなとスタースクリームも期待していない。

「お前は痛みに強い、できるだろう?」
「…そんな」

死ぬかもしれないなどといわれて「はい、できます」とはいえない。

「で、できません!」
「…スタースクリーム」
「いやです。いや…」
「やるぞ」
「いや、だ。やっ…」

メガトロンが左腕を構えたのが見えた。
はっと顔をあげると同時に尖ったそれが振り下ろされる。

首の装甲を破り、中の配線をいくつか傷つけてメガトロンの指は喉を貫通した。
痛みよりも驚きが優先し、自分は硬直した。

「スタースクリーム」
「…あ、う…」
「抜こうか?抜けば、悪化するだろうがな」

首を振る。抜けばオイルが大量に漏れ出るだろう。
死にはしない、自分のスパークは胸にある。
しかし体中のオイルが外に流れ出ればスパークの活動など関係なしに死に至る。
メガトロンの指を両手で掴み、引き抜かれないように支えた。

「…しかし困ったなスタースクリーム?お前に痛みが発生しないように慣らしてやりたくてもこれではな」
「…か、っか」
「もう片方の手で慣らそうか?」

右手を眼前に構えられてそれを見ると4つの指をガシャンと動かして見せた。
その指の根元にはカノン砲だ。そんなんで身体を弄られたら慣れるどころか
突きつけられた死の可能性に身体が緊張し身体中が固縮するだろう。
声帯を微かに傷つけられた喉を震わせて「嫌だ」と告げるとメガトロンは口角を上げた。

「ならば自分で好きなだけ慣らせ」
「…閣、下」
「お前が痛かろうがなんだろうが関係ない」
「…そ…んな」
「それとも、サウンドウェーブを呼ぶか?」

あいつの顔がちらつく。
顔をしかめてメガトロンの手から両手を離した。

「心配するな。手は引き抜かないでおいてやる」
「…」

自分の両手をそろそろと下半身へ持っていく。
メガトロンが自分にデータを送り込むだろう。
そのデータを受け付けやすいように身体を慣らすのだ。

メガトロンのコネクタがどんな形状かまではわからないが
どんな形でも自分に受け入れられるようにしておく必要がある。

「名誉に思えスタースクリーム」
「…」
「ディセプティコンの創立者フォールンと、ディセプティコンのボスメガトロンの卵だぞ」
「…」
「ディセプティコンの副官など誰でもなれる。が、卵を産むのは誰でもとはいかんからな」

殺してやる。根底にそれは残っていた。
首に開いた穴を塞ぐメガトロンの指を伝ってオイルが数滴落ちた。
メガトロンが右手でそのオイルを拭い、これ以上オイルが漏れないように
両手で押さえ込むように首を包んだ。
はたから見れば押さえているというよりも首を絞めているように見えるだろう。
実際にもう少し、力を込めてしまえば首は絞まる。

それを気にせず自分の細長い指を下半身のレセプタへと当てた。
ここのレセプタが一番スパークに直結していて、なおかつ受け入れやすい。

フォールンがそう言っていたのだ。
スタースクリームはフォールンとの行為を思い出しながらゆっくりと指を這わせた。

今、この状況下を同胞に見られたら首を絞められながら自慰しているところを見られるわけかと
他人事のように考えてスタースクリームは指を一本入れた。




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続かない。

いまだに産んだ説なのか
部品入れてエネルゴンに浸してるだけの保育器なのかは不明。
後者が有力だと思うんだけど一度はやっとくかなと。

フォールンはただ単にディセプを増やす為なので回路落としてやってくれると思うんだ。
スタスクも「なんともないなこれ(゜∀゜)」って余裕ぶっこいてたんだけど
卵、死に(壊し)過ぎて増やす為にメガ様とやることになったら回路落とすとか出来ないから
「フォールンがやってたように〜…」ってレセプタ解すんだけど何か気持ちよくなってきちゃって、てんぱったら良い。
よがってるの見てメガ様も「きめぇコイツ…」ってなったら良い。(よくない)