「なんだ」 スタースクリームは至って平静な声色をだした。 まるで少しの休憩より目を覚まし、今からエネルギーと言う食事を取るところだと言っても おかしくない冷静で、淡白な声色。 しかし体内に自身の半分以上侵入させていたサウンドウェーブには気付いていた。 スタースクリームの感情から、身体の準備まで、全て自分の手中にあったのだから。 自分のスパークが人間で言う鼓動のように弾み、激しく自分を突き動かす。 焦るな。慌てることはない。 スタースクリームの声色からは想像できないほどにスタースクリームは動揺し 絶望感に浸りながらもこの状況を打破する為の行動を取ろうと知能をフルに動かしていた。 サウンドウェーブはそれら全てを把握し、表面上に冷静を取り繕っているこの2を どう崩して言ってやろうかと考えると訪れる興奮により焦り、慌てかけた。 「…何の用だと聞いている」 スタースクリームはもう一度問いかけた。 平坦な声は怒気を混ぜてもう一度問いかけてきた。 しかし自分はその質問に答えない。何故なら答えなど持っていないからだ。 サウンドウェーブの体中の装甲が少し軋み音を立てるとそこより細いものも含めれば数十に及ぶ ケーブルが現れスタースクリームの周囲を蠢いた。 スタースクリームの眼前にわざと太いケーブルを漂わせる。太さとしてはスタースクリームの口を塞ぐのに丁度良いほどに。 スタースクリームの強気な声はそんな些細な脅しで収まることを知らなかったがその内心は 怯え、どうにかしなくてはと目まぐるしくブレインサーキットを回転させているだろう。 「怯えるな」 もう一度スタースクリームの背後に身体を押し付けて聴覚部位に口を押し当てると囁いた。 スタースクリームがぶるりと一度震えた。まだ何もしていないのに何をそんなに怯えるのか。 「…反逆だと、思って良いんだな」 「…怯えるなと言った」 「サウンドウェーブ。お前は今何をしているかわかっていないようだ」 スタースクリームが起き上がろうとするのを自分の重量で制し、力の篭ったスタースクリームの腕に 既に数本巻かれたケーブルに加え、更に2本ほど太めのケーブルを巻きつかせると モニター前のコンソールに突っ張るように立てられていた腕は関節で折れて倒れこんだ。 微かな呻き声を漏らしたスタースクリームを見て笑みが漏れてしまう。 懸命に堪えようとした笑み。それに伴い頭を上げる性的欲求。 有機生命体の生殖行為のようにこいつを犯し倒してしまいたいなどと思いはしない。 自分はただ、こいつに侵入してやりたいのだ。 スタースクリーム。お前は強く、そして他のディセプティコンの同胞よりも頭が切れる。 どうやって逃れてみせる。 「お前を殺すつもりはない」 「なら離れろ」 「逃れてみせろ」 「変態め」 顔をのぞけばスタースクリームの赤いアイセンサーが微かにカチカチと音を立てて明滅を繰り返していた。 それに気付くと同時に自分とスタースクリームを繋ぐケーブルが抜け落ちると 情報が切断されて自分のデータバンクに軽いエラーが発生する。無理な切断により 一部強制終了せざるを得なくなってしまった。 しかしまだケーブルはスタースクリームに絡み付いている。切断されたのは全体の一割ほどなのだ。 スタースクリームは更にデータを処理する音を発してぽつりぽつりと、僅かながらゆっくりと 他人からの強制的な接続から解放されるために切断していっているのだ。素晴らしい。 サウンドウェーブは相手の身体にケーブルを延ばす時、ケーブルには情報を盗む為の能力と その情報を盗む相手、物体に知覚されないようその相手に馴染み一体化する為の能力を携えている。 スタースクリームだと嘘をつき一体化しているケーブルとスタースクリームの境を探り 的確にそこを断ち切っているスタースクリームはやはり優秀な兵士と言える。 だからお前を選んだのだ。 いつまでもつか。 接続を切られたケーブルを自分の眼前まで持ち上げると 微かに麻痺の効果を残されているのがわかった。ぴりぴりと痺れもう一度スタースクリームに 進入させることはできないだろう。なるほど。 ならばと両翼のように鎮座するパーツを四方に開くとその下より更にケーブルを増やした。 これはそう簡単には断ち切れない。そしてこのケーブルは少し粗暴だ。 スタースクリームが他のケーブルを断ち切ることに集中しているのを良いことに そのケーブルをスタースクリームの羽に触れさせた。 うねうねと動くとそれは邪魔な装甲を剥ぎにかかった。 切断に集中していたスタースクリームが「ひっ」と情けない声をだした。 振り向かれるが自分はそしらぬ顔で見つめ返す。 「サウンドウェーブ…!」 「破壊は、しない」 「っうあ!」 一枚、大きい装甲をはがすと内部が見えた。 太めのケーブルが入るにはもう一枚装甲を剥がねば進入は不可能だ。 もう一枚はがすとスタースクリームは顔をしかめた。 その間も他のケーブルたちは侵入の手を休めない。 奥まで突き刺し、入り込み、侵食する。スタースクリームしかしらない所をかきむしり情報をさらっていく。 「はぁ…」 「っ…この…!」 思わず息がもれる。気持ちが良い。実際に快感を与えられているわけではなく 自分と同等以上立場で、プライドが高く、フォールンとメガトロン以外には膝をつくことを 知らないだろうこの男が、今目の前で手も足もでないで自分に全てをさらけ出している。 気持ちが良い。自分にとってこれ以上の快感はない。興奮して息が漏れてしまっても仕方がない。 スタースクリームは誰にも知られず、フォールンにすら黙っていたかった情報を おもちゃの箱をぶちまけたようにそこかしこに散らばされてサウンドウェーブにひとつひとつ見られていく。 逃れようと時折動くスタースクリームのブレインサーキットから四肢に広がる電気信号を浅く断ち切ってしまえば スタースクリームは思うように身体も動かすことができないのだ。 残っているのは痛みに反射でびくつく身体とそれについて悪態をつくだけの口。 「変態、めっ…聴覚の傍で…はぁはぁ言う、な!」 「もう少し、深く」 「あ…?っあ!」 ケーブルがますます生き物のように動き回り、ケーブルの先で何又にも枝わかれし それが装甲や機器よりももっと奥、すでにスパークに触れるその寸前まで侵入して スタースクリームという生物を知り尽くして行く。 「やめ、ろっ」 「…はぁ…」 「はぁはぁ言うな!!」 自分の鋭い指をスタースクリームの前に回して指の一本を口に差し込んだ。 スタースクリームはせめてもの反撃にとその指を激しく噛んだ。 それでも引き抜くことをせず、逆にもう一本噛めば良いと2本目を差し込んだ。 鉄同士のぶつかり合う音と、体内を漁られてどこからか液が漏れたのか 床にぽたぽたとたれる薄茶色なオイル。 「んんっぐ」 「…スター、スクリーム」 名を呼ぶ、ついでにやはり耐えられない、興奮した息使いを首に吹きかけるとスタースクリームは 観念したように動かなくなってきた。スタースクリームは愚かしくも賢いのだ。 これ以上暴れたところで無意味なことを知っている。 「はっ…ぁ」 「……んっう…ぐ」 噛み付くことをやめた口から指を抜いて指についた液体をスタースクリームの顔で拭った。 その間も自分の体内よりでていったケーブルたちは思い思いにスタースクリームを貪って これは自分のものだと体中のあちこちに跡を残して這い回った。 「…タトゥーで隠れる、場所に…」 「…あぁ。わかってる」 愚かしくも賢いスタースクリーム。 俺にこうして慰み者にされるのは何度目だ? 時々はスタースクリームに圧倒される。襲われるのをわかっていたかのように 身体にのばしたケーブルを全て切断され、電圧で使い物ならなくされ 勝ち誇ったようにスタースクリームは笑うのだ。しかし、やはり愚かのコイツは隙を見せる。 そうしてサウンドウェーブに体の制圧をされなれてしまったスタースクリームは 完全に負けを認めるとできる限り身体を傷つけないように、跡を残さないようにと懇願する。 自分もその要望を聞き入れてタトゥーの上に跡を残していく。決して目立たぬように。 しかし「お前はサウンドウェーブにその身体を奪われたのだ」と互いにだけわかるように。 「う、ああ」 「…っ…スタースクリーム」 スタースクリームが喘ぐように悶える理由は気持ち良いからではない。 身体を貪られる感覚は人間どものような生殖行為に近くも、しかし遥か遠い。 身体の主導権を奪われる喪失感に 疲れた日の深い眠りに落ちる、その寸前の意識を手放し放任する感覚にも酷使し 交歓行為のような激しい快感ではなく身体を包まれる緩やかな快感でもある。 しかしその快感の中に微かに残る喪失感と全て見られているという羞恥は拭えない。 そんな感情の中をうろつくスタースクリームの表情は既に堕ちている。 その表情が、一番好ましい。 こんな表情は自分にしかさせられない、自分だけの特権でもある。 別にスタースクリーム限定ではないのだ。服従させたい相手の、この表情が自分を満たす。 「スタースクリーム」 何度もかけた言葉をもう一度投げかけた。 その表情が良く見えるように顎を指で掬い上げると虚ろな表情がこちらをみた。 名を呼ぶときに混ざった吐息にスタースクリームは反応を返すことはなかった。 既にそんな次元はどうでもよくなってしまったのだ。スタースクリームのそんな感情は全て手中だ。 「スタースクリーム」 「…サ、ウン、ド」 「…」 考えるということを投げ出したスタースクリームの聴覚に唇を当てて軽く吸う。 スタースクリームは四肢の力を全て放り、自分に寄りかかるようにもたれかかった。 自分の身体と、ケーブルを駆使してそれを受け入れるとゆっくりと目を細めた。 サウンドウェーブはケーブルをさらに中にいれていく。 そうして完全にスタースクリームの全権を手に入れることに成功すると 天を仰ぎ首を軽く反らして恍惚とした表情を浮かべた。 満たされた。エネルゴンを詰めばまた宇宙空間にただ一人佇んでいても 満たされたままでいられる。スタースクリームを支配したというこの記憶で 自分を満足させていられるだろう。 スタースクリームを今だ背後から支え、抱きしめるような形でサウンドウェーブは 熱い吐息を漏らして笑った。 ------------------------------------------------------------------------ 書いてる間くしゃみとまんなかったんだけどなにこれこわい。(何その話こわい) とりあえず誰もがやっちゃうネタだよね!!だってえろかったんだもの! 多分触手うにょうにょネタは何番煎じってくらいネタかぶりしてそうなので捻ったお。 ハッキングされるって苦しそうなイメージあるんですが一線越えると気持ちよくなっちゃいそうな イメージがあるんですがね。曝け出されるまでが苦しくて、全部見られた後は サウンドウェーブに投げ出しちゃって良いんだから何も考えなくて良くて逆に楽なんじゃない? 捻ったトコそこだけ?いやいや、違いますよ。 サウンドウェーブをどれだけ変態に書けるかに自分は力入れてましたよ! サウンドウェーブはずっっっと「はぁはぁ」言ってましたよ(笑) スタースクリームは何がいやってその「はぁはぁ」が一番いやだったら良いw