目を覚ました。凄くまぶしい。 顔を軽く叩かれた気がする。 ショックフリートが言い出したのだが。 「当番制にする」 護衛なんだから一緒に守れば良いのではないだろうか。 当番 「…お前じゃあ当番じゃない時こうやってんのか?」 「…ガルバトロン様も認めているのだ。私に異存はない」 「寝てたら意味ねぇんじゃねぇか?」 「少しの仮眠だ。すぐに動ける」 「そうかいそうかい」 最初こそ姿を消して護衛任務につこうと思ったが ガルバトロン様も「当番制」面白いから良いんじゃないかなどと言って断られた。 ガルバトロン様は姿を消そうとすぐに気付かれる。 だから貯蔵庫の隅にいたのだ。 「貯蔵庫の意味がわからねぇんだけど」 「…お前こそ何しに来た」 「盗み食い」 「…」 レーザーウェーブがくくっと笑って見下ろしてくる。 体育座りで壁に寄りかかる自分がそんなにも気になるのか離れる気配はない。 盗み食いに来たのなら追い払うべきだろうと隣においておいたブレードに 手を伸ばした。 「お前のほうが面白そうだしよ。盗み食いはしねぇよ」 「…不愉快だ」 盗み食いはしないから良いだろう?といいたいのだろうが不愉快だ。 ブレードを持ち上げて構えるとレーザーウェーブはそのブレードを掴んでそらした。 「暇だろ?付き合えよ」 「断る」 「何で」 「ガルバトロン様に何かあればすぐに駆けつける」 「あぁ、だからここなのかよ」 この貯蔵庫の壁一枚隔てて向こうは玉座だ。少しでも異変があれば 駆けつけることなど容易い。 ブレードを手で避けて隣に座り込んだ男を睨むと更におかしそうに笑われた。 「何もしねぇさ。他の連中も見かけねぇし、暇だからよぉ」 「…」 この男は案外寂しがり屋だと思う。 自分だけでなく、ガルバトロン様を筆頭にアイアントレッドだろうと スノーストームだろうと絡んで絡んで相手が本気で怒り始めるまでちょっかい出す。 例外はショックフリートか。ショックフリートがショックウェーブのころに 比べて絡む回数は減っている。 ショックウェーブが身体を変えなくてはいけないほどの事故を起こした事を 気にしているのか、それとも自分よりも強いものには手を出さないのか。 いや、ガルバトロン様に手を出す時点でそれはないか。 「お前はなかなか感情を表にださねぇから、からかい難いと思ってたんだけどよ」 「…」 「そうでもねぇよなぁ」 「…なんだ」 「ガルバトロンが近くにいない時のお前は酷ぇ面だぜ?」 「……」 そんなことはないと思う。ガルバトロン様と共に戦場に出ても ずっと隣にはいられない。 「お前だけで蹴散らして来い」という命令も受ける。 そのたびに酷い顔をしているというのだろうか。 他の同僚には言われたことのない台詞に戸惑うがそれも表情に出ないようにした。 「…お前も一人の時は酷い顔だ」 「あぁ?」 「だから一人が怖いのだろう」 「…」 ガツっと鈍い音がしてオプティカルゲイザーが頭部に当たる。 銃口を頭部に押し付けられた状態でも自分はレーザーウェーブよりも 壁の向こうの存在を気にしていた。 「お前ごときに俺が理解できるわけねぇだろ?」 「確かにお前は扱いづらい」 「けっ…そりゃこっちの台詞だってんだよ…」 銃口が離れたのでレーザーウェーブの顔を見た。 「…何故笑う」 「面白いからだよ」 「…」 わからない男だ。憤慨したと思えば笑う。 笑ったと思えば暴れる。ガルバトロン様も手をこまねくわけだ。 『ナイトスクリーム』 「む…」 立ち上がって壁を見た。 「どうした」 「呼ばれた」 緊急ではなさそうなので壁をぶち破ることはせず、廊下へと向かう扉に足を向けた。 「俺も行くかな」 「お前は来るな」 「あぁ?んでだよ…」 「ガルバトロン様の邪魔になるようなら私が消すぞ」 「ガルバトロンがそうはさせねぇさ」 「…」 睨んで扉を開くと笑ってついてくる気配を感じた。 「くるな」 「命令すんな」 「こないでくれ」 「断る」 隣を歩くこいつをガルバトロン様が見たらなんと仰るだろうか。 「仲が良いな」など思われたら… 「どうかしましたか。ガルバトロン様」 「うむ。よく来たなナイトスクリーム…なんだレーザーウェーブ」 「暇なんだよ。ガルバトロン。出撃命令はねぇのか?」 「暇か。奇遇だな。わしもだ」 入室してすぐそんな会話を交わすとユニクロンの壁がせり出し レーザーウェーブの背中を押した。 「いてっ、なにしやがんだ!」 「本当はナイトスクリームと会話するつもりだったが気が変わった。 実戦をしたいやつがおるみたいなのでなぁ」 玉座より立ち上がったガルバトロン様をみて邪魔にならないように 玉座の方へ回るとショックフリートが応援していた。 「ショックフリート。何をしている」 「ナイトスクリーム。やっぱり当番制は廃止だとガルバトロン様が仰っている」 「そうか」 「暇。だとの仰せだ。ショック…」 「…」 私がいても暇なのはかわりないと思うのだが。 何か今後のために暇つぶしを考えておいた方が良いのだろうか。 レーザーウェーブを殴りとばすガルバトロンを見つつ彼の必要性を感じて 今後破壊したいと思った時はこの光景でも思い出そうとナイトスクリームは ぼんやりと考えていた。 ----------------------------------------------------------- ナイスクとレザウェって変なところで波長が合ってそう。 レザウェの孤独が苦手は公式設定なので(!?)孤独をしらないナイスクとは 面白い会話をしそうだなぁと。 ナイスクって孤独が似合うけどナイトスクリームになってからって 孤独を知らないよね。