白雪



スタースクリームは凍えた指先に息を吐いた。
歯がカチカチと鳴って翼が小さく震える。
こんな日の飛行は勘弁願いたい。



「すたぁーすくりぃーむぅー」
「なんだよ」
「雪だぜ。雪。いいねぇ」
「俺は嫌い」


ジェットロンが雪の積もった道を歩く。
さくさくと雪が脚につくのも大変不愉快だが高速で空を飛ぶと寒さで凍るように寒い。
むしろ冗談なしに文字通り凍るし。


「俺は寒いの嫌いじゃねぇな」
「スカイワープは馬鹿だから」
「俺も暖かい方が好きだけど嫌いじゃねぇぜ。雪」
「お前も馬鹿」
「サンダークラッカー。今度日本の臨時基地行こうぜ」
「いいね。四季ってもんを体感してみるか」


スタースクリームも日本の四季には興味があったが、どうせ雪が降るんだ。
ならば雪の降ることない、赤道ライン近くにいたい。
また暑ければ暑いで文句は出るのだが。


「スタースクリーム。ほい」
「…次やったらまじで撃ち殺すぞ」
「冗談通じねぇなぁー」

スカイワープが先頭を行くスタースクリームの背中に雪玉を当てる。
サンダークラッカーがサウンドウェーブと連絡を取っているのが見えた。

「なんだって?」
「メガトロン様到着までその場で待機だとよ。残念でした。寒いとこご苦労様です。航空参謀殿」
「………」
「サウンドウェーブ。スカイワープだー。フレンジーとランブルよこしてくれよー」
『なぜだ』
「メガトロン様結構時間かかるっぽかったし。雪合戦しよう」
『…わかった。ジャガーもいく』
「りょーかい」
「ジャガー?ジャガーって猫だろ?」
「だよなぁ!サウンドウェーブの懐であったまっときゃ良いのになぁ」
「基地にコタツ持ち込んだら中入ったりして」


帰りたい。
トランスフォームして全速で帰れば時間はかからないが行き帰りの寒さを考えると行動に出れない。
はぁーと息を吐くと白い息が出る。暫く待つとがしゃがしゃと走りよってくる小さい2体と1匹
隣ですでに雪まみれなスカイワープとサンダークラッカーが「子供は元気だねぇ」とか言うがそれはこっちの台詞だ。
お前らおかしい。こんな温度じゃ動作異常は起きないが、低すぎる温度は危険だ。
判断力も行動力も損なわれるし。下手すりゃ停止するんだぞ。

あぁ、イヤだ。寒い寒い寒い。

「ぶっ!!」
「あ、わりー。スタースクリーム」
「ナイスコントロール!サンダークラッカー!!」
「ぶぁっははははは!!顔、雪まみれだぜスタースクリー」
「てめぇら!!!」


近くにあった雪をわしづかんでスカイワープの顔面に当てた後。2時間の遅刻でやってきた
破壊大帝に怒鳴りつけられるまで雪合戦は続いた。






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デ軍オールキャラで雪合戦。

↓は2010でその後




寒さに良い思い出はない。

スカイファイアーと会えなくなったあの日も凄く寒かった。
磁気嵐で身体は痛むし、はるか昔の地球は極寒の土地だった。
スカイファイアーを必死で探す間。懸命に両手をさすり、体を抱き、翼を撫でたが
スカイファイアーの捜索を打ち切ったその時、身体の半分は凍って役立たずになっていた。

スカイファイアーに裏切られたあの日も、寒かった。
夏だったというのに雪が積もって身体が凍えた。
氷を崩してスカイファイアーを助け出せたがすぐに裏切られた。
身体以上にスパークが凍えたように冷たかったのを覚えてる。




*



「さむ…」
「へぇ?幽霊でも寒さを感じるんだな」
「黙りやがれ。あぁ、耐えられねぇ。入るぞ」
「駄目だって言っても入るんだろうが」
「黙れ」


メガトロン改め、ガルバトロンに身体を壊され、どういうわけだか、幽霊となって彷徨う羽目になった。
今はスカージとともに行動し、身体の復活を目標としているのだが寒い。
別にスカージは寒がる様子はないし、本当に寒いわけではないのだ。
それでも吐く息が白く染まる。カチカチと歯の根があわない。

寒がっているのは俺だけなんだ。


「俺は寒いのは苦手でね」
「俺の中に入って温かいのか?」
「あぁ、あったけぇ」


寒いと嫌なことばかり思い出す。
早く身体を手に入れたい。
身体を手に入れたら温かい惑星で日がな一日研究しながらガルバトロンへの復讐兵器を作るんだ。

スタースクリームは先ほどよりは暖かいのスカージの体内で小さく息を吐いた。


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2010のスタースクリームは可哀想すぎる(´・ω・`)



オマケ↓






「すたぁーすくりぃーむぅー」
「なんだよ」
「雪だぜ。雪。いいねぇ」
「俺は嫌い」




「スタースクリーム。ほい」
「…次やったらまじで撃ち殺すぞ」
「冗談通じねぇなぁー」



「ぶっ!!」
「あ、わりー。スタースクリーム」
「ナイスコントロール!サンダークラッカー!!」
「ぶぁっははははは!!顔、雪まみれだぜスタースクリー」
「てめぇら!!!」




「何やっておるか!スタースクリーム!!」
「だ…!違います!こいつらがぁ!」
「また良いわけか!こっちにこい!!」
「ぎゃぁ!メガトロン様許して!お願い!」


首を掴まれて引き寄せられる。
だって嘘じゃない。こいつらが俺に雪をぶつけてきて。それで。
後ろから聞こえる笑い声や「怒られるぜ」「きっとお仕置きだぁ」と言う連中が憎い。

腕で首を固定されてじたばたしていると雪に2人して倒れこむ。
冷たい!ありえねぇ!!思わずぎゃあぎゃあ声が勝手にでていく。
メガトロンも流石に冷たいらしく「うお!」とかいったが首に巻きつく腕は外れない。


「寒い寒い寒い!」
「そういって逃げるつもりか…!」
「そうじゃないですよ!あんたも寒いだろうよ!」
「お前が温かいから問題ないわい」

そういわれて確か密着してるところがほのかに暖かいことに気付いた。






「……様…」
「あ、スタースクリーム起きたのかよ?」
「………スカージ」
「幽霊も寝るんだな」
「……黙れ」


目を覚ました途端体が冷える。
スカージの中でも寒さを感じる。そりゃ外より良いけど。


なんだか。
懐かしい夢を見ていた気がする。



かすかに暖かい首元に手をやったが通り過ぎるだけでそこに触れることは出来なかった。




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(´;ω;`)


2010のスタスクが身体手に入れて、ガルバトロンに吹き飛ばされて
その後消息不明だから(BWにはでたけど…)どうなったのか凄い気になるお…