腹部へとキスをされてサンダークラッカーはアイセンサーを細めた。
サウンドウェーブが自分をどうしてこんなにも気にかけてくれるのか
どこが好きなのかなんてわからないし、あまり詮索するつもりもない。

ただ、一度だけ抱かせれば満足なんだろ?
好きにしたら良いじゃねぇか。もうしらねぇよ。


フォリア2



「…」
「…サンダークラッカー」

床へと押し倒されて、サンダークラッカーは冷ややかな視線をサウンドウェーブへと
送った。
サウンドウェーブが本物を確かめるように腕を撫でて腹部を舐める
サンダークラッカーはそれを受け入れるつもりはなく、ただ抵抗しなかった。
小さな溝から、隙間の長さまで測るように撫でてサンダークラッカーという
機体をチェックされる。
ゆらりと指先が動き、サンダークラッカーの下腹部パネルを容易く開くと
サウンドウェーブはバイザー越しに眺めた。
その視線もじっとりと眺め視線をそらす事がない。

「…指をいれるぞ」
「…」

無言で覚悟を決める、嫌だも、どうぞもなかった。中に入り込んでくる指は
内部を傷つけないようゆっくりと入り込み、右や左の内壁を擦りながら奥まで
入って来る。内部のケーブル位置を確認するようにサウンドウェーブは指を動かした。

「内部の構造はそっくりだ」
「…そういうの」
「なんだ」
「言わなくて良いんだぜ…俺に」

サウンドウェーブはそうかと呟いた。それからは無言に内部を漁っていく。
恐らく知っているのだろう。すぐにサンダークラッカーの良い所に触れてくると
そこを押すように撫で付けてくる、背筋がぞくっと震えて声がでそうになるのを
堪えた。

「…」
「…」
「良くないか」
「…」
「…」

指先で強く引っかかれると声は堪えても腰の震えは殺せない、びくりと跳ねた身体は
サウンドウェーブも気付いただろう。
これ以上続ければ声が出てしまうのは間違いなかった。
手の甲を唇の上に乗せて軽く口を押さえるとサウンドウェーブが少しだけ笑う。

「よがれ、サンダークラッカー」
「…」
「声を出せ、抑えるな」
「…そんなの、俺の…」
「お前の声、表情の情報が欲しい、抑えては意味がない」
「っ…」
「殺すな、サンダークラッカー」

スカイワープとやる時のような感覚はない、スカイワープとはヘラヘラと
笑いあいながら触って触りあって手とか繋いでゆっくり挿れて、自然に喘ぐ。
スカイワープの可愛い顔が泣きじゃくりながら喘ぐのは本当可愛いしよ。
なのに、今は俺が押し倒されて喘ぎそうになってんだ。意地でも、声だしたくない。

「っひ…」
「…」
「っ……!!」

スカイワープが時々「俺が挿れる」って言う時があって、その時は俺が下だ。
だから初めてじゃない。でもこんなにも的確に触られたのは初めてだった、まるで
毎日抱かれてるみたいに、俺の隅から隅まで知り尽くしてるように中を抉られる。
気持ち良いところをずっと触られ続けると自然と腰が浮いてくる、サウンド
ウェーブがそれが嬉しいようで腰を何度も撫でてきた。

「ぅ、ぅぁ…ぁ」
「もっとだ、サンダークラッカー」
「……!」
「…挿れるぞ」
「っ…」

サウンドウェーブが両足を掴んで腰を進めてきた。
ずるっと入ってきた感覚に悲鳴が零れそうになる、驚いた事にサウンドウェーブの
コネクタはかっちりと自分に入った。痛くない、同じ形なのだ。
サウンドウェーブを見れば情報参謀は笑った、その笑い方は自然じゃなかった。

「お前に合わせてある」

こういうのを鳥肌が立つだとか、総毛立つって言うんだと思う。
身体中がざわついて自分の身体を抱きしめたくなる。怖かった。

「や、やめ…!」
「まだデータが足りていない」
「う、あう…」
「少しだけ我慢しろ」
「っ…!!」

奥の方まで差し込まれ固定されるとブレインサーキットまで響くパルスを放たれた。
身体中にサウンドウェーブのパルスが広がってそれが自分を翻弄する。
サンダークラッカーの好きなリズムで、サンダークラッカーの好きな強さで。

「…!ふ、…」
「…静かだな」
「ひ、…あ」
「気持ち良いか」

(ふ、…っ良い…!気持ち…い)

あの、偽者が言った言葉を思い出した、確かにこんな風にされたら気持ちいい。
もしスカイワープだったらもっと喘いでる。でも今はサウンドウェーブだ。
無言で睨みつけた。気持ち良いわけあるか、って言いたいけどサウンドウェーブに
そんな事言えないし口から飲み込めないオイルが少し垂れる、それを
拭いながらサウンドウェーブを睨めばサウンドウェーブは両頬を包み込んできた。

「…」
「…な、に…?」
「…」
「…」

サウンドウェーブは黙って眺めてきた、顔を。
それは表情を探っていたのかもしれない、ブレインスキャンされていたのかも
しれない。それにしてはサウンドウェーブは優しかった。

「…あん、た…さ」
「なんだ」
「あれも、…こうやって抱いてるのか…?」
「…あぁ」
「まい、にち?」
「あぁ」

サウンドウェーブがパルスを送ってくる、その度に身体が跳ねる。
なんか知らないけど涙もでた、気持ち良いのに、苦しい。
一段と強まるパルスと、自分の良い所ばかりを弄るサウンドウェーブに
しがみ付きたくなるのを堪えて両手を自分のアイセンサーに押し付けた。

「ふあっ…あ!あ、やべっぇ…」
「出せ」
「サウ、ンドウェーブ!サウンド…!」
「…は…ぁ…サンダークラッカー…」
「だ、だめだ…もうっ…あ」
「…っぐ…!」

サウンドウェーブが素早く引き抜く、その動きで自分は達してしまった。
腹部に温かいものがかかりそれを見ればキャノピーまでサウンドウェーブの
オイルがかかっていた。指で拭いそのオイルにアイセンサーを細める。

「…サウンド…ウェーブ…」
「…お前の声は」
「…」
「良い」

サウンドウェーブが口を近づけてきた。あ、キスされるって気付いた。

「駄目だ」
「…」

腕で片方のアイセンサーと口元を隠して本当に小さい声で呟けばサウンドウェーブは
止まった。
腕を床へ押し付けて無理やり唇をふさぐ事は簡単だろう、なのにそれもしないで
ただ、止まった。


「…」
「もう一度、データを取らせてくれ」
「…」

抵抗しなかった。一度も二度も一緒だから。




*




割れる音がした。
ガラスか何か、粉々になる音。

「っ…死ね!死んじまえ!!」
「…?」

鈍い音、壊れる音。
あ、俺、気ぃ失ってたんだ。
サンダークラッカーはアイセンサーを動かして周りを見る。
丁度スカイワープがサウンドウェーブを殴り倒した所だった。

「っ…!?」

止めようと思った、のに声がでないし腰痛いしで動けなかった。

「サウンドウェーブ…!てめぇ…」
「…」
「言い訳もねぇのかよ…死ねよ…!よくもサンダークラッカーを…!」

首を掴んで倒れたサウンドウェーブを立ち上がらせるともう一度殴った。
机にぶつかり上に置いていたキューブやデータが下へ落ちて床を汚す。

「うるっせぇ!何騒いでんだ!!」
「スタースクリーム!こいつがサンダークラッカーを!」

扉が壊れるように開くとスタースクリームが入ってきた。
自分を見て、スカイワープとサウンドウェーブを見て、寝台の上のもう一つの
サンダークラッカーを見た。サンダークラッカーはその時スタースクリームが
驚いていないところに気付いた。

「スカイワープ、メガトロンに見つかったらどうすんだ」
「そんなの知るか!こいつが悪ぃんだ!!」
「サンダークラッカーをつれて寝室に戻れ」
「ざけんなっ…!」
「俺の命令が聞けねぇのか!戻れ!」

スカイワープはちょっと渋った後にサンダークラッカーに一歩歩み寄った。
目を覚ましているサンダークラッカーに気付くと泣きそうな顔をして頭を
撫でる、細々した声で名前を呼ばれた。

「スカイワ…プ」
「…サンダークラッカー…」
「…どし、てお前」

スカイワープは無言でサンダークラッカーのことを担いだ。
スタースクリームがそれを黙って眺め床に座り込んだままのサウンドウェーブの方へ
一歩進む。
サンダークラッカーはサウンドウェーブの事を最後に一度だけ見た、既にマスクは
装着され表情は一切わからない。

そのまま廊下へ出ると扉は閉じてしまった。



*



「サンダークラッカー」
「…ん」
「なんで抵抗しなかったでい…逃げるくらい出来んだろうがよ」
「…ん」
「あいつ殺してぇ、すげぇムカツク」

スカイワープと同じ部屋に入り、寝台に座らされると殴るように下腹部を汚す
オイルを拭われた。
でも中には一度も出されてない、脚や、腹部にオイルがついてるだけで中には
出されてなかった。
スカイワープが舌打ちをひとつ落とすとイライラしながら拭い続ける。

「…なぁ、俺大丈夫だぜ」
「何が大丈夫だって!?なんだよ!俺じゃなくて、あいつとヤりたいのかよ!」
「違うって…あいつは」
「俺にもさせろ」
「…」
「あいつに挿れさせたなら…!俺だって良いだろ」
「…いいぜ」

スカイワープが泣きそうになった。顔をゆがめて何か言いたげにする。
どうしたって声をかけたらアイセンサーからぽろぽろ水を流した、拭ってやると
ますます泣き出した。

「スカイワープ…?」
「お前…そうやってあいつにもさせたのか?誰にでもさせんのかよ」
「そんなことねぇって、どうしたんだよ…」
「俺は?俺も付き合ってやってるだけか?」
「スカ」
「好きな奴とだけやれよ…!お前の好きな奴とだけにしろ!」

サンダークラッカーは硬直した、スカイワープがそんな風に思ってただなんて
知らなかった。
俺だって、サウンドウェーブとは好きでやったわけじゃない、だけど抵抗しなかった。
一度レセプタ貸して、また元の生活に戻れるなら一度くらい良くないか?って思った。
スカイワープは視線を一度も逸らさない、俺だけを見てそう言ったのに。
あのサウンドウェーブですら、俺しか見てないのに。

「…ごめん」
「…」
「俺、スカイワープが好きだぜ」

嘘じゃない、俺お前が一番好きだ。でもその好きは多分お前が言う好きより
小さいんだ。
スカイワープの額にキスする、鼻筋にキスする。額同士をこすり付けて
「好きだ」って言ってやる。

「…俺もサンダークラッカーが好きだ」
「…」

口に軽くキスしてやるとスカイワープは抱きついてきた。
結局その日はやらなかった。ただ同じ寝台で寝たんだ。




*




「…お前さぁ」
「…」
「いい加減これやめねぇの?」
「…」
「サンダークラッカーに手ぇ出さないんじゃなかったのかよ。
 スカイワープにまでバレて」

サウンドウェーブの室内で、スタースクリームは倒れた椅子を起こした。
椅子を寝台の横につけるとゆっくりと腰掛けてサンダークラッカーの形をした物を
見る。

「…」
「…だんまりかよ」

動く為の回路をなくしたモノの腕を掴むとその作りを見る。
指の隙間に指をいれて広げる。関節から何まで隅々眺めてから
サウンドウェーブを見た。

「これ何体目だ」
「数えてない」
「大体で良い」
「50から覚えていない」

ふーんと興味なさそうに言った後、スタースクリームはそれの腕を放した。

「サンダークラッカーのデータ入手したのかよ」
「あぁ」
「じゃあ次で完成すんじゃねぇの」
「スタースクリーム」
「あぁ?」
「感謝する」

スタースクリームは驚いたようにサウンドウェーブを見た。
暫く床に座ったままのサウンドウェーブを眺めた後に鼻で笑う。

「最初の一体目は俺がモデルだったからな」

別にヤったわけじゃない。ジェットロンを作りたいからお前の情報をくれと
言われただけだ。椅子に座ったスタースクリームを眺めて、脚を撫でて、指の
隙間の距離を測られただけ。
レセプタに指までなら入れさせてやった。喘ぎ声のサンプルもやった。

最初の一体目から少しずつ少しずつサンダークラッカーの情報を手に入れて
改良を加えた。
リペア時にオイル缶が少し大きいだとか、アイセンサーの光りが他の
ジェットロンより弱いだとか。
そんな情報をちまちま手に入れてきたのだ。

「サンダークラッカーできたら俺にも見せろよ」
「貸しはしない」
「いらねぇよ、見るだけで十分だ」

あの参謀が俺に頭を下げたから手を貸してやっただけだ。
こいつがどれだけサンダークラッカーを好きなんて興味ないし
サンダークラッカーが誰を好きかも興味ない。
大体デストロンのくせに他人を好きになるのが間違ってるんだ。


「スタースクリーム」
「ん」


再び寝台の上を眺めていたスタースクリームは真正面までサウンドウェーブが
歩み寄っていた事に気付かなかった。
振り向き、サウンドウェーブと目が合うと顎を掴まれる。

「…なんだよ」
「唇のデータが取れなかった」
「サンダークラッカー?キス拒まれたのお前、だっせぇ」
「…」
「欲しいなら持ってけよ」

ギリギリまで唇を近づけられる、なのにそれ以上近寄らない。
サウンドウェーブは一途な奴だ、一度機体の色を水色にして抱いてみてぇかと
からかってやったことがある。
なのに絶対手は出さなかった、いや出しかけてたけどな。

「いらねぇの?」
「…今はいい、後でもらう」
「そうかよ」




結局、その後でとやらは訪れないことをスタースクリームは知っていた。





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スカワたんはあまりにサンクラが遅いので迎えに行ったら扉が開かずワープで
不法侵入したら音波がサンクラのことガン見(事後)してたんでマジギレ。
スタスクは音波の部屋のパスワードしってる。そんな感じで。

普段はスカワが結構だらしないんですが今回は逆に

最低  スタスク≧サンクラ≫スカワ  純真  ですよ!
基本的に最低なデ軍が書きたかった。ごめんね・・!
他の小説ではらぶっらぶにしてやんよ!