「…」


ナイトスクリームは色の変わった自分の手を見て指先を擦り合わせる。
濃い青、黒にも近いその指先を見つめていると自分は変わったと思った。

「…」

ゆっくりと玉座に座り眠る主を見てナイトスクリームはアイセンサーを細めて
自分と同じようにスーパーエネルゴンの力で色の変わったガルバトロンを
視界に入れる。
紫色の大きな身体、青かった角も、白い身体ももうそこにはない。
何よりも強い紫色がナイトスクリームのアイセンサーを刺激するだけだった。

ナイトスクリームは何かに突き動かされていた。
色が変化し、自分は何か、どこかが変わってしまった。
それは別に悪い意味ではなかったが、スノーストームは言った。
「あいつに似てきた」と。

誰に似てきたというのだ、わからない。
ただ、自分でも少しおかしいと思う、戦いが楽しく思え、時には笑う。
怒りを感じれば怒鳴るようになったし、呆れれば呆れた声がでる。
感情が出やすくなってきたのだ、色が変わる前は、この方に仕え始めた当初は
そんな事なかった。
ただ、この人の望むように働きたいと思っていたし、戦いは主の目標達成に
不可欠な要因の一つであり、特別好んで行っていたわけではない。


そしてもう一つ、ナイトスクリームを揺さぶるもの。
それはどうしようもない欲求だった。

視界から外す事無く主を見つめ続ける、その紫色の装甲に触れたかった。
触れて、撫でて、くっ付きたいと言う不可解な衝動に駆られる。
何とか堪えることが出来たのは主への絶対的忠誠心が働いたからだ、もしこの感情が
ガルバトロンではなく、別の誰かに向いていたならば行動に移っていたかもしれない。

「…」
「…む…どうした…?」

アイセンサーに光を灯してこちらを見た主に目をあわす。
あぁ、触れてしまいたい、あなたを抱きしめるほど大きくはないが、この腕を
貴方の身体に回したい。
どうしてこんな衝動に駆られるのかさっぱりわからなかった、本能的に呼ばれている。
それが一番正しい理由だと思う。

「…ナイトスクリーム?」
「…ガルバトロン様…」
「なんて顔をしておる…どこか痛いのか」
「…いいえ」

ナイトスクリームは顔をそらそうとした、でもできなかった。
アイセンサーが、この方を見つめていたいというのだ、自分の手が勝手に動くのは
手がこの方に触れたいと言うことを聞かないからだ。

「手に」
「む?」
「手に触れても、よろしいでしょうか」
「…好きにするがいい」
「…有難う御座います」

自分の手は標準サイズだと思う、しかしそれはこの方の前では意味を成さない。
手を握り締めたくても片手ではどうにもならない。両手でも包み込むことはできない。
指の部分だけを片方の手で握り、もう片方の手で包んだ。
ぎゅっと握り、顔を近づける。


「どうした?」
「…わかりません」
「…ナイトスクリーム」
「わからないのです」


ただ、一緒に居られればいい、あなたを守って、近くにいられればそれでいい。
それ以上望まない、抱きしめてくれとは思わない。

あえて、一つだけ許されるのなら。
私の存在を認めてくれるだけで十分だ。



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ガル「(えぇええ、可愛いんだけどなにこれ、抱きしめて良いの?良いの?)」

華奢(ガル様比)なので抱きしめたら壊れちゃいます。なので駄目です。

色変わった後のナイスクはどうもマイ伝スタスク臭がするんだよなぁ
色変わる前からナイスクはガル様見てないところではちょっとはっちゃけてた
けど、それが露骨になったよね、青色ナイスク。