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今日という今日は唯じゃすまさん。 今回、スタースクリームはサウンドウェーブの訪れを微かに予測していた。 サウンドウェーブのエネルギー残量やリペアするべき箇所などを調べる限り そろそろネメシスに戻る頃だ。そう考えていた。 スタースクリームの予想はぴたりと合い、仕事をする自分にサウンドウェーブの 無数のケーブルが近づいてくるのを感じた。 既に起動させていた刃物をチェーンソーのように回転させ殺傷力を向上させれば サウンドウェーブのケーブルを断ち切るのはあまりに容易かった。 「今回は、唯じゃすまんぞサウンドウェーブ」 「…」 ふっと笑う気配を感じた。 この男は物静かな男だがやはり根本からディセプティコン。 争い、相手を跪かせ、悲鳴を上げさせることが思考の喜びなのだ、それを 変態だと罵るつもりはない。自分も同じ趣向だ。 右腕を変形させて回転式のミサイルポッドをだすと 最初に3発サウンドウェーブへ撃ち込んだ。 1発は足元へ、爆風を利用して飛び上がった所に2発目が命中した。 3発目はまったく見当違いなところへ飛んでいったがそんなものに 目をくれてやる時間はなくミサイルポッドを回転させると次に準備していた ミサイルを構えた。 身体へ命中したと思ったミサイルは上手く無数のケーブルで威力を殺したらしく 目に見える損傷はなかった、舌打ちをして正確に狙いを定める。 狙いを定める僅か1秒以下の時間にサウンドウェーブはケーブルを伸ばしてきた。 素早い動きに反応すると右へ飛び退いてそれを避ける。 ケーブル2本が今まで居た場所へ突き刺さったが残りのケーブルは 自分の方へと向きを変え伸びてくる。 それをも上手く避けるとケーブルを伸ばしたおかげでがら空きになっている 胸元へ飛び込んだ。 ミサイルを顔に突きつけて撃ち込むと続けざまに撃ち込もうとした2発目を 発射する前に背後よりケーブルに羽を絡みとられ壁へと放り投げられた。 ぶつかった壁にひびが入るとそこから水分が零れだし自分を濡らす。 貯蓄していた水が壁の向こうにあるのを忘れていたわけではないが 舌打ちをして濡れる顔を拭い起き上がる前にサウンドウェーブが自分の上空を 飛んでいるのが見えた。 身体に走る装甲の青よりも、光沢を放つ青色に目を奪われたことに スタースクリームは後々後悔する。硬直したスタースクリームの上に 体重を軽減させる動きなどとらず飛び乗るとスタースクリームの装甲が軋んだ。 悲鳴を殺し、残り2発残るミサイルを胸元中心部にある青色に突きつけると ケーブルがそれを阻止するように巻きついてきた。 構わず撃とうとすればミサイルは主の言う事を聞く事無く、左右に展開し開かれた 腕の中に収納されていく。 腕の中より代わりに自分の鋭い手が出てくれば無理やり変形させられたことが 窺えた。もう一度ミサイルへトランスフォームさせようとしても動かない。 それどころか徐々に関節部がだるくなり力が抜けていく。 右腕はもう駄目だ。 サウンドウェーブを睨みつけ次なる攻撃に備えようとすると サウンドウェーブの背中に映える放射状の羽達が動き、その下よりケーブルを だした。それは他のものより太く、変形させたのか先が鋭く尖っていた。 「っ…まて」 構えられたそれは蛇が首をもたげるように動いた後、鋭く自分の腹部を突き刺した。 その痛みにはなんとか耐えられた。装甲がへこみ、ケーブルが貫通した事を 知らせても我慢できた。 自分は痛みに強い、まさにメガトロン様のおかげといったところか。 しかしその後に来る貫かれた部位の絶縁体が破れ、漏電した電気が水に触れた時の 痛みには耐えられなかった。腹部を中心に感電すると遂に悲鳴があがった。 「っ…あ、あ」 「…」 サウンドウェーブはその感電を受け付けないケーブルをゆっくりと抜いた。 傍から見れば既に勝敗はついた状態だろう。 しかしサウンドウェーブの陵辱はここからが本番なのを知っていた。 このまま、思考を投げ出すわけにはいかないのだ。 「諦めろ」 「…う、あ」 ケーブルが身体を水より持ち上げるように抱き寄せた。 それでもぐったりと項垂れる身体がダメージの大きさを物語る。 ちらりと視線を向ければサウンドウェーブの左顔半面が焦げ、一部煙を上げて いた、それは先ほど撃ち込んだ一発がもたらした損傷だ。 スタースクリームは自分がもう抵抗できないことを偽った。 既に意識が朦朧とし、自分はお前の手中であると嘘をつき、ゆっくりと 左腕をその損傷した顔に伸ばした。 少し痛んだようだが抵抗できないだろうと判断したサウンドウェーブは スタースクリームの好きにさせ、鋭い指先でその損傷した部位を撫でるのを許した。 スタースクリームは笑った。ははっと微かに声に出して笑うとサウンドウェーブを 見た。サウンドウェーブはここで気付くべきだったのだ。 「今回は唯じゃすまさん、と言った筈だ」 左腕を変形させ、そこに仕込んでいた針のように小さく鋭いものを損傷部に 刺し込めばサウンドウェーブは硬直した。 飛び退き、逃れることが出来なかったのはそれを刺し込んだ部位が頭部だった のが原因である。 これは使いたくなかった、とスタースクリームは目を細めた。 サウンドウェーブの頭部に黒い筋が浮かび上がり、脳を犯され始めているのを 視認しながらスタースクリームは自分の左腕にもそれが移った事を知る。 まだ試験テストもしていなかった武器だ。自分にもこの効果が及ぶ可能性は 十分にあるのを知っていながらも使った。 サウンドウェーブのアイセンサーから光がなくなると自分は抱きこまれていた腕の 緩みを感じ、水の中に再び落下した。 感電が再開され悲鳴があがるがそれを喜ぶ者もまた、その水の中に倒れこんできた。 左指先が急激に冷たくなるのを感じた。水に触れたなどという話ではなく 金属と神経経路の接続が強制的に切られていくのは不思議に思うほど冷たい。 肘までの接続が切られると肘から先に鉄の塊を装着されているだけの ただの重石へと腕は変化してしまった。 サウンドウェーブが受けた部位は頭部だ、その痛みと冷たさは想像もできない。 ブレインサーキットの神経を切られたのだから、普通のトランスフォーマーなら 死を覚悟すべき痛手であるが、この男なら数時間後にはきっと復活しているだろう。 スタースクリームは感電による痛みに慣れながらも自分の矮小な勝利を噛み締めた。 ----------------------------------------------------- ただ仲の悪い2体が書きたかっただけ