ナイトスクリームを捕らえることが出来たのは運が良かった。
まず、ガルバトロンがいなかったこと。
レーザーウェーブとショックフリートが喧嘩を始めた。
ナイトスクリームがそれを何とかしようとした。
アイアントレッドとスノーストームが笑って茶化した。

その間にエネルゴングリッドを復旧させて逃がさないようにするのは簡単だった。


「…っ先に行け」
「わりぃな…!」
「ナイトスクリーム!早くくるんだ!」

ショックフリートが手を伸ばしたがナイトスクリームは退路確保の為残った。
ガルバトロンがこれを知ったら、どう思うかな。



 
再会
 
 


「ナイトスクリーム」
「…」
「…だめ、ですね」

両足、両手首、羽を全て拘束させてもらった。
ジョーンズに即席で作らせた姿を消させないための装置も一応効いてるのか
姿を消すようなそぶりはない。エネルギーも搾り取っておいたのもあると思う。
ナイトスクリームはエネルゴングリッドで出来た牢獄に閉じ込められていた。

スカイファイアーとホットショットは顔を見合わせて駄目だなと呟いた。
声をかけても少し揺さぶっても無反応。
黙ったままのナイトスクリームは生きているのかすら判断つけにくい状態だった。
痛めつけたり、怪我をさせたりしたわけではない。ただ捕虜にしたのだ。

「…おい、別にガルバトロンの弱点聞いてるんじゃねぇんだから」
「少し時間起きましょう…今は」
「…」

相手はあのガルバトロンの懐刀だ。放っておくのはいくらなんでも危険である。
その判断はスカイファイアー、ホットショットどちらもできていた。
コンボイ司令官が自分とホットショットをこいつを見張る任につかせたのも
他の誰かだと不安なのだろう。

「じゃ、俺が見てるから、司令官たちに報告頼んだ」
「一人で大丈夫ですか?」
「何もしねぇよ」
「…いや、その心配はしてないんですけどね」

黄色い機体が扉をスライドさせながらでていくのを見守ってもう一度ナイト
スクリームを見た。目を軽く伏せて床に座り込んだままずっと床を見ている。
サイバトロンはいくら捕虜から情報を聞き出すためと言っても無闇に暴行を
くわえたりはしない。
しかし、コンボイ司令官の命を何度も狙う敵だ。しかも弱いなんてとんでもない。
何度も自分たちを窮地に追い込むほどの実力と、ガルバトロンのためなら命をも
投げ出す覚悟。やっかいな相手だ。

「…」
「…おい」
「…」
「おい、こっち見ろ」

ナイトスクリームの顔がこちらをみた。
静かな顔だ、デストロンらしくない。
左頬に走る傷跡が残念だ。

「声はでるだろ」
「…」
「何もしねぇから少しは話せ」

あ、情報をって意味じゃねぇからな!と付け足すと
ナイトスクリームはまた静かに顔を伏せた。

「エネルギーないからだるいだろ」
「…」
「少しはいるか?」
「いらん」
「…やっと喋ったなぁ」
「…」
「低い声だな、戦ってる時は感じなかったけどよ」
「…何が言いたい」
「まぁ、ちょっと話そうぜってこったよ」

ナイトスクリームは床をずっと見つめたままだ。
すげぇ綺麗な顔してんだなぁ。ガルバトロンって実は面食いか?
いや、綺麗って言うより、何か見たことある顔なんだよなぁ

「なぁ、お前って」
「…」
「ボディチェンジとかしたことあるか?」
「ない」
「…ないか」

じゃあ知り合いってわけじゃなさそうだ。
俺にこんな無愛想な知り合いもいないしな。
…いや、前までいたな。すげぇ無愛想で、なかなか懐かないやつが。

ふとその顔を思い出す。
今はもう会えなくなっちまって暫く思い出すこともやめていた。
しかし思い出してみればますます思う。似てる。つくりって言うより雰囲気?
いや、雰囲気も完全一致ってわけじゃなくて、なんか微かに臭う程度に似てる。
それは「程度」と言っても自分に無視できなくさせるほどの効果があった。

「…お前ー」
「…」
「お前さ」
「…」
「お前って」
「なんだ!」
「…結構短気?」
「…」

また静かに顔をうな垂れる姿を見てわかる。

「ガルバトロンがいないからか?」
「黙れ」
「…お前やっぱ似てる」
「…」

ちらりとその顔をこちらに向けた。
似てる、何故今まで気付かなかったのか。
しかし、似ているだけなのだ。コンボイ司令官がスパークを散るその最後まで
見届けたのだから。
スパークが生き残っていて、新たに身体を差し替えたのとは訳が違う。

「…ちっ…ガルバトロンも悪趣味なやつだ」
「…ガルバトロン様のことを」
「殺気だつなよ…」

胸糞わるい。ガルバトロン、いなくなったら代わりはいくらでもいるってか?
似てる奴をどっから連れてきたんだかしらないが、悪趣味にもほどがある。


「副指令?」
「お、ホットショット。いいとこに」
「どうかしました?」
「ちょっと休憩したいから見張りかわってくれ」
「あ、はい」

場所を交代すると最後にナイトスクリームの横顔をみた。
まさか名前が似てるのもガルバトロンがつけたんじゃねぇだろうなぁ。
だとしたら飛んだイカレ野郎だ。


廊下に出て扉が閉まるのを確認するとスカイファイアーは舌打ちした。
あいつの代わりは一人もいない。ガルバトロンは、その程度だったってことだ。





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×じゃないの。+なの。さぁ捏造だ!
デ軍内では公認だけどサ軍は誰一人気付いてないと思う。
何かの拍子に似てるなと思っても赤の他人判定されるだろうなー。
むしろデ軍もガル様だけ気付いて、残りのデ軍は「ガル様がそういうんならそうかも」
くらいの認識。デ軍は知ってても気にしなさそうだしなぁ