ずずっとすする音に目を覚ました。
普段ならそう簡単には目を覚まさない自分が目を覚ますとは何かあるなと
スカイワープはぼやけた視界をめぐらせると隣の寝台にいるサンダークラッカーが動いているのに気付いた。

ん…と声に出すことなく、よくよく観察すると手で顔を隠しているのがわかる。
更に動いているのではなく震えているのだと気付くとスカイワープはようやく
目を覚ますから意識の覚醒まで持ってこれた。泣いてるのか?

ずずっとまたすすり泣く。
そっと身体を起こすと顔を隠しているサンダークラッカーは気付くこともなくしゃくりをあげた。

「っ…う…」
「…」
「ううっ…」

サンダークラッカーは自分たちの中でも大人びてると思ってる。
それはスカイワープじゃなく、多分スタースクリームも思っているだろう。

悪く言えば弱気で、自己主張しなくて、って言うんだけど
よく言えば軍のために自分の感情を殺すこともできる奴だし
あまり誰かの前でその態度もださない。サンダークラッカーがもう駄目だって
言ってるところも見たことないし、スカイワープはそんなサンダークラッカーが好きだ。

「…」
「ひっ…う…っ…」
「サンダークラッカー…」

すごく驚いて飛び跳ねるようにこちらをみたサンダークラッカーの顔が見えると
その顔はぐしゃぐしゃだった。白い顔が目から出た冷却水で濡れて
それを手の甲で何度も擦りあげた結果装甲に傷まで作ってる。

「……サンダークラッカー」
「…ス、カ…イワー…プ」

たどたどしい声は普段聞かない声だった。
スカイワープはぼんやりとそれを見て手招きした。

「おいで」
「…何言ってんだ?」
「うん。おいでって」
「だ、だって」
「早く来いよ…」

サンダークラッカーの足が寝台からすらりと下りて両足が床につくと
立ち上がったサンダークラッカーはゆっくりこっちにきた。
声をかければ泣き止むと思っていたが未だにぐすぐすとアイセンサーから
零れる冷却液を見て泣き止ますことは諦めた。もう泣きたきゃ泣いちまえよ。

両手のひらを差し出すとサンダークラッカーはおどおどしながらその手の平に手を乗せた。
強く握ってやって引き寄せるとよたよたと自分の寝台に乗ってくる。

「一緒に寝ようぜ」
「…」
「何もしねーから。な。寝よう」

自分の上に折り重なるように乗せるとサンダークラッカーはまた顔をくしゃっとゆがめた。
機械なのによくもまぁ、そんな顔できるよなぁと自分と同じ素材の機体を見る。

「…お前が、気使うなんて、さ」
「笑ってるんだか、泣いてるんだか、どっちかにしろよ」
「うん、うん」

寝台に横たわり重なり合う同機の頬を撫でると「いっ」とサンダークラッカーが顔をしかめた。
サンダークラッカーが訝しげに自らの手で頬に手をやるのをスカイワープは止めると
咎めるように「まったくよう」と息をもらした。

「触らないほうがいいぜ…顔、擦り傷だらけだぜ」
「まじか…気付かなかった…」
「擦りすぎだぜ…馬鹿だなぁ」

理由は聞かなかった。スタースクリームか?と思ったけど
あいつとの喧嘩だったら怪我するとか殴りあうとかそのくらいの展開になってるはずだ。
サンダークラッカーが夜にこそこそ泣くのはサウンドウェーブか、他の連中のせいだ。

「…寝よ」
「あぁ」
「寝よ寝よ」
「うん」

サンダークラッカーがスカイワープに抱きついた。
珍しいなぁと思いつつ背中に手を回してやるとまた嗚咽が漏れ出した。

声をかけてやろうか、もっと強く抱きしめて頬を伝う冷却液を舐め取ってやろうかと思ったがやめた。
数度背中を叩いてあやすとゆっくり目を伏せた。

「じゃ、おやすみ」
「あぁ…」

朝が来てスタースクリームがやってくるまで2体はそのままで寝ていた。





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スカワは何だかんだでスタスクとサンクラをすごい大事にしてたら良いと思う。
メガトロンは別枠で崇めててカセットロンも別枠である意味に大事。
スカイワープはそんな単純っぽさが良いよなぁ