触れそうなほど唇を近づけると「おい!」と否定的な声を投げかけられた。
「わかってるよ」と少しの距離を置いて触れさせず、触れているつもりだけで
鼻先や目元に口を持っていった。


「なんだよこのお預けプレイ…」
「お前がやる気にさせてくれりゃすぐでも開始しても良いんだけどなぁ」
「…言ったな」

スタースクリームに笑いかけると少し竦んだ表情をみせたがまた不敵に笑いかけられた。

「てめぇを抱きたくて仕方がねぇよ」
「…」
「いろんな顔見せろ」
「…」
「…スタースクリーム?」
「…」

スタースクリームが少しだけ面白くないような顔をした。
頬に手をやると微かに逃げるような動作をして目を細められる。
スタースクリームのこの表情は大抵嫌なことがあったときの表情だ。
何か嫌な事を言っただろうか。

「嫌か?」
「…抱かれるのが?」
「あぁ」
「嫌じゃねぇよ…」
「じゃなんでそんな顔すんだよ」
「……」
「…優しくするぜ?」
「…そりゃ、わかってるけどよ」
「…本当に嫌なのか?」
「ち、ちげぇって」

スタースクリームが数度口を開け閉めする。
何か言いたげにこちらを見ては言わないように口を閉め、視線をそらし、また口を開く。
それを繰り返すのを見てからアストロトレインは額と額をぶつけるようにくっつけた。

「いてっ」
「…まじで嫌ならしねぇよ」
「…ア、アストロトレ」
「しねぇよ」
「…し、したい」
「…」
「したいんだけど、よ」

したいと言うのなら何が駄目なのだろうか。
顔をしかめてスタースクリームの表情を更に覗き込むと小さく口を開いて「えっと…」と呟き始めた。

「お、お前って一度やったら…どうする?」
「は?」
「ど、どうするタイプだって聞いてんだよ」
「は?質問の意味が…」
「もうやんねぇとか」
「…?」
「飽きちまう、とか」
「何がいいてぇの」

気付いた。本当は「飽きちまう、とか」の時点で気付いたのだがその予想を確実なものとするために
スタースクリームのもう一言促して反応を待つ。

「も、もう俺に」
「近づかなくなるんじゃねぇかって?」
「……」

スタースクリームが恐怖の意思をあらわにこちらをみた。
こいつは何を言っているんだ?わからねぇと言うか馬鹿としか言いようがねぇんだが。

「馬鹿じゃねぇのか」
「なに」
「俺がいつそんなこと言った」
「…てめぇは」
「確かに誰とでもやるけどよ、ここ1年は誰ともやってねぇだろ」
「…」
「最初は、まぁ、本当に興味だったけどよ」
「…」
「今はちげぇぜ。お前以外に興味がないんだよ」
「だ、だから抱いたら終わりだろ!?」
「…信用ねぇなぁ」

スタースクリームが俺に飽きられるのを怖がっているのは良くわかった。
それが凄く嬉しい反面馬鹿な野郎だなと思うところもあるし、可愛いとも思える。

「じゃ、抱くのやめるか?」
「…え?」
「抱かれると飽きられると思ってるなら抱かなきゃいいんだろ?」
「…」
「抱いても飽きないけどよ」
「…」

スタースクリームは驚いていたがそれよりも辛いという表情が前に出ている。
俺の言葉が足りなかったのは確かだ。特別こいつに対して愛情を表現したことはなかったし
何より最初のあれがよくなかったのか?最初の最初、こいつの部屋に忍び込んで襲うようなことをした。
当然最後までやりゃしなかったけど、確か「俺のほうが強いんだぞ」的な発言をして襲い掛かったような気がする。
そんなことされれば目的は犯すことだと思っても仕方がねぇかもな。

「俺が悪かったよ」
「…え?」
「お前さんが好きだぜ。スタースクリーム」
「…」
「言うの遅かったな。そういや今日まで一度も言ってなかったぜ」
「…まったくだ、ぜ!」
「てめぇは?」
「えっ」
「…返事聞かねぇとなぁ」

スタースクリームの両頬を撫でてやる。
きょとんとしながらも段々頬の熱をあげていくスタースクリームは俺が何を求めているかわかってるんだろう。
促すように「なぁ」ともう一度言うとさっきまでの悲しげな表情はどこへやら、酷くうろたえた。

「し、知ってんだろ!?」
「…お前俺だけに言わせて」
「う、あの」

さっと動いて首の後ろに腕が回りこむとスタースクリームが噛み付くように口に触れた。
驚いて仰け反るが唇を数度食む様に甘噛みされ、舌が入り込んでくると自分もスタースクリームの動きを助けるように
その後頭部に腕を回して抱き寄せてやった。

「やる気でるまでキスしねぇんじゃなかったんじゃねぇの?」
「…や」

スタースクリームの足がするりと自分の足にかけられた。
ちょっと絡んだだけだがお互いこういう場数だけは多い。

「…お前の気持ちはわかったけどよ…口で言おうぜ」
「…そ、その、」
「うん」

にやにやと口角が上がるのを押さえられず、スタースクリームが羞恥で真っ赤になったが
それでも自分のこの高揚感を抑えることは出来ないし、むしろ煽られる。

「くそっ…やりたい…っ」
「…」
「接続っして…くれ」
「…もちろんだぜ」

下腹部に手を伸ばしながらスタースクリームの額にキスをした。
スタースクリームが身じろいで照れたような表情を隠そうとするのに笑いかけて
顔を隠す手に舌を這わせた。


「お前、どれくらいヤったことあんだ?」
「…どれくらいって言われても」
「年に何回とか」
「はぁ??多分…100ねぇよ」
「まじで?」
「つか、今までの回数全部合わせても3桁いってっかどうか…」


アストロトレインはスタースクリームの顔を覗き込むともう一度「本当に?」と聞き返した。
スタースクリームも「う、うん?」と困惑しつつ頷き返すとアストロトレインはにやりと笑った。

はっきり言ってアストロトレインにとってその回数は少なすぎると言えた。
流石にそのことをスタースクリームに言えばまた誤解を招いたり怒ったりするだろうから
言わないでおくが間違いなくスタースクリームの経験回数の5倍は軽い気がする。
これはアストロトレインにとって心底嬉しい情報だった。

「ア、アストロ、トレイン?」
「…そうかそうか。へぇ」
「…なに?どうした?」
「いや、なんでも」

ってことは変なプレイなんてやったことないだろう。
どこまでやっても大丈夫だろうか。何まで経験済みだろうか。
心の芯から楽しみになってきた。もっと色々やったことあると思ってたけどまさかこんなに経験が浅いなんて。

本気の俺とヤっても大丈夫か?
正直、我慢できないぞ今回は。

「スタースクリーム…」
「んっん?」
「最後までやって、良いんだよな…?」
「た、たりめぇだろ…遠慮すんな」
「…わかった」

スタースクリームにキスをしてアストロトレインは笑った。
キャノピーから腹まで数往復撫でると下腹部のパネルの上にてをおいた。








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すいません!まだ続きます。次で終了…?