「スタースクリームって格好良いよなぁ〜…」 頭上にハートマークなんて浮かべながら呟いた一言は サイバトロンの誰かに聞かれたら怒られる一言だ。 「あの飛行技術」 「スマートで」 「低すぎない声」 「頭も良くて〜」 「美形なのに」 「時々可愛いのがまたな」 大盛り上がりの理由は一つだ。 お目付け役のシルバーボルトがいない。 エアーボットは敵軍団のNo.2で航空参謀でもある「スタースクリーム」に 興味がある。一部、スリングあたりは興味があるを越えて崇めつつある。 「俺たちってこりねーよな」 つい数週間前、デストロン軍に騙され過去に飛ばされた。 もちろん心は入れ替えた、やはりデストロン軍は悪なのだと。 しかし、デストロン軍団が壊滅すべき悪の軍団なのと スタースクリームの話は別物だ。 「あの機転のよさ。行動力、どれをとっても良い…」 「航空戦略家のスカイダイブが言うんじゃやっぱスタースクリーム頭良いんだな」 「なんで時々裏切るんだと思う?」 「メガトロンが嫌いなんじゃないのか?」 アイアンハイドやコンボイから言わせればまだまだ若いエアーボット部隊の 話題は尽きないものだ。 もちろんサンダークラッカーやスカイワープだって良い。って言うか ジェットロンが良い。ただスタースクリームはまた何か違うんだ。 頭のよさと見た目と、それと時々可愛いのが。 スリングは先ほどから「会いたい」「可愛い」ばっかりだ。 エアーライダーなんかはスタースクリームの飛び方や攻撃手段なんかに 惚れ込んでるようで各自好き勝手に敵参謀について語る。 「スタースクリームとまた話したいんだけどよ…きっとシルバーボルト怒るよな」 「そりゃ、怒るだろうな」 「またこの間みたくなるかもしれねぇし」 「…でもスタースクリームがメガトロンを嫌いならこっちに引き込めたり…」 「……う〜ん…それは難しいな」 やはりエアーボットの話題は尽きない。 ふと扉が開いてそこにバンブルがいた。 聞かれたかと焦った一同だったがそんな様子はない。 「あれ?スパイクしらない?」 「す、スパイク?知らないぜ」 「あれ〜?スカイファイアーも知らないっていうし…」 「スカイファイアー?スカイファイアーがいるのか?」 「うん?さっきまで基地内にいたよ」 暫く黙った後にスリングが立ち上がった。 全員が目でスリングを追う。 「どうした?」 「…スカイファイアーにスタースクリームのこと聞けば良いんだよ…!」 「…おお!それ良いね!」 小さい声でぼそぼそ喋るエアーボットを見つつバンブルは首を傾げた。 「どうかした?」 「いいや!スパイクね!見つけたら探してたって言っておくよ」 「任せてくれ」 「外も見てこよう」 「うん。そうしよう」 4体が立ち上がってバンブルの横を通り廊下へでていく。 バンブルは首をかしげながらため息を吐いた。 「ほーんと、あいつらも馬鹿だよなぁ。あれのどこがいいんだっての」 バンブルは悪態一つ落とすとスパイク探しを続行した。 * 「スタースクリーム?」 「は、はい!」 「どんなでした!昔のあいつ!」 「…」 スカイファイアーは一仕事終えて休んでいた。 唐突な質問に口元に手を当てて考える。 「どんな…ってどういう意味で?」 「前から頭が良かったとか」 「前からスマートだったとか」 「…まぁ、頭は良かったよ。科学者だったし、同じ施設内では 誰からも一目置かれる感じで」 「へぇ〜!」 「それで!?」 スカイファイアーは大きな椅子と大きな机にゆったりと腰掛けて考えた。 エアーボット達も座るとスカイファイアーをわくわくとした目で見つめた。 まるで子供が父親の冒険話を聞くような目で見つめられて スカイファイアーは気持ち悪いような、心地良いような変な感覚になった。 「スタースクリームについて語れば良いのかな?」 「は、はい!」 「お願いします!」 「先輩お願いします!」 「…う、うん。まぁ…スタースクリームとは何百年も一緒に居たけど 今より昔の方がよく笑っていたね」 スカイファイアーは昔の記憶を探り出すと思い出した事をぽつりぽつりと零した。 どんな些細なことでも聞きたいスリングを筆頭にエアーボット部隊も 聞き込んでいる。 「飛行速度も速くて、彼が気分転換で施設の周りを飛んでると 飛べないトランスフォーマー達の観客ができるくらいで」 「へぇ…」 「拗ねると唇を突き出す癖があって、おだてると笑う」 「笑うとこ見たことあるんですか?」 「あるよ。今よりももっと素直な顔で笑うんだ」 スカイファイアーは最初は驚いたが語り始めると楽しくなってきた。 エアーボット部隊もにこにこと聞いてくれる。時々質問されると より深く自分の中のスタースクリームを知れて楽しかった。 一時間は語っただろうか。随分と話し込んでしまった、それでもまだ 語って欲しければ語れるほどスタースクリームの情報は持ってる。 「本当スタースクリームって可愛いですよねぇ!」 可愛い?確かに可愛いよ。スタースクリームは。 頭が良いのにちょっと抜けてるところとか、時々照れくさそうにする所とか。 君がそれを直接見たわけでもないのによく可愛いっていえるね。 「今度あったらちょっとアプローチしてみようかな…」 「まじで?じゃあお前失敗したら次俺やってみようかな」 「まだ失敗するって限らないだろ?」 「案外サイバトロンになってくれるかも」 「ならないよ」 スカイファイアーはさらっと言葉を発した。 こんな事言うつもりはなかったがつい言葉が零れた。しかも止まらない。 「スタースクリームはサイバトロンにはならない」 「え」 「で、でもわかりませんよ?メガトロンといつも喧嘩してるし」 「そうそう」 「ならない」 エアーボットの4体はきょとんと言うより唖然としていた。驚いているのだろう。 自分の声が普段よりも低かったのには気付いていた。 自分で理由もなんとなく理解してる。 君たちがスタースクリームのよさを分かるにはまだ早いんじゃないかな 「なんでサイバトロンにならないだなんて言い切れるんだ?」 「私がサイバトロンにいるのに彼はデストロンにいるからだ」 暫くエアーボットたちは黙った。 そして首を傾げると「え?」と言った。 理解できないか。それは仕方がない事だよ。 私と彼の間にある関係なんて私たち以外に知るものはいないのだから。 「こら。お前達なにやってるんだ」 「あ、シルバーボルト」 「もう戻ってきたのかよ」 「もうってなんだ」 エアーボットたちはまだ若い。 わからないことはわからないままにしても気にしないのかもしれない。 それとも直感でこれ以上聞かないほうが良いと思ったのか。 スカイファイアーは騒がしいエアーボット部隊を視界から外して 机に頬杖をついた。 私がサイバトロンにいるのに彼がこちらに来ないって事は 「…きっとあっちで何か見つけたんだろうね」 私以上に大事な何かを。 スカイファイアーは気付かれないようにため息を吐いて 話し疲れたブレインサーキットを休ませた。 ------------------------------------------------------ (´・ω・`)…? 元スカファスタのスカファ→スタ→デ軍的な… エアーボット部隊はスカファはただの良い人くらいの認識。 サ軍でも鋭いやつらはスカファとスタスクの関係をちょっと見抜いてるから スカファにスタスクのネタは振らないw