ごみ箱




「スタースクリーム」
「んあ。スカイファイアー…」
「かなり集中してるけど、補給してる?」
「…した、と思った」
「確証はないわけだね?」
「…これ、上から急ぐように言われてるんだよ…」
「…光学式文字読取装置対応にするのかい?」
「古代文字だからOCRでの照合きかねぇんだと」

斜め後ろから眺めていたがキャスターの付いた椅子を引き寄せて隣につく。
手に持っていたホットエネルゴンをスタースクリームに渡して飲んでいいよと
告げるとスタースクリームは飲みかけだったエネルゴンを飲んだ。

「あったけ…」
「普通のエネルゴンじゃなくて、温かくすると味が変わるエネルギーなんだよ」
「ふーん。美味いな」
「ふふっ…そうかい?」

気に入ってくれたようでそのままごくごくと飲み干していくのを見つつ
スタースクリームが途中までやっていた仕事を少しだけ進めていく。

この間、未開の惑星で見つけた古代文字だからこれがもし、古代トランス
フォーマー達や知的生命体の残した物で何かのありかや警告なら
大きな発表になる。
その場合、誰しもが読めるように解読して、何度も確認をとった後に
公共の電波に乗せる。
丁寧に解読、確認、照合をしながら進めると確かにこれは時間がかかってしまう。

「少しだけ、スリープしたらどうかな」
「一度寝たら暫く起動できねぇ」
「起こすよ」

コップを飲み終えて机に置くとスタースクリームは少しだけはにかんだ。

「いいのかよ」
「良いよ」
「…じゃあ言葉に甘えされてもらうぜ」
「うん」

大体ここはスカイファイアーの部屋であり、スタースクリームが今の今まで
使っていたデスクもスカイファイアーのものだ。
スカイファイアーは仕事を併用することが多く、メインコンピューターをいくつも
部屋に置く。
一台一台、インストールされている内容が違い、解析向きや、遠距離とも連絡の
取れる通信機搭載型など様々である。
そのため、部屋は所狭しとものが置かれているが、スタースクリームはそれでも
スカイファイアーの部屋によく遊び兼仕事にきていた。

「寝台借りるぜ」
「あぁ、好きに使ってくれ」

横になって、自分のものとサイズが違う寝台だからか少し扱いにくそうに
チャージポッドの電源を入れている。
立ち上がって、スタースクリームに近寄り、電源と出力調整をスタースクリームの
規格にあわせて調節した。

「これで良いよ」
「あぁ」
「おやすみ、スタースクリーム」
「おやすみ」

スタースクリームが腕に手をやってきたので顔をあわせると少しだけ
起き上がって唇を重ねてきた。
本当に短い時間だったし、少し触れただけだったので何も出来なかったが
スタースクリームは少しだけばつが悪そうにして再度「おやすみ」と小さく呟いた。

「ス、ス…スタースクリー」
「もう寝る。あっち行けよ」
「う、うん。あぁ、すまない…」
「………」

スタースクリームは目を伏せて、少しずつスリープモードへと移行を始める。
スタースクリームの駆動音が少しずつ小さくなって、寝息が聞き取りやすくなる。

この友人以上に親しく、恋人未満な彼は行動が奇抜でいつもハラハラさせられる。
眠ってしまったのを確認して、スタースクリームの唇を指で触れ、先ほど
味わえなかった彼の唇の感触に浸る。
そのまま身体を屈めて触れてしまおうかとも思ったが、彼は嫌がるかもしれない。
そう思うと気が引けて自分からは行動にでれなかった。
少しだけ屈んでいた身体を起こしてデスクまで戻る。

キャスターのついた椅子を引っ張った際に聞こえたキィと鳴る音に
スタースクリームは薄く目を開けた。

(されても構わなかったのによ…)

馬鹿野郎が。と心で小さく呟いて、強制的に思考をスリープに落としていった。



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こいつらは恋人未満友達以上の関係だよ!
お互いもんもんとしてれば良いよ!
本当想像をかきたててくれますよ。スカファスタ!