ごみ箱





サウンドウェーブが怒ったのが手に取るようにわかった。
近距離だったからだろうか。それとも無表情でも雰囲気でわかってしまうほど怒っているのか。


「初耳だ」
「え、あ、そうか?そうだっけ…?」


サンダークラッカーは嫌な予感に身体をこわばらせた。


初夜



真夜中に寝室に呼ばれた。サウンドウェーブにだ。
スカイワープとスタースクリームには言わなかった。いや、誰にも言わねぇわ。つか言えねぇ。
サンダークラッカーは自室で馬鹿みたいに一人で慌てていた。





『サンダークラッカー…』
『んっ…サウンド、ウェーブ…?』
『もっと口を開けろ』
『んっ…んんっ…』

口内をサウンドウェーブに蹂躙されながらサンダークラッカーは壁に寄りかかった。
仕事の合間にサウンドウェーブはサンダークラッカーを呼んでいた。
時々触れて、キスをして、サンダークラッカーも嫌ではなかった。

『サンダークラッカー…仕事だ』
『あ、あぁ…』

身体を引き離して口の端から零れるオイルを拭うとその場から離れようとした。
扉のほうに足を向けると羽をつかまれ後ろに倒れそうに動く。

『なっ…なに?』
『……数時間後…夜には時間があく』
『?』
『だから、部屋に来い』
『…!』

サウンドウェーブとこんな関係になったのは暫く前のことだがキスをされる以上のことはされたことがない。
しかし、このタイミングで寝室に呼ばれるのはもしかしたらと思うのが当たり前じゃないか?



「どどど…どうしよう。どうしよう」

サンダークラッカーはスカイワープの居ない自室でうろうろと円を描くようにうろついていた。
頭の中は「どうしよう」と「どうなるんだ自分」そればっかりだ。
スタースクリームやスカイワープに少し聞いてみようか。少しはためになる発言をしてくれるかもしれない。
いや、やっぱり駄目だ。間違いなく邪魔される。いや、邪魔されたくないわけじゃなくて…

「あ〜…どうする…?どうする…」

ぼーっとしてると変な想像しか浮かばない。
俺が当然下なんだよな…下ってなんだ!馬鹿!変な想像するな!

「でも…いや、無理、無理だ……あっ!」


どれだけの間うろうろしていたのだろうか。
呼び出された時間まで既に残り数分となっていた。




*




「サンダークラッカー…?」
「え!?な、なに?」
「どうした?」
「べ、別に…」


寝室まで来るとサウンドウェーブは仕事をしていた。
「座っていろ」といわれて寝台に座るとサウンドウェーブは仕事を再開した。

ちょっとしたエネルゴンを渡されてそれを飲みながら待つ。
目線だけサウンドウェーブに向けて仕事をする背中を見ているとますます心穏やかではなくなってくる。

「サンダークラッカー」
「は、はい!!」

声が裏返る。しまったと思っても既に声を出した後では遅いのだが。

「これが今度の作戦の経緯とお前の仕事だ」
「あ、あぁ」
「……どうした?」
「え、なに、が?」
「落ち着かないな」
「そんなことな、い…」
「そうか。じゃあ戻れ」
「………」

戻れ?戻れって…

「サンダークラッカー?」
「……」


………は、恥ずかしい!
俺は馬鹿か!いやもう大馬鹿野郎だ!!
最悪…何を考えてたんだ!仕事だ!仕事!


「あ、あぁ!有難うな!それじゃ!」
「待て。サンダークラッカー」
「ん?何も問題ないぜ!大丈夫!」
「違う。待て」

サウンドウェーブの言葉を聞かずに今来た道を戻ろうと立ち上がる。
ここに長居してブレインスキャンなんかされたら最悪だ。何考えてきやがった自分。
期待してたのか。最悪だ!


「サンダークラッカー」
「な、なんだ?」
「悪い。冗談だ」

「は…?」

ここでやっとサウンドウェーブの顔を真正面からみた。
正面から見てやっとわかる。笑ってる。


「ま、まさ…か」
「お前がそこまで期待するとは思わなかった」
「ブレインスキャンしたのか!」
「してない」

嘘だ!絶対嘘だ!と言いたいが上官にそんなことも言えず、その場でサンダークラッカーは立ちすくんだ。
サウンドウェーブは少し笑うと顔を近づけてきた。
いつも通りの動きだ。いつも出撃や仕事の合間に少しだけ触れてくる時と同じ動き。

頬にサウンドウェーブの口があたる。
目尻を舐められると背筋が震える。

「サンダークラッカー」
「っん…な、なに?」
「明日は出撃予定はあるのか」
「……なかったと思う…」
「そうか」

小さい声で屈めと言われて床に腰を下ろすと両肩を掴まれて押し倒される。

「ゆ、床で?」
「寝台まで移動するか…?」
「だ…大丈夫…」

腰を撫でられて脚から力が抜ける。
腰から足の付け根まで指でゆっくりとなぞる動きを感じつつ、サウンドウェーブの顔を見た。

「サウンド…ウェーブ…っ」
「どこを触れてもらいたい?」
「んっ…や…」

下腹部のハッチを指で撫でるだけ撫でて中に触れてこない。
サンダークラッカーは身体を身じろいで快感の強い部分に当てようとした。


「…サンダークラッカー」
「っ…な、ん…」
「お前…初めてじゃないだろう」
「んっ…なんで…?」
「…反応からして」
「…ま、まぁ…スタースクリームとか」
「…」
「スカイワープとかと…」
「…」
「やったことあるけど…?」
「…」
「え、あ…!ご、ごめ…?」


サウンドウェーブが怒ったのが手に取るようにわかった。
近距離だったからだろうか。それとも無表情でも雰囲気でわかってしまうほど怒っているのか。


「初耳だ」
「え、あ、そうか?そうだっけ…?」
「…」
「ご、ごめん…」

何で謝るのか理由もわからないが癖のようなものだ。
サウンドウェーブの雰囲気を感じて謝った。

「戻れ」
「…え?」
「部屋に戻れ」

腕を引っ張られ床の上から立ち上がる。
目を見開くとサウンドウェーブは顔をそらして扉まで歩くとロックを外し、扉を開けた。


「サンダークラッカー」
「…」
「…戻れ」


なんで?
なんでそんな声だすんだよ…
もっと、いつもみたく低くて、威圧的な声で言ってくれれば良いのに。


「…嫌だ」
「…サンダークラッカー」
「…絶対…嫌だ」


そんな弱気な声だから、普段反抗できない自分だって反抗するんだ。






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没ネタだったんで中途半端なところできれてる。
なんか音波さんが処女厨になった…