ごみ箱







妄想・捏造大歓迎なお方のみどうぞー













デストロン軍に入るにはいくつかのテストをする。
インシグニアをつければそれはデストロンの証拠だが
決してメガトロン様に名を覚えてもらえることはない。



進路希望調査




デストロンになるのは案外簡単だ。
レーザーウェーブからインシグニアを貰えば良い。
セイバートロン星にいるトランスフォーマーは破壊されるか
レーザーウェーブの元で鍛えられてデストロンの一部になる。
もちろん、適性がない奴はやはり破壊する。どうしても死にたくないと
いう奴は雑用をさせる。それが決まりだ。


「ここに集まってもらった諸君は、数居るデストロンの中でも期待できる人材だ」


レーザーウェーブがそういえば新人デストロンたちはにやりと笑った。
大抵、期待できるなと思った奴は根っからの悪者だったり、スペック値が
異常に高かったり、元々作られた理由が戦いに向いていたなんてこともある。

雑用と、セイバートロン星の見回り以外にも使えそうな連中を
基地内のホールに全て集合させた。全て新人である。
数年に1度、ある程度期待できるトランスフォーマーが集まったら
破壊大帝に見てもらうことにしている。
しかし、破壊大帝は忙しくてなかなか訪れてはくれないものだ。

「今日は、デストロンの破壊大帝、メガトロン様がお見えになる」

おぉ、と微かなざわめきが起きた。
レーザーウェーブはその数十体並ぶトランスフォーマーが
静かになるのを少し高いところより見下ろしそれを待った。
やっと静寂が訪れるともう一度言葉を繋げる。

「皆、お目通りがかなうことを望んでいただろうがそれは出来なくなった」

今度はざわめかないが困惑や不服の表情をこちらへ向けてくる。
やはり、どいつもこいつも中身はデストロンくさい連中ばかりだ。

数日前より噂で「メガトロン様がセイバートロン星に来る」と聞いていただけに
来れなくなったと聞かされれば不平不満がこぼれるものだ。
中には「俺がデストロンのリーダーに」なんて愚か者もいるだろうが
それは不可能な話である。レーザーウェーブがざっと目を通したが
メガトロン様どころかスタースクリームにも、私にも能力で勝る者はいない。
カセットロンにも敵わないだろう。もしいきなり私に勝てるような奴が居たら
すぐにでもメガトロン様にお通しする。良い人材がいる、と。

「…しかし、それでは不満がでるだろうと」

メガトロン様もお優しい方だ。


「ジェットロン部隊が来ることになった」


まったく、この新人どもは。
先ほど不満の声は殺せたのに歓喜の声は殺せないようだ。





*






セイバートロン星の本部基地内、メインルームにてレーザーウェーブは
カタカタとコンソールを叩き隻眼を光らせていた。
ゲートを開くように入力すると微かな光と音が聞こえてくる。
それがスペースブリッジの起動の合図だった。

扉が左右に開けばそこには3体、トランスフォーマーが居た。
長い脚をこちらに一歩踏み出したのはその中のリーダーでもあるトランス
フォーマーで、そのままこちらへと歩み寄ってくる。
その後ろに居る水色と紫のトランスフォーマーはどこか対照的な表情で
片方は真面目そうな、しかしどこか無感情のような顔を。
もう片方は微かに欠伸を漏らしながら面倒臭そうにしている。
しかしどちらも整った顔をしているのはすぐにわかった。

「レーザーウェーブ、ご苦労」
「スタースクリーム、よくきたな」

自分に歩み寄ってきたトランスフォーマーの名前を呼びながら
その顔を見れば、まぁ、相変わらずだなと言った所か
目は常に人を見下しているような、しかし真っ赤に光るそれはデストロンの
兵士に嫌味を与えないだろう形をしている。口元には笑みがあるが
それも微笑とは程遠いものだがこれも腹が立たない程度の形のいい口だった。

顔を少し傾けてスタースクリームは腰に手を当てた。
きっと、スタースクリームの頭の中にはジェットロンの機体を最高に良く見せる
方法の心得でもあるのだろうとレーザーウェーブは思った。
顔の動き、身体の重心のかけ方、腕の位置、全てがその機体を良く見せる。
突っ立っていても見目麗しいだろう身体が脚が長いように、身体が軽そうに
見せる動きをする。

スタースクリームから後方に立つサンダークラッカーとスカイワープに向けても
それは変わらなかった。スタースクリームとは違ってそこまで自分たちの身体を
磨くことに興味のない2体だがそれでも自然と取るポーズは視線を引き寄せた。

まったく、ジェットロンには製造された時からそういう基本があるのだろうか。
メガトロン様が必ず近くに1体は置く理由がよくわかる。

「今日は顔合わせ程度だろ?」
「あれ?今回は懇親会しねぇの?」

スカイワープがきょとんと聞いてくる。
小さく首を傾げる動きが何とも表現しにくいが愛らしい、が一番近いか。
スカイワープのほうへ向き直るとレーザーウェーブは手振り身振りで話した。

「メガトロン様がくるならするが」
「えー、俺食い飲みし放題かと思ってた」

前々回か、数度前がそうだったのだ。
その時はメガトロン様も、ジェットロンも揃うと言う豪勢なものになり
エネルゴンをだして食事をしながら親睦を図った。
それを期待していたのだろうがそこまでする必要もないだろう。

「スタースクリーム、少し挨拶を頼めるか?」
「…わーってるよ」

ぶすっと面倒臭そうな表情をして顔をそらされる。
そんな面倒臭い事じゃないだろうと疑問に思った、スタースクリームは
他人の目に触れるのも好きだし、注目を浴びることを好む。

先ほどからぼけっとしていたサンダークラッカーが少し笑って
スタースクリームを指差した。あぁ、相変わらずこの子は可愛い顔で笑うな。

「メガトロン様に怒られたんだぜこいつ」
「あぁ、ありゃあ受けたぜ、まったくよ」
「うるせぇうるせぇ!」
「なに?どうした」

楽しそうなスカイワープたちに聞くとメガトロン様もスタースクリームに
自分の代わりの挨拶を頼んだらしいがその時の台詞が

『間違ってもニューリーダー宣言するなよスタースクリーム』

だったらしい。
そういえば前回か、確かアストロトレイン達の年だ。
スタースクリームがニューリーダー宣言して大変だったなぁと思い出す。
メガトロン様は新人達の前で副官を殴ると言う暴挙に出るし
スタースクリームまで騒ぎ始めて撃つわ蹴るわで収めるのが大変だったものだ。

今回は先に厳しく言われてきたようだ。
困った奴だが、いつになっても子供らしいところは私は悪くないと思う。
サウンドウェーブあたりは結構いらいらすることもあるようだが
そこまで頻繁に見ないからか、少しくらい幼いところがあった方が
付き合いやすいとも思うのだ。

「頼んだぞ、スタースクリーム。お前ならちゃんとできるさ」
「…っ…あったりまえだ」

褒めてやれば嬉しそうな顔をする。
ちょっとにやけるこの顔を、外に居る連中は想像もしないだろうな。


メガトロン様が「航空戦力強化」を心がけているから
今回の新人達もやはり羽を持つ者が多く見られる。ちょっと聞いたが
羽を持つ者は羽を持つ者に惹かれるらしくジェットロンは憧れるらしい。
まぁ、羽のない自分でもジェットロンは魅力的だと思うから
羽のある者からみたらきっと憧れ、尊敬の的なのかもしれない。

ジェットロンの機体は今は生産中止になったがまだある。
倉庫の奥のほうでパーソナルコンポーネントを入れられていない灰色な
ジェットロンがまだ眠っている。
しかしそれを見ていても「魅力的だ」とは思わないし、それは誰でもそう思う
ようで、ジェットロンと言う機体の形自体が魅力の源ではないようだ。
では、なにが。まさかコンポーネント?それはないだろう、動くジェットロンが
美しいのだろうか。

その辺り凄く興味があるのだがサウンドウェーブに前に言ったら
馬鹿かお前は、と目線で伝えてきたのでそれ以来口にはしていない。


話を戻せば新人達はジェットロンに憧れを抱いている者が多いということだ。
ジェットロンが来ると言った時のあの声、あの表情、あの反応。
どれだけ嬉しいのか知らないがあんなにはしゃぐ新人達は初めて見た。




*




顔合わせは思っていたよりもすんなり終わった。
スタースクリームはニューリーダー宣言もしなかったし
気になっていた新人達も静かに耳を貸してくれた。正直野次を飛ばして
それに短気なスタースクリームが切れる、なんて状況もシミュレートしていた。

スタースクリームが珍しく真面目な表情ですらすら挨拶をするのは
面白いものを見たなと思わせてくれた。
スカイワープとサンダークラッカーも何か一言ずつ言うか?と聞けば
だいぶ嫌そうだったがスカイワープはいつも通りに
「もし地球にくることがあったら挨拶してけよ」と気軽に話していたし
サンダークラッカーは困ったような表情で「こっちくるにしても、セイバー
トロン星で動くとしても怪我すんなよ」と気遣いを見せていた。




「スタースクリーム達?」

新人達が終わった後に声をかけてきた。
スタースクリーム達はメガトロン様がすぐに戻れと言うから挨拶が終わり次第
地球へ戻ってしまった。新人達は多分近くで見たかったのだろう。
離れたところからマイクを通し、スピーカーから声を聞くだけじゃ足りなかったか。

「もう行ってしまった。また来るのはいつになるかな」

そう言えば残念そうにするだけだった。
こいつらは地球で、メガトロン様の近くで働きたい気持ちはあるのだろうか?
実力があれば嫌でも地球に行くことになるが希望を聞いておくのも
私の仕事かもしれない。地球で働く気があるのなら多少は叶えてあげたいものだ。


「お前たちは」
「おい、レーザーウェーブ」


上の階層よりスタースクリームの声が聞こえた。
顔をあげると飛び降りた姿が目に入る。
両腕を軽く広げて右足で着地すると膝でその衝撃を吸収し、微かに身体を沈める。
その身体を起こすとまたあの顔が見えた。
真っ赤な目と形のいい唇。デストロンには珍しい色のトランスフォーマー。

「どうした?」
「メガトロンからこれ、渡せって言われてたんだ」

忘れてたぜ、とディスクを渡される。
それを見つめてからスタースクリームを見ると「確かに渡したからな」と
指をさしながら微笑まれた。

「メインルームに置いておいてくれれば気付いたぞ」
「手渡ししとかねぇと後々文句言われても面倒だからよ」
「そうか…今日は疲れたろう」
「いや?そこまで苦でもなかったぜ、てめぇこそ頑張れよ」

にっと笑う。
それは悪い笑い方ではなく、サンダークラッカーのものに似た屈託のない
笑みだった。まったくジェットロンは本当表情豊かな連中だ。


「それじゃ、またくるぜ」
「あぁ、またな」


背を向けて踵を一度床にカツンとぶつけるとそこからジェット音が響いた。
風に顔を一度背けると次の瞬間にはスタースクリームは宙に浮いていた。
2階のメインルームへと続く廊下にはスカイワープとサンダークラッカーも見える。
そこへ飛んでいくのを見送りつつため息をついた。

「…あぁ、話の途中だったな」

後ろに居た新人達にまた声をかける。

「お前たちの中に、地球で…メガトロン様やスタースクリーム達の下で働きたいと
 いう奴はいるのか?実力次第では可能だが」


新ジェットロンやトリプルチェンジャーなんかは実力が認められて
実際に地球という他惑星でサイバトロン相手に最前線で戦っている。
実力の足りないものは、本部基地内護衛か、セイバートロン星にいくつもある
デストロン基地を任せることになるが。


振り返った新人達の空へと伸びた手を見て数えるのはやめた。
大半が該当にあたるようだ。
まったく、やはりメガトロン様にも来て頂くべきだったかも知れない。
ジェットロンと破壊大帝の威圧の度合いはまったく異なる。
メガトロン様をみて腰を抜かす者もいるほどだ、スタースクリームとて
あれが彼の全てではない。
本当の姿をまだデストロンなりたてのこの兵士達は知らないのだ。

「…まずはその実力を示すところからだな」


そう言えば次の日から新人達の働きの度合いは向上するのだった。






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妄想捏造大歓迎だよ!ごめんね!

ジェットロンはセイバートロン星にもいますよね、アシッドとかね。
あの辺りも人気なんだろうなぁと思いつつ
地球で戦闘最前線メガトロン親衛隊はもう別次元で憧れの的だと思う。
駄目な子も多いけどね!!!(笑)

セイバートロン星基地内にはいつもレザウェとコンポいらずの無感情ロボしか
いないわけですが他の連中はやはり普段は外なのだろうか。
セイバートロン星基地内はある一定以上の階級を持ってないと入れないとか
だったら凄い萌える。