ごみ箱






 


「スタースクリーム。直してくれよ」
「……いい加減自分らでやれよ」


コンバットロンはスタースクリームの研究用具をいじる手を止めて笑った。

 

 

「……この間も俺様がやってやったんだぜ?」
「お前さんじゃねぇと調子悪くてよ」
「エアーボットの奴らと出くわしちまってよ。リペア頼むぜ」
「最近エネルゴン補給口の調子もわりぃんだ。そこも」
「俺も」

スタースクリームは目を細めた。研究ラボに入ってきて横並びになった5体を一通り眺める。
今まで扱っていたソックスレー抽出機を見て加熱具合を確かめ、こぽこぽと言う音が部屋に響いた。
まだまだ抽出には時間がかかりそうだ、とため息を吐いて危険な薬品を触らないようにつけていた
薄手の手袋を外して机の端に投げた。


「1時間くらいだけだぞ」
「へへ。かまわねぇよ」
「流石は俺らを作っただけはあるぜ」
「俺が先だ」
「俺だ」
「何しやがんだ!」

「………」

騒ぎ始めた連中を見て落ち着きねぇなとスタースクリームは内心毒づいた。
前まで俺に復讐するだの何だの言ってたがデストロンに正式に所属してから数ヶ月。随分馴染みやがって。

「一番酷いやつが先だ。他は黙って座ってろ」
「じゃあ俺だ」

オンスロートがリペア用の寝台の上に横になる。
背後からぎゃーぎゃー文句を言う連中は全部無視してオンスロートの体を見る。
自分が改造しただけあって破損箇所がわかりやすいのは確かだった。

「ちょっと痛むかもしんねぇな」
「あぁ。はやいとこやっちまってくれ」

破損箇所を覗き込んで両手をリペア機具に変えると体内にゆっくり入れた。
少しうめく声を聞きつつ作り直してやった時同様に直すとオンスロートは満足げな声をあげた。

「どうだ」
「大分楽になったぜ」
「お前リペアできるくらいの脳持ってるだろうが。仲間の手当てはお前がやれよ」
「俺たちの身体は地球製の昔の金属だぜ?俺が適当にリペアしたらそれこそ直らなくなっちまうぞ」
「……」

顎に手を当てて考える。まぁ、確かにセイバートロン星の金属と地球の金属じゃ
耐熱度やリペアするときの順序、機具も違うが。
他のコンバットロンを見ると首を左右にぶんぶん振って「いやだぜ」と言ってくる。

あぁ。面倒臭い部隊だな。

「じゃあ次、ボルター」
「はいよ」
「次は俺じゃねぇのかよ」
「ブレストオフは次。その次ブロウルな」

しっかり顔を見ながら名前を呼ぶ。
一応俺がつけてやった名前だ。セイバートロン星でのこいつらの名前なんてしらねぇが
こいつらも文句言わずつけた名前で呼ぶとちゃんと見返してくる。
可愛いところって言ったらそれぐらいだぜ。まったくよ…口が悪くてかなわねぇよ

「スタースクリーム」
「あぁー?」
「今度コンバットロン臨時基地遊びこいよ」
「なんでだよ。俺の滞在基地は海底基地だろ」
「この前面白いもん拾ったんだぜ」
「面白いもんねぇ…」

待ってるのが暇になったのか他の連中が「スタースクリーム」「スタースクリーム」「あのな」「これさ」「だからよ」
スタースクリームはばれない程度のため息を吐いた。

確かに木っ端微塵の地球の乗り物を作り直して変形できるように改造してコンポーネントを取り付けたのは俺だ。
だからって別に俺を親かなんかと思ってるんじゃねぇのかこいつら。


「スタースクリーム」
「はいはい」


一時間以上立ち、ソックスレー抽出機をちらりと見ると
アストロトレインに頼んだ他惑星の珍しい植物から溶解し終わり一番下に設置したフラスコの中には
今度の作戦に使うだろう目的の成分が溜まっていた。
これができたら今度は他成分と混ぜて再結晶化する仕事が残っている。しかもできるだけ速くと
破壊大帝メガトロンからの直々の命令だ。

「聞いてんのかよ」
「話わかってんのか?」
「わーってるって。聞いてる」


口の悪い連中をもう一度ちらりと見て出来上がった成分はもう少し時間を置いてもいいだろうと
スタースクリームは故障箇所ともいえないような怪我をリペアした。

 

 

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ごめん、と反省の気持ちを込めて…!
だってコンバットロンって可愛いよねぇえええ!!スタスクを壁に追いやったところは萌(!?)だけど
なんだかんだで仲のいいコンバットロンとブルーティカス時に肩に座る小鳥さんスタスクは最高に可愛い。