綺麗だと思った。
空を滑空する戦闘機達が。

「で、お前何なんだよ」
「君が私の上に落ちて来たんだろ?」



over head





『スッ…スカイファイヤー!大丈夫か!?』
「あぁ…シルバーボルト…大丈夫さ。下から君達の戦いっぷりを見させて頂くよ」
『怪我は?スタースクリームは?』
「怪我はないよ。スタースクリームは怪我をして撤退したさ」
『わかった。こいつらを撃墜したら着陸する』
「了解。勉強させてもらうさ」

真面目で少し頑張りすぎな声が通信機から届いてくる。
それに優しく返事を返すと微かな笑い声と頑張ってみるよ。と返事がきた。

その一連のやり取りを膝の上で聞く者がいる。
空中戦で撃墜した結果、私の上に落下してきた人物であり敵航空参謀
スタースクリームだった。
口を押さえて体重をかけた腕をのしかけると身動きが取れないらしく
くぐもった息が手にかかった。
通信機の電源を切って手を放すと彼は少しだけむせた。

「大丈夫かい?」
「誰が逃げたって!?」
「すまない。こう言った方が君と長く一緒にいられると思って」
「俺はごめんだぜ!どけっ…!」
「それはできない」

お互い怪我らしい怪我はなかった。
落ちて来たスタースクリームを避けられなかったのではなく避けなかった。

致命傷は負わないのはわかっていたが抱え込んで落下した。
その甲斐あってか、余計なお世話か、スタースクリームには
かすり傷1つすらなかった。
本人はご立腹なのだがあの落下の仕方はちょっと危なかったと思うんだ。

「痛い所はないかな?」
「ねぇよ!離せって!」
「それはよかった、これは私の我儘さ。少し構ってくれ」
「はぁ!?」

ジタバタ暴れるのだが体格に差がありすぎるためスタースクリームは
身動きが取れないままだった。
膝の上に横になり、私を睨むスタースクリームをみてこのまま立ち上がれば
地球で言う姫抱きとやらの完成だな。とかどうでもいい事を考える。

「君をこうやって抱き締めるのは久し振りだ」
「気持ち悪い事言うな!」
「酷いね」

かつての友の暴れ回る腕を器用に拘束する。
なんだか今日は一緒に居たい気分だった。
足ががたがた暴れ回って時々痛いのは気にならない。

腕でキャノピーを少しばかり押すだけでスタースクリームは重みで
その場から動けない。四肢だけが稼動できるがその両腕は片手で拘束済み。
自分の身体の大きさに感謝するのは毎回こんな時だった。

バタバタする足は放っておいて指先だけをスタースクリームの首に届かせた。
その指先でスタースクリームの首をなでると鋭い眼光が一度だけ鈍った。
何度も猫の首を撫でるように中指で首筋を擦るとスタースクリームは
目に見えて動揺した。

「…やめっろっ…」
「今でも、ここが気持ち良いのかい?」
「触るっなよ…」

息を荒げていくスタースクリームに欲情する。
昔、スタースクリームがやりたい時に付き合わされた行為をしたい。今ここで。

そういや私から行動した事はなかったなと思う。
いつもスタースクリームが言い始めて、付き合わされるようにやっていた。
嫌ではなかった。快感あれこれよりスタースクリームの表情を楽しんでいた
節があったが。行為中の笑う顔や時々歪む顔が好きだった。
久し振りに見てみたいと感じた時には行動に出ていた。

金属の身体を限度いっぱいまで曲げて
顎から首筋に舐めるとか細い声が上がった。

「待っ…!待ちやがれ!」
「どうかしたかい?」
「どうかしてるのはお前だよ!何してんだ…!」

舐める舌から逃げようと身を捩り、首筋をのけ反らす。
音をわざと立てて舐めあげてスタースクリームの頬にある線に触れる。
顎から瞼まで繋がる線をゆっくり舐めてアイセンサーにたどり着く。

ギュッと瞑った瞼を舐めてから離れるととろんとした目と目があった。
その薄く開いた口に被さる様に更に身体をかがめると
押さえ付けていたスタースクリームの左手が拒むように口元を隠した。

「スタースクリーム…?」
「触るな…!」
「…?」

異様に口に触れられることを拒むスタースクリームをおかしいと感じた。
どこか、何かに引っかかる違和感。
なんだろう?彼はこんなにキスを拒む性格だっただろうか?
頑としてに拒まれた事に少しショックを受けつつも
それでも今ここでこの行為を止める気にはならなかった。

少し考えをめぐらせながら指でキャノピーと胸部の隙間に指先を入れる。
ぐりぐりと無理に押し込んでみたり、優しく撫でたり緩急をつけると
スタースクリームの口からは甘い声が上がった。
その声を聞いてキャノピーを開くとそこには見慣れた接続端子があり
そのレセプタの中に指を入れる。

スタースクリームの顔を覗き込むと歯を食いしばり、快感から逃れるように
耐えようと必死になっていた。
彼はこんなに感度が高かっただろうかと考える。
昔の彼はレセプタを弄ったぐらいじゃこんな風にはならなかったはず。

直接舌を押し込みたかったが、今の体位じゃ残念ながら届かない。
身体が柔らかい素材じゃないことを悔やむ。
仕方なしにレセプタに入り込んだ指を一度抜いて中指と人差し指を
自分の口の中に入れて舐める。
自分の潤滑油が指にたっぷりついたところでもう一度押し込み
内側の溝を擦ったり第二関節を超えて、限界まで指を奥に入れてみたりした。

その間ずっとスカイファイヤーはスタースクリームの表情だけを見続けた。
苦しげに、だけど間違いなく快楽に飲まれ始めているスタースクリームの
こんな表情ははじめてみた。

自分の接続端子を引き出すとスカイファイヤーは指を抜いて互いのオイルで
べたべたになったそこにゆっくりと、確実に差し込んだ。

「んっ…!あっやめろ!頼むから!」
「君はこの行為が好きだったと私のメモリは記憶しているんだが違ったかい?」
「ひ…ちが…」

そんなつもりではなかったのだが彼にとって今の発言は恥辱を感じたらしく
アイセンサーで視認できるほどに顔が赤くそまった。
カチカチと音がして差し込まれていき、いいところで少しまわすと
カチンと抜けないようにロックがかかる。
その音を聞いてスタースクリームが差込をしているスカイファイヤーの腕に
手を伸ばす。
手を押し返してくるが、既に力なくしなだれているスタースクリームじゃ
どうにも出来ない。

彼の好むパルスだって覚えている。
急に大きいパルスを送るよりも緩やかに身体に蓄積するように積み上げて行く。

スタースクリームが暴れない、いや暴れられないのはわかったので
押さえ付けていた片腕と身体を放してやると
スタースクリームは両腕で自分の顔を隠した。

「スタースクリーム。それでは私の楽しみがなくなるよ」
「だまっ…ぁ…も…駄目だ…」
「君はこんなに感度が高かったかな?」

スタースクリームにパルス返信する意思がないので
自分もスタースクリームと同じようにパルスに溺れる事は不可能だ。
むしろそのほうが良い。彼の顔がよく確認できたから。
目当ての顔を隠されては堪らず、少し手をずれさせて額に唇をおとす。

「スタースクリーム…」
「ス、スカイファイアー…っあ…うん…」
「唇に触れても良いかい…?」
「っあ…だめ…駄目だ」

パルスを送りながら冷却液で零れた瞳を舐めた。
やはり却下された。唇に触れたいのに。
無理に触れようとすれば簡単に触れられる。押さえつけて、無理に奪える。
しかしそんな事をすれば彼は次から私を視界に捕らえてくれないかもしれない。
ただでさえ嫌われて居るから。それは遠慮したかった。

彼の限界が近いのはわかった。
何もわからなくしてあげようと更にパルスを増やして積み上げていった。






*



「大丈夫かい?」
「……」
「スタースクリーム」

返事がないのはわかっていた。
彼は容量オーバーでシステムダウンを起こした為だ。
意識混濁してる彼の身体からはエラー音が響いている。
膝の上から地面にゆっくり降ろして顔やオイル塗れな身体を拭ってやった。
触れる事が許されなかった唇に触れてみた。
指で左右に何度も触れてその金属にしては柔らかい素材にうっとりとする。
彼は今気を失っている。そっとキスをしてしまおうか?
バレやしない。

唇を撫でる指先を止めて首の後ろに手を回す
屈みこもうとすると身体がガチャガチャと金属生命体らしい音を立てた。


「……ん」
「…スタースクリーム?」

起きてしまったかなと内心焦る。
しかし目が開くことはなかった。

「……メガト、ロン」

なるほど。
自分の察し良い脳を呪うよ。
君にとって簡単な一言は私に傷をつけていった。




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この後スカイワープとサンダークラッカーが回収に来て撤退します。

「お前何落下したくらいで気絶しやがって!」
「まったくだぜ!」
「だ、黙りやがれ!(み、見られてねぇだろうな畜生!)」

メガ様仕様に調教済みです。スカファ涙目