俺様の馬鹿野郎!




selfish




「……どした?スタースクリーム。」
「具合悪いのか?」
「……何でもねぇよ…今日は俺、遠慮しとくわ…」
「は?ちょ…スタースクリーム!?」


後ろから疑問の声がかかるが振り向く事なく部屋をでて扉を閉める。
サンダークラッカーとスカイワープの部屋から離れ自室に向かいつつも心の中で
珍しく自分を叱咤した。
馬鹿野郎!ブレインサーキットを全部取り替えて最初っから組み立て直したい。
サンダークラッカーの心配と困惑の表情が脳内をうろつき回る。
心配させるくらい、いつものことって言うかそんな気にしない内容だが
あんな表情同機にさせたくない。

月1ぐらいの割合で集まって始まる俺達のストレス発散もとい交歓行為。
サンダークラッカーが首筋を舐めあげてキャノピーの隙間に指をかけて
鼻筋に噛み付いて来て。いつも通りのはずなのに、どこか、何か物足りなかった。
思わず顔を押し退けてしまった。その時のサンダークラッカーの顔。

久し振りに自分で自分を叱咤した。悪い事をした。



はっきり言って押し退けてしまった理由はわかってる。
あれだ、先日の。メガトロンとの。
あれのせいでサンダークラッカーとスカイワープとの行為が生温く感じてしまう。
畜生。馬鹿野郎。自分は本当にポンコツかもしれない。

気付かなかったが、自室に向かっていたはずなのにここはメガトロンの寝室に
向かう為の廊下で、この先にはメガトロンの寝室しかない。だから言い逃れも
しようがなく、そこで止まって「あぁ!あそこの道を右だったぜ!
方向指示機がいかれたかなぁ?」と、言って今来た道を戻れたらどれだけ幸せだろうか
ポンコツでイカれてる自分はわかっていても、道を戻ったりせず真っ直ぐにしか進めない。


しばらく歩いてメガトロンの寝室の扉に触れた。
扉に耳をあて、聴覚センサーをフル活用するとメガトロンの微かな息遣いが聞こえる。
メガトロンは作戦会議時以外は防音システムはダウンさせているから、耳を澄ませば
寝息はこちらまで聞こえてくる。
聞き取れた息遣いはスリープモードのそれと同じだと
ブレインサーキットは判断を下し、それからどうする?と己に問いかけた。

ノックするか、ハッキングして不法侵入するか…

まぁ…後者だな。と少し考えてだした答えにそうように
アクセスコードのレセプタクルに軽く指を入れる。
レセプタの種類を指先で判断して首筋にあるパネルを開いてケーブルを引き抜き
メガトロンの寝室のアクセスコードに差した。
コードを通して表面だけだがアクセス情報のデータが流れ込んでくる。
流れる情報をみただけで侵入が容易いな扉ではないことがわかった。
俺様の部屋の倍、スカイワープ達の部屋の5倍は侵入が困難だ。

サウンドウェーブなんかだったら結構楽にデータ解析をして侵入できるんだろうが
俺様は壊すか騙すで侵入するタイプだから隠密に侵入する為に静かに、ばれずに
的確にシステムをダウンさせるのは正直不得手だ。
だがミスをすれば侵入者と判断され、警報。下手したら知能のない侵入用の
破壊ロボットがくる。そうするとまた面倒だ。


「……これでどうだ?」

カチンと音がして扉のロックがはずれた事がわかると
そのまま入室の許可を送り込んでみた。ゆっくり、静かに扉はスライドしていく。

「…………」

馬鹿みたく広い部屋だ、これまた俺の倍はある。後は質素なのがそう見える原因だろう。
でかいチャージポッド兼寝台とその横に通信機付メインコンピューター。
その隣りにでかい冷蔵庫。多分中には高級エネルゴン。

寝台の上で微動だにしないメガトロンに近付く。
寝台にふれると地球の人間が使う様なふかふかな布素材だった。
他のやつ等がどうかは知らないが、俺を含めジェットロンはただの鉄製の寝台だ。
地球製の布で出来た寝台だなんて。物好きめ。

メガトロンに跨がる様に上に乗り、静かにメガトロンに腰を降ろす。
布でふかふかな寝台は突然の来訪者にスプリングをぎしっと少し軋ませた。
仮眠状態ならともかく、一度スリープモードに入るとそう容易くは起きられない。

その表情をよく見ると思ったより静かに寝息を立てている。
鋭い眼光は見えず、落ち着いた表情で眠る破壊大帝。
こちらも静かにその表情を眺めるが閉ざされた目に安堵と残念だと言う感情が生まれる。
俺はいったい何を望んでいたんだ?

額部分に手を置いて、ゆっくり頬を撫ぜて、首筋を指でなぞり、胸元のインシグニアに
指先を当てる。親指でその形をかたどるようになぞっていくとメガトロンの口から
微かに息の漏れる声が聞こえた。
起きたのかと身体が硬直したが、顔を見ても先ほどとなんら変わりない。
ただ、口から息を吐いただけだったようで目が覚める様子はない。


胸元においていた指をどけて、メガトロンの両脇に両手を置く。
再び地球製の寝台はぎしりと一度音を立てた。それでもメガトロンは気付く様子はない。

インシグニアに顔を近づけて唇を押し当てる。
出っ張っているわけでも、へこんでいる訳でもない、なだらかな表面を唇で撫でると
何故か心地よく、安堵感をもたらしてくる。
サンダークラッカーにキスしてもらったときよりも心地いい。気持ちいい。

想像はしていた。まさか、もしやと思いつつも気付いていた。
メガトロンとのあの行為自体が問題だったんでなく、相手に問題があったのではと。
サンダークラッカーの生ぬるい行為が物足りないのではない、白銀のボディの
前で喘ぎたいのではないかと。自分は微かに察していた。

もう一度メガトロンの表情を見ると荒れていた感情が落ち着いていくのを感じた。
畜生。冗談だろ?なんだってんだよ。
身体がぞくぞくする。もっと触りたいと感情より深い部分で身体が呼応してる。
インシグニアに押し付けていた唇を割いて、そこから金属らしい冷たいのに
ぬるりと動き回るオイルで湿った舌を押し付けた。

ぴちゃぴちゃと音を立てているのが自分で、その相手がメガトロンだ。
そのことだけが、自分を更に興奮させる。
息づく際に、自分の口から熱を含んだ息が漏れた。
馬鹿馬鹿しい。本当、自分は愚か者だ。

デストロンのマークをかたどるインシグニアが自分のオイルで濡れているのを
しばらく眺めた後に、もう一度メガトロンの顔をみると普段よりも険しくない
その顔をもっと近くで見たくなった。
ぎしぎしと寝台を鳴らしてメガトロンの顔の両脇に両手を移動させて
メガトロンに体重をかけないように覆いかぶさる。
メガトロンの息がかかる距離まで顔を近づける。どうしてこんなにも格好よく
見えるのだろうか?
こいつ、この間の行為の際に何かしら俺の回路を弄ったんじゃないだろうか?
そう思いながら、息を呑む。自分の喉がゴクリと音を立てる。
軽く、軽く触れるだけで良い。

身体を屈めてメガトロンの口に自分の口を重ねるようにする。


「むぐっ…!!」
「………何をやっているのだ…スタースクリーム」
「……メガトロン様…」


もう少しで触れるところでメガトロンの右手が顔を押しのけた。
あぁ、さっきのサンダークラッカーはこんな気持ちだったのだろうか?
と、言うことはさっきのサンダークラッカーと同じ顔をしているんだろうか?
だとしたら随分情けない顔をしてるんだろうな

「言い訳は?」
「…残念ながら思い浮かびませんなぁ」
「寝首をかきに来たと言えば、今ここで融合カノン砲の餌食にしてくれるが?」
「……」
「まぁ、このインシグニアを見れば違うことはわかるわい」

先ほどまで愛しい物のように舐めあげていたインシグニアをメガトロンは手で拭うと
指先をこすりあわせそれを確かめた。。
怒っているわけではなさそうだ。しかし、笑うわけでもない。
興味なさげに指先を眺める大帝の心情は計り知れない。
その様子を自分は無表情ながら黙って眺めているとメガトロンは目を合わせてきた。
互いに黙ったまましばらく見詰め合い、メガトロンはスタースクリームのオイルが
ついた指を口にくわえた。
薄く開いた唇の隙間から、メガトロンの指と、それを舐めて動く舌先が見える。
あぁ駄目だ。煽られる。

無意識に手が動いてその腕を口から引き離す。
自分とメガトロンのオイルが混ざった指先を自分の口に含んで歯を立てたり
舐めたりする。自分のスパークが脈動している。
ばくばくと縮こまったり、大きく膨らんだりとさらに自分を煽っていく。

メガトロンはそんな様子を別に驚くわけでなく、興味なさげに眺める。
畜生、畜生、そんな目で見るんじゃねぇよ。
自分だけがこんなにも煽られ、興奮していることが気恥ずかしくなる。
口から出る熱を含む息が止まらない。止めたいのに止まらない。
メガトロンの指先から手のひらまでをゆっくりと舐め上げた。


「スタースクリーム」
「………はぃ…」
「言いたいことはあるか?」


メガトロンが死刑執行人のように鋭いまなざしを向けてくる。
そうだ。この目を待っていた。
咥えたままのメガトロンの指を口から抜いて、口先でその手のひらにキスをする。
言いたいこと。言いたいこと。触りたいし、触られたいし、繋がりたいし、撫でてほしい。

「キスしたい」
「そうか」

やっと笑ってくれた大帝の頬を掴んで引き寄せられるように唇を繋げた。



*




「んっ…」
「そういえば、お前は儂とは2度と繋がりたくなかったんではないのか?」

メガトロンにキスの許可をもらって自分から口付けた後
メガトロンに互いの位置を反転するように転がされ、寝台に横にされた。
現在は覆いかぶさってきたメガトロンの腕を掴んで喘ぐので精一杯だ。


「ち、違う。あれは…あんたが…!そ、それ…やめろ!」
「スタースクリーム。お前は愚かだが、馬鹿ではないと思っているのだが…
 言いたいことは一つずつ片付けてから話せ」
「そ、それ…その動きやめて…!止めてください…!」


メガトロンは自分の顔の脇に左手をついて、右手でこの間開いたパネルの中に
指を這わせていた。
パネル内部にある受容器の入り口をメガトロンの中指が縁取るように擦る。
中に指を入れようとして、入れない。入り口部分にある淵をゆっくりと焦らす様に
触るだけだった。

しかし、その動きだけで興奮する自分がいるのもまた確かなことで
肩が振るえ、顔の右側にあるメガトロンの左腕にしがみつき、目を伏せて、口から
快楽を含む熱い息がもれる。
焦らすだけのその緩慢な指の動きがじれったい。身体を右へ左へとよじると
地球製の寝台はぎしぎしと音を立てた。
ただの鉄製の寝台も、金属生命体の自分達にはぶつかる度に
カツンと響かせる音を立てるがこの地球製の木と、ところどころを鉄で
コーティングし、その上に布をかぶせているこの寝台のぎしぎしとなる音も
今のスタースクリームには地味に耳障りだった。

「しかし、お前は儂と繋がりたくないのだろう?ここに指を入れても意味を成さんな」
「…んっ…っ…れて…」
「悪いが聞き取れんな」
「い…いれて…!入れてくだ…さっ…」
「………」
「あ…あぁっ!あっ…ゆ、ゆっくり…!」
「注文の多いヤツだわい…」

少し呆れた声に目を開けるとそれでも大帝は実に楽しそうだった。
メガトロンの中指が受容器の中にぐいぐいと入り込んでくる。
急激な異物の挿入に身体が震える。指先がレセプターの内部を擦るだけで
身体中に快感が走った。
この間の行為では指を入れたぐらいじゃ何も感じなかったのに…
メガトロンが言っていた再起動やらなんやらのせいだろうか?
落ち着かない。怖いわけでもないのに歯が震えて音を出す。

「…スタースクリーム」
「……?」
「辛いか?」
「……」

歯がカチカチと悲鳴を上げるので声は出せなかったが「大丈夫だ」と首を左右に振る。
メガトロンは中を弄っていた指を抜いて親指の腹で落ち着きのない歯をなぞってくれた
その指をみると、挿入していた中指にオイルがついている。自分のものだ。

「繋ぐぞ」
「…はい…」

メガトロンはM字になるように曲げられていた脚の両膝裏を手で掴むと
そのまま左右に脚を割った。
この間は急な快感にサーキットが追いついていなかったし、慌しく繋がったが
今のように自分は寝台に横になり、両足をこうも開かされてやっと自分の状況が
完全に把握しきれた。
自分の目線から開けられたパネルと、先ほどまで弄られていた部位が
どうなっているかがよく見える。
受容器からポタポタとオイルが漏れているのがわかる。無駄に恥ずかしい。

「この位置で脚を動かすな」
「……」

言われたとおり、脚を開いた状態で待っているとメガトロン自身の下腹部に
手をやってパネルを開くのが見えた。
首やキャノピーからでるコードよりも太いケーブルが自分の受容器にあてがわれる。
1度目よりも幾分冷静なのが幸か不幸か何をしてるかよく理解できて
カチカチと音を立てながら、コネクタとレセプタのおうとつが歪みなく埋め込まれて
行くのがしっかりと伝わってきてしまった。

「…っ…んんっ…」
「奥まで差し込むぞ…っ」
「…あっ…ぅあ!ぐっ…」
「脚を閉じるな」

この間よりも深いところまで差し込まれる。
メガトロンのコネクタが身体の深い部分まで押し込んできて
もう先がないところまできてカチンと音がした。抜けないようにロックされる。
強い快感に閉じかけた脚をまたメガトロンの腕が左右に割る。

「…ぅあああ!んっあ!」
「はっ…っつ」
「め、メガトロン…さまっ…!っああ!」

唐突に送られてきたパルスに身体が沈む。
あられもない声が出て、自分の聴覚に響いた。右手で目を、左手で口を押さえる。
身をよじって大きすぎる快感に耐えようとするとスプリングが軋んで身体が
布の中に埋もれていく。

「んんっ…!んっ」
「何をっ…しとるんだ」
「んっ…あっあっ…」
「口を押さえるな。愚か者がっ…」
「だっ…だて…だって…!おか…!おかし」
「目もだ…」

両手首を掴まれて両脇に押さえつけられる。
布に埋まった手首が少し痛いが、ふかふかの布の感触が気持ちいい。

「っふ…や、手首…!」
「お前の…っ愚かな顔が見えていいわ…」

歯を食いしばって喘ぎ声が漏れないようにするが
開いた瞳に映ったメガトロンがあまりにも愉快そうだったので視線がそらせない。
にやけた目と口元が、滅多に見れない表情だったものだから見惚れてしまう。
時々、快感に襲われたように歪める顔がはいるのもまた見惚れる要因でもある。


「あっぐ…も、もう」
「そうか…」
「っあ…うぁっ…ああ!」


パルスが先ほどよりも強く送られてきて体が跳ねる。
両腕が寝台に押さえつけられていなければ本当に跳ねていたかも知れない。
しばらくその強いパルスに翻弄されていたが耐えられなくなって大きく悲鳴をあげた。
受容器内部にあるメガトロンのコネクタを受容器が収縮して締め付けるのがわかった。

「くっ…あ!」
「はっあ!…はっ…あ…」
「…スター…スクリーム」
「……メガトロン様…」

その締め付けが原因か、メガトロンもパルス許容量をこえたようで身体を崩れさせた。
崩れたメガトロンの額と自分の額が触れる距離で顔が近い。

ぜぇぜぇと息つぐメガトロンの表情をこんな間近でみれるのは自分くらいだろうか?
メガトロンよりも先に落ち着いたスタースクリームはそのメガトロンの表情に見惚れた。
そのまま舌先でメガトロンの唇を撫でるとメガトロンは薄く唇を開いた。
受け入れてくれたことに喜びを感じつつ、まだ息荒い口内を舌で攻めると
メガトロンも舌を絡めてきた。

「…中にだしてしまったな」
「…中にだすと何か問題でも?」
「随分と奥まで接続していたからな。気持ち悪いだろう」
「…少し」
「この間のように手前で接続しておけば除去は簡単なんだが」

出す前に抜くつもりだったのだ。と少し笑いながら言うメガトロンの顔が好きだ。
今は除去だとか、オイルだとか、そんなもの気にかからない。

「気にしなくても…いいです」
「気分はどうだ?」
「……かなり良い…ですぜ」
「…行為の最中と前後は随分と甘えてくるものだな?」
「…あんたが」


あんたが普段より優しくなるからだろうがよ。
思ったが口にせず、接続部位を抜く為に起き上がるメガトロンの事と
思ったよりふかふかして心地良い地球製の寝台がいったいどこで手に入るだろうか
そればかり考えていた。





*




「…きこえねぇ」
「俺たちじゃハッキングできねぇしなぁ」
「何やってるんだと思う?サンダークラッカー」
「…メガトロン様は基本的に防音シールド張る時は作戦会議中だけだからなぁ」
「だからってスタースクリームはメガトロン様の寝室にハッキングして入ったんだぜ?」
「………だから?」
「馬鹿!呼ばれたわけでもなければ作戦会議なわけでもねぇってこったよ!!」
「じゃあなんだってんでい」
「……さぁ?」
「…お前さんも結構馬鹿だからなぁ。スカイワープ…」
「てやんでぃ!」
「大きい声だすな!気付かれたらどうすんだってんでい!」

騒ぎ始めたスカイワープに中の2体が気付き自分達を叱りに来る前にこの場を離れようと
サンダークラッカーはスカイワープを引きずって自分達の寝室まで戻った。




----------------------------------------------

正常位が書きたかったんですよ!あ!殴らないで!

メガ様は行為が始まる前に防音張りました。
そう言う所が紳士大帝メガトロンですよ。慈愛の神だからね!
阿呆な2羽もスタースクリームの様子がおかしかったので心配して後つけてきただけ。
愛されてるよスタスク!うちのスタスクは愛され体質。