サンダークラッカーのいないこの部屋で、俺達は触りあった。 スタースクリームは随分生気のねぇ顔してたけど、俺は正直興奮してた。 「元気ねぇな」 「別に…」 「お前との接続久しぶりだから楽しみだぜ」 「…言っておくが快感が発生しないようにしろよ。そのつもりはねぇ」 「わかってるって」 にっと笑って顔を近づけた。 唇が触れそうになった瞬間顔面を殴られた。 あぁ、やっぱスタースクリームらしいじゃねぇか SKYWARP 仕方がないからキスするのは諦めて寝台にスタースクリームを倒した。 仕方なさそうに、スタースクリームが自分で足を開くのを見て顔がにやける。 サンダークラッカーからも聞いていたが、俺は結構後回しにされてて、俺より先に接続したデストロンは多い。 どうしても気になってそいつらからスタースクリームの様子をちょっと聞いてみた。 普通だったっていう奴が多かったと思う。口数は少なかったけど無表情で声も抑揚がなかったらしい。 顔も正面より何もない壁のほうを見てるって感じで目が合うことはほぼなかったと聞いた。 「まぁ、メガトロン様の命令に嫌々やってやってるんだぜ?」って感じだったと言う奴もいる。 しかし、自分の見解は違う。サンダークラッカーも俺と同じ意見だ。 『ありゃ、かなり無理してると思ったけど』 サンダークラッカーはぼんやり言って見せた。どんな感じに?と聞くとうーんと首を捻って 暫く考えて困った顔をしていた。とりあえず、時折、一瞬、見逃すようなレベルで酷い顔をするらしい。 「指いれていい?」 「ざけんな、さっさと送信する」 「奥まで挿して揺さぶったりしたほうがいいって」 「スカイワープ」 睨まれるその表情は怒りという言葉にぴったりだった。 真っ赤な目がギラリと睨み付けてくる。ぴりぴりとした威圧までも感じた。 一気に喉の渇きを覚えるような感じがしてごくりと口内でたまったオイルを飲み干す。 「わりーわりー。わかったよ」 「…やっぱお前動くな。俺が動く」 「わかったって!」 起き上がろうとするスタースクリームを押し返して雑にパネルを開いた。 まさに今から交歓行為をすると言うのにこんな雰囲気あるかよ。つんつんしやがって。 スタースクリームはそうやって「良い雰囲気」にしないようにしてんだ。そうやって他の奴ともしたんだろうけど。 スタースクリームの足を左右に割ってレセプタクルにコネクタを押し当てた。 驚くほど簡単に入ってそれが顔にもでてたんだろう。 だって、驚いたんだ。もう少しで「え?」というところだった。 自分より、一回りレセプタが大きい?はまると言うより本当に入ったというに相応しい感覚。 スタースクリームがしかめっ面をした。 「んだよ…」 「…ちょっとこのレセプタ緩すぎるんじゃねぇ?」 「…仕方はねぇだろ」 「レーザーウェーブに新しい部品送ってもらったらどうよ」 「あー、全部終わったらな」 入ったのを確認してスタースクリームのアイセンサーがちかちかと明滅した。 ウイルスのソフトとなるものを準備しているんだろう。それを黙って見つめながら待った。 「…送るぞ」 「はいよ」 「…」 数度明滅して送り込まれてきたソフトを解凍していく。 展開して、名前を登録?面倒だからそれはスルーして、うんうん。インストール開始。 お互いに黙って送信受信を繰り返す。暫くそうしているとスタースクリームが先に明滅を終えた。 もっと時間のかかるものだと思った。しかし予想に反して膨大なソフトは短時間で送り込まれてきた。 「…ふぅ…」 「送信は終了か?」 「あぁ」 「…こっちもインストール…終了だぜ…と」 アイセンサーの明滅が止んでスタースクリームを見ると若干疲れている。 まぁ、確かに送信だけでも面倒だろうにこんな大量にコピーして送信してってやってんだから仕方がねぇな。 ぐったりしてるスタースクリームの足を掴みなおしてゆっくり押し込んでいく。 「ってめ!なにして」 「ここまでやっておいて何もしないほうがおかしいだろ」 「っ…!」 横になっていたスタースクリームの上半身が起き上がってきたがその勢いを利用して強く押し込むと スタースクリームは口を押さえた。喉が引き攣れて悲鳴がこぼれている。 それが凄く色っぽく見えた。スタースクリームの内部はもっと狭く丁度良い。そこを擦れば スタースクリームの鋭い目つきはくしゃっと歪んで泣きそうになる。 「…メガトロン様にイクなって言われてんのかよ」 「…」 首を左右にふるスタースクリームは少しだけ身体を震わせた。 両手で顔を隠すようにする上官の顔はうかがえない。ただ薄い唇の向こうから時々漏れる小さな喘ぎ声。 ちらりと見える口が食いしばるように動くのが見える。レセプタもぐちゃぐちゃだ。 ここまできて何で我慢するんでぇ、とスカイワープは顔をしかめた 「じゃあ良いじゃねぇか…メガトロン様より気持ちよくしてやるって」 「ざ、けんなぁっ!」 鉄で出来た手の甲が顔面に当たりそうになるのをすれすれで避けて逆に手首を掴んだ。 もう一本の腕が振りかぶられたのをみてそれも掴むとお互いの腕の力が拮抗した。 でも内部にはすでに進入ずみなんだ。両腕を押さえて腰を押し進めれば スタースクリームの薄く開いた口からははっきりとしたあえぎ声が漏れた。 「…暴れんなって。最近あんまイってねぇんだろ?ちょっとコネクタ挿しただけで感じるくせによ」 「しねぇったらしねぇんだよ!うあっ!」 大量のパルスを送り込むとスタースクリームの背が弓なりにそって後ろに倒れこみそうになる。 掴んだ両腕を引き寄せて自分の身体にスタースクリームをもたれかからせると 聴覚にスタースクリームの甘ったるい吐息が届いた。 その声に自分の背筋がぞくぞくする、同機なのに、こんなにもえろい声をだせるなんて驚きだ。 耳元に切なげな吐息がかかる、その息に拒否はいっさい感じられない。 「……背中に手、まわせよ」 「…ぅぁ…はっ…」 微かに手首を掴む手を緩めるとスタースクリームの手がゆったりと背中に回ってきた。 至近距離でみるスタースクリームの表情はとろとろに溶けて、自分が何をしているのかもわかっていなさそうだ 身体が熱いのだろう、ファンが回る音が聞こえる、額にしっとりと身体から熱を逃がすための冷却液がみえる。 腕がしっかりと背中に回った事を確認してスカイワープはスタースクリームの頬にキスをした。 「気持ち良い?」 「……」 一度だけ頷いたのを確認して先ほどよりは弱めたパルスをスタースクリームの好きなリズムで送る。 届く吐息がますます艶を増していく。すりっと額が肩に擦り付けられた。まるで恋人にするようなその所作に スカイワープは心地よさを覚えた。唇に舌をねじ込もうとスタースクリームの顔を正面から見る。 「め、がとろ」 「…違うぜ」 「メガトロン、様」 「違うって」 「メガトロン様…」 「…萎えるじゃねぇかよ。くそ」 パルスを送るのをやめると息の荒いスタースクリームと目が合った。 薄く開いた唇から舌がちらちら見えて、物欲しそうな顔をしているがその表情からは微かに 嫌だと言うのも見えるし器用な顔ができたもんだとため息をはいた。 鼻をつまんで眺めると「なんだよ」とくぐもった声が返ってきた。 「なんだよじゃねぇよ。萎えたじゃねぇか」 「…一瞬」 「あ?」 「…メガトロンと、…接続、してるような」 「メガトロン様欠乏症だな」 「…うぜぇ」 「うぜぇとか言うなよ」 息が整うまで身をゆだねてくる姿が可愛いと思ったがその脳内はメガトロン様だらけなんだろうな。 こいつってこんなにメガトロン様好きだったっけ?取り上げられると欲しくなるってやつだったりして うつろな表情の額にキスをする。視線だけ寄越されて笑うとスタースクリームも口元だけで笑った。 コネクタをあまり刺激しないように引きぬいて自分のパネル内にしまいこむ。 スタースクリームが一度声を上げたがそれだけで、抜いた後は息を整えることに励むスタースクリームを見ていた。 かわいそうなくらいスタースクリームのコネクタは快感に反応してとろとろとその先よりオイルを流すのに 出し切らせてやらねぇなんて可愛そうだ、と何度も思った。 自分を落ち着かせようとするスタースクリームが哀れで、それ以上におかしく見えた。 もっと楽な生き方が出来たはずだぜ、スタースクリーム。 それに、お前は俺より得意なはずだ。楽なほうへ楽なほうへ逃げるのはお前の得意技のはずじゃねぇのか なんでそんなに我慢する? …なんでメガトロン様はスタースクリームにこんなことさせやがるんだ。 「…後どれぐらいで終わるんだ?」 「メガトロンが、セイバートロン星にいるレーザーウェーブだけ頼むって言ってるから…、セイバートロン星行く」 「出張お疲れ。後は?」 「…それだけだ」 「じゃあレーザーウェーブさえ終わればメガトロン様とゆっくり接続できるじゃねぇか」 「……」 口元をへの字にして一度頷くスタースクリームが随分と可愛らしく見えて頭をぐりぐりなでた。 やめやがれと言われても撫でるとスタースクリームも撫で返してきた。 なぁ、兄弟。お前大丈夫なのかよ。 サンダークラッカーの言っていた感情が分かったかもしれない。心配だ。 今のスタースクリームは不安定すぎる。 いっそ、俺がお前の立場になれてたらなぁ、とか出来もしないことを考える。 俺は馬鹿だから、科学者なんて道には1000万年遡っても選ばない自信がある。 「あ、でもその前にセイバートロン星でレセプタ交換してこいよ」 「んでだよ」 「がばがば過ぎだって」 「ほっとけ」 スタースクリームが疲れたと言って寄りかかってくる。それでもお互い頭を撫でていた。 心配だ、サンダークラッカーはメガトロン様に抗議したがってるくらい心配してるし。 当然俺だってこいつのことは心配してる。 でもだ。 戦闘では馬鹿だし、上官として恥ずかしい言動ばっかりするけどよ。 それでも航空参謀スタースクリーム殿ならこれくらいなんてことねぇだろ? また、全部終わればいつもどおりのはずだ。メガトロン様に怒られながら謀反を企てて それに俺らも巻き込んで、最後は「ごめんなさいメガトロンさまぁ!」ってなるんだ。 そうしてスタースクリームは航空部隊隊長、デストロン軍団副官としての地位に再び納まる。 そんな日が、すぐそこまで来てるんなら俺はそれを見守りたい。 サンダークラッカーが来るまでお互いの頭を撫でくり回しながらも スカイワープはスタースクリームに話をかけた。